古民家で旅館業はできる?石川・富山・福井で増える古民家宿の成功と失敗の分かれ道
近年、
「古民家を活用して宿を始めたい」
というご相談が非常に増えています。
特に石川・富山・福井では、
- 空き家対策
- 地方創生
- インバウンド需要
- 古民家再生事業
などを背景に、古民家宿への注目が高まっています。
実際に、昔ながらの町家や農家住宅を改修して宿泊施設として活用する事例も増えています。
しかしその一方で、
古民家だからこそ発生する問題も少なくありません。
今回は、古民家を活用した旅館業(簡易宿所)について、実務上のポイントを解説します。
古民家だから旅館業ができるとは限らない
まず最初にお伝えしたいことがあります。
それは、
「古民家=旅館業向き」ではない
ということです。
SNSやテレビでは、
古民家宿の成功事例が多く紹介されています。
しかし実際の許可申請では、
建物の状態によって大きく状況が変わります。
見た目は魅力的な古民家でも、
法令上の問題が見つかることがあります。
そのため、
購入や賃借の前に調査を行うことが重要です。
古民家案件で最も多い問題
建築確認関係の資料がない
古民家の多くは、
現在の建築基準法が整備される前に建築されています。
そのため、
- 建築確認済証
- 検査済証
- 設計図書
などが残っていないことがあります。
もちろん、
資料がないから直ちに旅館業ができないわけではありません。
しかし、
建築指導部局との協議において追加資料を求められるケースがあります。
増築履歴が不明
古民家では、
長年の間に増改築が行われていることがあります。
例えば、
- 倉庫を居室化
- 縁側を室内化
- 離れを接続
- 水回りの増設
などです。
ところが、
所有者も詳細を把握していないケースが少なくありません。
その結果、
現況調査が必要になる場合があります。
図面が存在しない
実務上かなり多いのが、
図面がないケースです。
旅館業許可申請では、
客室面積や設備配置を示す図面が必要になります。
しかし古民家の場合、
図面そのものが存在しないことがあります。
その場合は、
現地で実測を行いながら図面を作成していく必要があります。
消防設備が想像以上に必要になることがある
古民家宿で見落とされやすいのが消防です。
「一戸建てだから簡単だろう」
と思われる方もいます。
しかし実際には、
消防署との協議によって、
- 消火器
- 誘導灯
- 自動火災報知設備
- 火災通報装置
などが必要になることがあります。
施設規模や構造によっては、
想定以上の工事費が発生する場合もあります。
能登地域の古民家相談も増えている
最近は能登地域のご相談も増えています。
能登には魅力的な古民家が多数存在します。
一方で、
長期間空き家となっている建物も少なくありません。
そのため、
宿泊施設として活用する場合には、
建物の状態確認が非常に重要になります。
特に確認したいのが、
- 雨漏り
- 傾き
- シロアリ被害
- 給排水設備
- 電気設備
などです。
これらは許可取得だけでなく、
営業開始後の運営にも直結します。
古民家宿の魅力
ここまで問題点ばかり書いてきましたが、
古民家宿には大きな魅力があります。
例えば、
他の宿泊施設との差別化です。
ビジネスホテルや一般的なホテルでは提供できない、
- 日本らしい空間
- 地域文化
- 歴史的建築
- 伝統的な生活体験
を提供できます。
近年の訪日外国人旅行者は、
単なる宿泊ではなく、
「体験」を求める傾向があります。
その意味で古民家宿は非常に魅力的な事業です。
実務ではまず何をするべきか
古民家宿を検討している場合、
最初に行うべきことは工事ではありません。
ましてや契約でもありません。
まず行うべきは、
事前調査です。
具体的には、
- 建物状況確認
- 保健所協議
- 建築関係確認
- 消防関係確認
- 運営方法検討
を行います。
ここで問題がなければ、
初めて改修計画へ進みます。
「安い古民家」は本当に安いのか
地方では、
数百万円以下で購入できる古民家もあります。
しかし、
重要なのは購入価格ではありません。
本当に見るべきなのは、
総事業費です。
例えば、
購入費用が300万円でも、
改修費用が1,500万円かかる場合があります。
逆に、
購入費用が800万円でも、
改修費用が少なく済む場合もあります。
そのため、
価格だけで判断することは危険です。
契約する前に確認したいこと
古民家宿を検討している方には、
最低限次の資料を確認していただきたいと思います。
- 住所
- 外観写真
- 内観写真
- 間取り図
- 登記事項証明書
- 固定資産税課税明細書
これだけでも、
ある程度の方向性を判断できます。
まとめ
古民家を活用した宿泊事業は、
地域活性化や観光振興の面でも非常に魅力があります。
しかし、
古民家だからこそ、
建築・消防・運営面で特有の課題があります。
そして、その課題の多くは、
契約前に把握することができます。
私たちは、
旅館業許可の相談を受ける際、
まず許可申請の話ではなく、
建物の話から始めます。
なぜなら、
旅館業は申請業務ではなく、
建物を確認する業務だからです。
古民家宿を検討されている方は、
契約前の段階でご相談ください。
図面がなくても構いません。
募集資料だけでも結構です。
後から後悔しないために、
まずは建物を確認することから始めましょう。
行政書士高見裕樹事務所
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