
【相続した不動産、すぐ売れる?】
名義変更・遺産分割・残置物の処理まで|相続不動産売却前にやるべき手続きと注意点
はじめに|「相続した家をすぐ売りたい」は現実的なのか?
相続により家や土地を取得したものの、「住む予定もなく、維持も負担なので早く売りたい」という相談は非常に多くあります。
しかし、相続した不動産はすぐに売却できるとは限らないことをご存知でしょうか?
- 登記がまだ故人名義のまま
- 相続人同士で話がまとまっていない
- 室内に大量の残置物が残っている
このような状態では、売買契約を結ぶことすらできません。
本記事では、相続不動産をスムーズに売却するために必要な
**「相続登記」「遺産分割協議」「残置物処理」**について、実務経験にもとづき詳しく解説します。
相続した不動産を売却するには「相続登記」が必須
まず大前提として、不動産の売却は登記上の所有者本人でなければ行えません。
故人名義のままでは、売買契約も登記の移転もできないのです。
そのためには、まず**相続登記(名義変更)**が必要です。
✅ 相続登記とは?
亡くなった方(被相続人)の名義になっている不動産を、相続人の名義に変更する手続きです。
令和6年4月からは義務化され、相続開始を知った日から3年以内の登記申請が法律で求められるようになりました。
✅ 相続登記に必要な書類
- 被相続人の戸籍(出生から死亡まで)
- 相続人全員の戸籍・住民票
- 固定資産評価証明書
- 遺産分割協議書(複数相続人がいる場合)
- 登記申請書(司法書士が作成)
✅ 誰の名義にするかがカギになる
相続登記は売却する予定の相続人名義にしておくことが重要です。
たとえば、兄弟3人のうち「長男が売却手続きを担当する」なら、長男単独の名義にしておくとスムーズです。
そのためには、相続人全員の合意=遺産分割協議書が必要になります。
売却には「遺産分割協議の成立」が前提
複数の相続人がいる場合、遺産の分け方について合意しなければなりません。
これを遺産分割協議といいます。
✅ よくある合意パターン
- 「家は長男が取得し、他の相続人には現金を渡す」
- 「不動産を売却して、売却代金を分ける」
- 「兄弟の誰も住まないため、第三者に売ることに全員同意」
✅ 遺産分割協議書の作成ポイント
- 相続人全員が署名・実印で押印
- 印鑑証明書の添付が必須
- 内容に不備があると、司法書士が登記申請を受け付けられない
残置物があると“売れない・引き渡せない”ことも
不動産売買の実務では、「残置物」の問題も大きなハードルになります。
✅ 残置物とは?
故人が使用していた家具・家電・衣類・本・仏壇・布団・趣味の道具など、不動産内に残っている動産類のことです。
✅ 残置物があることで起きる問題
- 買主に引き渡す前に処分が必要になる
- 不用品の中に金銭・重要書類などが含まれていてトラブルに
- 相続人間で「誰のものか」が争いになる
- 放置されることで資産価値が低下し、内見にも支障が出る
実務で多いトラブル事例と回避法
❌【トラブル例①】相続人の一部が遺産分割に応じない
→ 回避策:戸籍で相続人を特定 → 法定相続情報を取得 → 粘り強い協議 → 遺産分割調停(最終手段)
❌【トラブル例②】残置物を勝手に処分したら「器物損壊」と言われた
→ 回避策:残置物の所有権放棄書面(承諾書)を作成する/処分費用を共有負担にする合意を取る
❌【トラブル例③】売却手続き中に登記がまだ故人名義のままだった
→ 回避策:遺産分割協議を先に成立させ、司法書士に登記手続きを依頼してから売買活動に入る
所有権放棄書面の活用|残置物処理を明確に
当事務所では、相続人が「残置物に関する権利を放棄する」ことを明確にするための書面、
**「残置物所有権放棄承諾書」**を作成するケースが増えています。
これにより、処分する側(多くは売却を進める相続人)が法的リスクを回避できます。
✅ 書面に盛り込む内容の一例
- 放棄する残置物の対象範囲(建物内すべて など)
- 放棄後は一切の権利主張をしない旨の確認
- 処分費用をどちらが負担するか
- 日付・署名押印・物件所在地の明記
行政書士ができること
行政書士は、相続の手続きにおいて以下のような支援を行うことが可能です。
✅ 相続不動産売却のための支援一覧
- 相続人調査(戸籍収集・法定相続情報一覧図作成)
- 遺産分割協議書の作成
- 残置物所有権放棄書面の作成
- 売却時の契約書や合意書の整備(司法書士・不動産会社と連携)
- 相続に伴う名義変更・変更届などの行政手続き
よくある質問(FAQ)
Q:相続登記は司法書士じゃないとできませんか?
→ はい。登記の代理申請は司法書士の業務です。行政書士は、戸籍収集・遺産分割協議書の作成など、登記前の準備段階をサポートします。
Q:家の中の物が多すぎて困っています
→ 処分の実務(片付け・清掃)は提携業者を手配可能です。当事務所では、残置物の法的処理と実務対応をセットで支援できます。
Q:不動産の売却と相続手続きを同時進行できますか?
→ できます。ただし、売買契約の前に名義変更(相続登記)が済んでいる必要があります。
まとめ|“売る前の準備”ができていないと、売却は始まらない
「相続した家をすぐ売りたい」と思っても、
・登記が終わっていない
・相続人が話し合っていない
・残置物が山積みのまま
このような状態では、買主もつかず、取引もできず、時間だけが過ぎていきます。
行政書士高見裕樹事務所では、
**「相続 × 不動産 × 実務」**を一体的に整理し、
売却の“その前にやるべきこと”を徹底的にサポートいたします。
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