はじめに|「居抜きでいけますよ」が一番危ない
物件探しの段階で、
ほぼ必ず言われる言葉があります。
「居抜きだからすぐ始められますよ」
「前も同じ業態だったので問題ないです」
結論から言います。
許可目線では、居抜き物件は“当たり外れが激しすぎる”。
そして実務上は、
“外れ居抜き”の方が圧倒的に多いのが現実です。
なぜ居抜きは「お得」に見えるのか
居抜き物件が魅力的に見える理由は明確です。
- 内装工事費が抑えられそう
- 工期が短そう
- 初期投資が少なく見える
- すぐ営業できそう
しかしこれは、
許可の視点が一切入っていない判断です。
許可実務から見た「居抜きの正体」
居抜きとは、
前の営業の“残骸”が残っているだけ
です。
- その営業が適法だったか
- 今の法令・条例に合っているか
- 今回の業態に合うか
これらは、まったく別問題です。
危険な居抜き①|図面が存在しない・使えない
実務で最も多いトラブルです。
- 図面がない
- 図面が古い
- 実際の構造と違う
居抜き物件は、
- 何度も改装され
- 増設・撤去が繰り返され
現況と図面が一致しないことがほとんどです。
結果、
- 図面作成し直し
- 現地実測
- 行政から差戻し
時間も費用も、
新装物件よりかかるケースすらあります。
危険な居抜き②|「前も通っている」という幻想
非常に多い誤解です。
「前は許可が出ています」
ここで確認すべきは、
- いつの話か
- どの法律で通ったか
- 今も同じ業態か
です。
- 法改正
- 条例改正
- 行政運用変更
これらが一つでも入っていれば、
前例はほぼ無意味になります。
危険な居抜き③|用途・業態が微妙にズレている
居抜きで多いのが、
- 前:飲食店
- 今回:深夜酒類提供 or 風俗営業
あるいは、
- 前:住宅
- 今回:簡易宿所
この「微妙な違い」が、
建築・消防・警察すべてに影響します。
- 用途変更が必要
- 消防設備の追加
- 構造基準の不一致
結果、
「居抜きのはずが、ほぼスケルトン」
という事態になります。
危険な居抜き④|消防設備が“中途半端”
居抜き物件の消防は、
一番信用してはいけないポイントです。
- 設備はあるが基準未満
- 前の業態用の設備
- 現行基準に合っていない
消防から言われる典型的な一言。
「これは今回の業態では使えません」
結果、
- 全撤去
- 全再設置
- 想定外の費用増
居抜きの最大の罠です。
危険な居抜き⑤|近隣との“過去の遺恨”
これは書類に出てこないリスクです。
- 前の店でトラブルがあった
- 苦情履歴が残っている
- 町会との関係が悪い
居抜きは、
場所の記憶も引き継ぐ
という点を忘れてはいけません。
新規開業よりも、
むしろ風当たりが強くなることすらあります。
「使える居抜き」の条件
では、使える居抜きはどんな物件か。
以下をすべて満たす必要があります。
- 図面が正確に残っている
- 現況と一致している
- 業態がほぼ同一
- 法改正・条例変更がない
- 消防設備が現行基準適合
正直に言うと、
ここまで揃う居抜きはかなり稀です。
新装物件の方が“結果的に安い”理由
実務でよくある逆転現象です。
- 居抜き → 調整・是正・再工事
- 新装 → 最初から基準に合わせる
結果として、
- 工期が短い
- 行政対応が楽
- 開業時期が読める
トータルでは新装の方が安全
というケースは少なくありません。
行政書士高見裕樹事務所の居抜き対応
当事務所では、
- 「居抜きだからOK」とは言いません
- 居抜きほど慎重に見ます
- ダメなものはダメと最初に伝えます
場合によっては、
「この居抜きはやめましょう」
と、
止める提案をすることもあります。
それが結果的に、
依頼者を守ることになるからです。
まとめ|居抜きは“安い物件”ではない
居抜き物件は、
- 初期費用が安く見える
- スピード感がありそう
しかし許可実務では、
リスクが前倒しで見えにくい物件
です。
- 契約前に精査
- 許可目線で判断
- 「お得そう」で決めない
これが、失敗しない唯一の方法です。
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