「民泊は届出だけでOK」…その考えは非常に危険です。
民泊(住宅宿泊事業)は、
旅館業許可(簡易宿泊所)より手軽に始められる制度ですが、
- Airbnbが突然停止
- 180日違反で行政指導
- 近隣から苦情
- 消防設備不備で営業停止
- 管理者不備で届出取消
など、実務では トラブルの発生率が非常に高い のが現実です。
理由は明確です。
【民泊は“ただの届出”なのに、旅館業と同レベルの責任が求められる】
つまり、「簡単に始められるのに、やることは重い」。
ここが多くの事業者がつまずくポイントです。
この記事では、
金沢市で実際に多い民泊トラブルを中心に、
- よくある違反
- Airbnbアカウント停止の原因
- 法的リスク
- 行政指導の実例
- トラブルにならない運営体制
を徹底解説します。
◆ 第1章|民泊(住宅宿泊事業)とは?まず“構造的にトラブルが起きやすい制度”である
民泊(住宅宿泊事業)は、
「住宅」に旅行者を泊める制度です。
【民泊の特徴】
◎ メリット
- 行政への“届出”だけで始められる
- 建築基準法の審査なし
- 用途地域の制限を受けにくい
- 初期費用が極めて安い
❌ デメリット(実務で重大)
- 年間180日まで
- 管理者の24時間対応義務
- 消防設備の設置が必須
- 隣接住宅とトラブルが多い
- Airbnbアカウント停止が頻発
🔥 結論:参入障壁が低いため、質の低い運営者が増え、行政指導が多い。
民泊ブームが落ち着いた今、
違反への取り締まりはむしろ強化されています。
◆ 第2章|民泊で最も多い違反(トップ5)
石川県・金沢市で実際に多い違反をまとめました。
❶ 180日制限違反(最も多い)
民泊は 年間180日が上限。
しかし現場では:
- Airbnbカレンダーの設定ミス
- 清掃間違いで稼働日が180日を超える
- 管理会社が日数管理していない
などで簡単に違反が発生。
→ Airbnbは自治体とデータ連携しており、不自然な稼働はすぐバレます。
❷ 管理者不在(24時間対応義務違反)
民泊では
“管理者が24時間連絡可能である”ことが義務 です。
しかし現状は…
- 他県の管理会社
- 電話に出ない個人管理者
- 夜間の対応不可
- 言語対応ができない
金沢市では
「管理者不在」が一番の指導ポイント。
❸ ゴミ出し・騒音による近隣トラブル
民泊は一般住宅地で営業されるため、
旅館業では起こらないトラブルが多発。
- 分別違反
- 玄関前での喫煙
- 夜間の話し声
- スーツケースのゴロゴロ音
- 外国人とのコミュニケーション不足
→ 苦情が役所に入ると即“立入調査”の対象。
❹ 消防設備の不備
民泊は“住宅”であっても
消防設備が必須です。
- 住宅用火災警報器の設置
- 避難経路の確保
- 消火器の設置
しかし、実務では
- 感知器の種類が違う
- 設置位置が誤っている
- 消火器の位置が不適切
- 表示がない
消防検査がないからこそ、
不備が多くなるのが実情。
❺ 住宅宿泊事業としての“実態がない”
最も多い行政指導がこれ。
✔ オーナーが別の家に住んでいるのに「主たる居所」と偽って届出
✔ 無人の完全宿泊施設として運営している
✔ “宿泊施設化”しており、住宅の実態がない
→ これは“違法民泊”に該当します。
◆ 第3章|Airbnbアカウント停止の理由トップ5
Airbnbは自治体と連携しており、
違反行為はすぐに検出されます。
❶ 180日制限違反(自動判定)
カレンダー稼働状況が異常だと、
自動的にアカウント停止。
❷ ゲストからの苦情(騒音・衛生・対応遅れ)
Airbnbは レビューと通報 を最重要視。
- 「チェックインできなかった」
- 「管理者と連絡がつかない」
- 「騒音問題」
こうした通報が重なると即停止。
❸ 消防設備の不備をゲストが報告
- 感知器がない
- 消火器が古い
- 避難経路が不明
ゲストの写真付き報告は最強。
❹ 住宅宿泊事業番号の不備・未掲示
Airbnbは番号の掲載が義務。
番号が偽装されているとすぐバレる。
❺ 違法民泊として行政から通報された場合
行政 → Airbnbへ直接通報
Airbnbは即“強制停止”。
◆ 第4章|金沢市での“実際のトラブル事例”
当事務所が相談を受けた実例を元に再構成。
事例①:180日制限を超え、Airbnbが停止
管理会社が365日カレンダーを開けてしまい、
自動で180日超え → 停止。
→ 結果:半年以上稼働できず、大赤字。
事例②:隣人からの通報で保健所が立入調査
- 外国人観光客のスーツケース音
- 夜間の会話音
通報 → 役所が調査 → 是正指導。
事例③:家主不在型が“違法民泊”扱い
「主たる居所」を偽って届出をしていた。
→ 行政指導 → Airbnb停止 → 届出取消。
事例④:消防設備の設置ミス
感知器が寝室に付いていなかった。
→ 是正命令 → Airbnb掲載不可期間が発生。
◆ 第5章|民泊は届出だけで大丈夫?→ いいえ“管理体制”がないと必ず失敗します。
民泊に必要なのは
書類ではなく運営体制です。
【民泊で最低限必要な管理体制】
① 24時間対応の管理者(日本語・英語)
電話がつながらない管理者は即アウト。
② 清掃・ゴミ出しのルール化
金沢市はゴミ分別が厳しい。
外国人向けの案内も必要。
③ 騒音防止策
防音設備より“ルール徹底”が重要。
④ 消防設備の点検
毎年の更新が必要。
⑤ 鍵の管理と本人確認
本人確認はAirbnbでも必須。
⑥ 民泊特有の“近隣ケア”
旅館業よりも密接な関係になる。
◆ 第6章|【重要】民泊でトラブルが多い理由は“旅館業ではないから”
民泊は
「住宅に泊める」という前提での制度。
つまり:
- 建築基準法の審査なし
- 消防検査が弱い
- 管理体制をひとつに統一していない
- 運営者の質がバラバラ
この状態で “宿泊業と同じ責任” を負うため、
事故やトラブルが多くなるのは当然です。
◆ 第7章|では、どうすれば安全に民泊運営できるのか?
【当事務所の実務で確立している“安全運営モデル”】
① 管理会社(民泊運営代行)と連携
- チェックイン
- 清掃
- トラブル対応
- レビュー管理
当事務所は複数社と連携。
② 消防の完全適合
“ギリギリ基準”ではなく
“安全第一”の設計。
③ 近隣への案内文・事前通知
金沢市では必須。
④ 年180日の稼働管理を当事務所がサポート
→ Airbnbのカレンダー管理方法も指導。
⑤ 図面・届出をプロが作成
届出ミスが一番危険。
◆ 第8章|まとめ:民泊は“届出だけ”では始められない。それはリスクの始まりです。
民泊は簡単に見えて
実は旅館業よりも トラブル率が高い 制度です。
- 180日制限
- 管理者義務
- 消防
- 外国人対応
- 近隣トラブル
- Airbnb停止
これらを理解せずに始めると、
必ず失敗します。
しかし、
適切な管理体制 × 運用 × 専門家連携
があれば、
民泊は“低コストで始められる優良ビジネス”になります。
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行政書士高見裕樹事務所
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