金沢市をはじめ石川県内でも、中古の戸建住宅や町家を購入して、一棟貸しの宿泊施設として活用したいというご相談が増えています。
一棟貸しの宿を始める場合、主に「旅館業(簡易宿所)の許可を取得する方法」と「住宅宿泊事業法に基づく民泊の届出をする方法」が考えられます。
しかし、ここで注意したいのが、
「物件を購入してから、旅館業の許可が取れるか調べればいい」
という考え方です。
中古住宅の場合、用途地域、建築時期、検査済証、増築、消防設備など、さまざまな問題が出てくることがあります。
今回は、一棟貸しの宿泊施設を検討している方に向けて、物件購入前に確認しておきたい7つのポイントをご紹介します。
1.その場所で旅館業ができるか
まず確認したいのが、物件の所在地です。
旅館業は、どこでも自由に営業できるわけではありません。
都市計画法上の用途地域や建築基準法上の規制のほか、学校や児童福祉施設など周辺施設との関係について確認が必要になる場合があります。
「住宅として使えているから宿泊施設にもできるだろう」と判断せず、旅館業として使用できる場所なのかを購入前に確認することが重要です。
2.建物の用途・建築時期を確認する
中古住宅を宿泊施設として利用する場合、建築基準法上の確認も重要です。
特に古い建物では、
・建築確認関係の書類が残っていない
・検査済証がない
・現在の建物と図面が一致していない
・増築された部分がある
といったケースがあります。
築年数の古い町家や戸建住宅では、こうした問題が珍しくありません。
そのため、売買契約を締結する前に、建物の登記や建築関係資料などを確認しておくことをおすすめします。
3.未登記の増築部分がないか
中古住宅では、意外と多いのが未登記の増築部分です。
例えば、
「後からトイレを増築した」
「廊下や物置を付け足した」
「登記簿の床面積と実際の建物の大きさが違う」
といったケースです。
未登記部分があるからといって、直ちに旅館業許可が取得できないと決まるわけではありません。
しかし、その増築部分がどのような経緯で造られたものなのか、建築上どのような扱いになるのかについて確認が必要になる可能性があります。
4.消防設備にどの程度の費用がかかるか
一棟貸しの宿泊施設を始める際、見落としやすいのが消防設備です。
一般住宅として使用していた建物でも、宿泊施設として利用することによって、必要となる消防設備が変わることがあります。
建物の構造や規模、使用方法などによって、
・自動火災報知設備
・誘導灯
・消火器
・火災通報装置
などの設置について確認が必要になります。
消防設備工事に予想以上の費用がかかり、
「物件は安く買えたけれど、宿泊施設として使うための工事費が高くなってしまった」
ということも考えられます。
物件購入前の段階で消防署への確認を行っておくことが重要です。
5.旅館業と民泊のどちらで営業するか
一棟貸しの宿泊施設だからといって、必ず旅館業許可を取得するとは限りません。
住宅宿泊事業法に基づく「民泊」という選択肢もあります。
大きな違いの一つが営業日数です。
住宅宿泊事業法による民泊には、年間180日以内という営業日数の上限があります。
一方、旅館業(簡易宿所)には、この180日という営業日数制限はありません。
ただし、旅館業と民泊では、それぞれ求められる要件が異なります。
物件の状況や予定している営業形態を踏まえて、どちらが適しているのかを検討する必要があります。
6.近隣への対応も考えておく
一棟貸しの宿泊施設では、不特定の宿泊者が出入りすることになります。
そのため、
・騒音
・ゴミ出し
・駐車
・夜間の出入り
・防犯
などについて、近隣住民が不安を感じることがあります。
法令上の許可要件だけではなく、開業後に近隣トラブルが起きないよう、事前の説明や運営ルールについても検討しておくことが大切です。
特に住宅地で一棟貸しの宿を計画する場合には、周辺環境についても確認しておきましょう。
7.「買う前」に事前調査をする
当事務所では、一棟貸しの宿泊施設を検討されている方から、
「この物件を買おうと思っていますが、旅館業の許可は取れますか?」
というご相談をいただくことがあります。
このタイミングでご相談いただくことは非常に重要です。
購入後に問題が判明すると、簡単に物件を変更することができないからです。
そのため当事務所では、物件購入前の段階で、旅館業許可の取得可能性について関係行政機関への事前確認を行う**「旅館業事前調査」**にも対応しています。
物件ごとに状況は異なりますので、
保健所だけではなく、建築・都市計画・消防など、必要となる関係部署への確認を行ったうえで判断することが重要です。
まとめ
中古住宅を購入して一棟貸しの宿泊施設を始める場合、「雰囲気がいい」「観光地から近い」「価格が手頃」といった不動産としての条件だけで判断するのはおすすめできません。
特に購入前には、
- 旅館業が可能な場所か
- 建築上の問題がないか
- 未登記増築などがないか
- 必要な消防設備は何か
- 旅館業と民泊のどちらにするか
- 近隣対応に問題がないか
- 関係行政機関への事前確認が必要か
といった点を確認しておくことが重要です。
「購入してから許可が取れないことが分かった」という事態を避けるためにも、物件の売買契約前にご相談いただくことをおすすめします。
行政書士高見裕樹事務所では、金沢市をはじめ石川県内で、旅館業(簡易宿所)・民泊の事前調査から許可申請・届出まで対応しています。
一棟貸しの宿泊施設や中古住宅・町家を活用した宿泊事業をご検討の方は、お気軽にお問い合わせください。
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