「この物件、いけますか?」という質問が一番多い
旅館業(簡易宿所)や民泊を検討されている方から、
最も多い質問はこれです。
「この物件、いけますか?」
ですが、この質問に対して
はっきり「いけます」と答えられる人はほとんどいません。
不動産会社に聞いても
「たぶん大丈夫だと思いますが…」
設計士に聞いても
「図面を見ないと何とも言えません…」
このような曖昧な回答になることが多いはずです。
なぜか。
それは、
この判断が“1つの分野では完結しない”からです。
判断が難しい理由|「3つの役所」が関係している
旅館業の許可は、実は1つの役所だけで完結しません。
大きく分けて、次の3つが関係します。
- 保健所(旅館業法)
- 消防署(消防法)
- 市役所(建築基準法・用途地域・条例)
この3つがすべてOKになって、
初めて「許可が取れる物件」になります。
ここで問題なのが、
それぞれが“別々の基準で判断している”ことです。
■保健所の視点
・客室面積
・採光、換気
・帳場の有無
・衛生設備
→「宿泊施設として成立しているか」
■消防の視点
・自動火災報知設備
・誘導灯
・避難経路
・収容人数
→「火災時に安全か」
■建築の視点
・用途地域
・建物用途
・建築確認の履歴
・違法建築でないか
→「そもそもその用途で使っていい建物か」
つまり、
1つでもズレると“アウト”です。
「それぞれに聞けばいい」は危険です
よくあるのが、
・保健所に聞いたらOKだった
・消防にも問題ないと言われた
・だから大丈夫だと思った
というケースです。
しかし実務では、ここで止まります。
なぜか。
それは
「単体ではOKでも、組み合わせるとNG」になるからです。
例:よくあるパターン
・用途地域はOK
・消防設備も設置可能
・保健所基準も満たしている
→一見問題なし
しかし
・建物用途が「住宅」のまま
・用途変更が必要
・構造的に変更できない
→結果:許可不可
このようなケースは珍しくありません。
本当に判断できる人の条件
では、「この物件いけますか?」に答えられる人とは誰か。
結論から言うと、
“3つの分野を横断して見れる人”です。
■単なる申請代行では判断できない
ここが重要です。
・書類を作るだけの人
・言われた通りに申請する人
こういったタイプでは、判断できません。
なぜなら
“申請前の段階”が一番重要だからです。
■実務で判断できる人の特徴
・用途地域を見て即判断できる
・建築図面を見て危険箇所が分かる
・消防設備の要否が分かる
・保健所の運用を知っている
さらに言えば
「止まった案件を何件も見ている人」
です。
契約前と契約後で“天と地の差”が出る
ここは強くお伝えしたいポイントです。
■契約前に相談した場合
・物件を変えられる
・条件交渉ができる
・リスク回避ができる
→ほぼノーダメージ
■契約後に相談した場合
・解約できない
・改装費が無駄になる
・時間だけ過ぎる
→数百万円単位の損失になることも
実際にあったケースでは、
・物件取得済み
・内装工事済み
・消防設備設置済み
それでも
「用途的に不可」
で止まった案件があります。
金沢市で特に注意すべきポイント
金沢市の場合、さらに注意点があります。
■条例の存在
金沢市は独自条例が強く、
・景観
・まちづくり
・近隣対応
このあたりが影響します。
■近隣対応(実務上ほぼ必須)
法律上は義務ではありませんが、
・町会
・近隣住民
から
説明会を求められるケースが多い
です。
これを軽視すると、
・クレーム
・行政への苦情
・手続きの遅延
につながります。
■小規模施設ほど難しい
特に
・2〜3部屋
・戸建て
こういった案件は、
一見簡単そうに見えて
実は難易度が高いです。
理由は
・避難経路が取りにくい
・帳場の設計が難しい
・用途変更が絡みやすい
ためです。
よくある誤解
最後に、よくある誤解を挙げておきます。
■誤解①「民泊なら簡単」
→180日制限あり
→報告義務あり
→近隣トラブル多い
■誤解②「小さいから大丈夫」
→むしろ難しいケースが多い
■誤解③「不動産屋が大丈夫と言った」
→責任は取ってくれません
結論|判断は“物件を見る前”にやるべき
「この物件いけますか?」
という質問は、
本来
“物件を決める前にやるべきこと”です。
正しい流れ
①エリア・条件を決める
②事前に相談する
③物件を選ぶ
④契約
⑤設計・申請
この順番で進めることで、
・無駄な出費
・時間ロス
・精神的ストレス
すべて避けることができます。
■まとめ
・判断は1つの分野ではできない
・3つの役所を横断する必要がある
・契約後では遅い
・金沢市は特に注意点が多い
■お問い合わせ
旅館業・簡易宿所・民泊は
申請の仕事ではありません。
許可を取るまでの
「段取り」と「判断」がすべてです。
・この物件でいけるか見てほしい
・契約前にチェックしてほしい
・どのエリアなら安全か知りたい
こういったご相談は、
契約前の段階でご連絡ください。
行政書士高見裕樹事務所
住所:石川県金沢市額谷3丁目2番地 和峰ビル1階北
電話:076-203-9314
お問い合わせフォーム:https://takami-gs.com/contact/