業種追加は“簡単そうに見えて、実は難しい”申請です。
建設業許可を取得した会社が
必ずといって良いほど次に考えるのが
「別の工種もやりたい」
「業種を増やしたい」
「元請からこの工事も頼まれた」
という 業種追加 の問題です。
しかし、実際に申請してみると…
- 専任技術者の要件が足りない
- 実務経験が証明できない
- 工事経歴書と書類が一致しない
- これまでの工事実績から見て“無理がある”
- 石川県の審査で止まる
など、意外と不許可になるリスクが高い申請なのです。
この記事では、
業種追加が通る会社・通らない会社の違い を
石川県(金沢市)の審査傾向を踏まえて徹底解説します。
◆ 第1章|そもそも業種追加とは?
建設業許可は「業種制許可」です。
例:
- 大工工事業
- 電気工事業
- 管工事業
- とび・土工工事業
- 建築一式工事
それぞれ「別の業種」として扱われます。
【業種追加に必要な3要素】
① 専任技術者(専技)がいること
→ 最も重要で、最も不許可が多い。
→ 実務経験 or 資格が必要。
② 経営業務管理責任者(経管)が要件を満たしていること
→ 元の許可で経管を立てていても、
→ 新業種に関する経営経験まで求められる場合がある。
(石川県はかなりシビアに見ます)
③ 営業所としての体制が整っていること
→ 書類・人員・社会保険など。
◆ 第2章|業種追加が“通る会社”の特徴
① 専任技術者が申請業種に合う経験を持っている
例:管工事 → 給排水・衛生設備
例:電気工事 → 屋内配線・照明・受電設備
例:とび・土工 → 外構・擁壁・基礎・ブロック
【重要】
他業種の工事経験では専技になれない。
② 実務経験を裏付ける書類がしっかり揃う
- 工事契約書
- 見積書・請求書
- 工事写真
- 工事台帳
- 雇用保険
など。
実務経験10年の根拠が明確であれば、通りやすい。
③ 既存業種が安定して管理されている
- 決算変更届が毎年提出されている
- 経管・専技の変更届が適切
- 工事経歴書に嘘がない
- 営業所の常勤性がある
石川県の審査官は、
「既存の許可の管理状況」を重視するため、
怠っている会社は追加審査で止まりやすい。
④ 税理士決算書との整合性が取れている
売上構成や完工高に違和感がないこと。
◆ 第3章|業種追加が“通らない会社”の典型例
❶ 専任技術者の経験が“別の工種”だった
例)
「大工工事業」の人が
「電気工事業」の追加を希望 → ほぼ不可能。
例)
「管工事」の経験が
実は“設備の撤去のみ”であった → 不許可。
❷ 実務経験の証拠書類が弱い
例:
- 請負契約書がない
- 見積書のみで証明不可
- 工事写真がない
- 雇用実態が不十分
- 元請の証明が得られない
石川県は証拠書類を非常に重視します。
❸ 工事経歴書と実務経験の内容が一致していない
例:
工事経歴書には「外構工事」と書いてあるが、
実務経験証明では「解体工事」となっている。
こうした矛盾で審査が止まります。
❹ 経管が新業種の経営経験を持っていない
業種追加では経管の範囲が広がるため、
新業種に関する“管理経験”が求められることもあります。
❺ 未提出の決算変更届がある
業種追加の審査中に
- 過去3年分の決算変更届
- 役員変更届
- 専技変更届
などが未提出だと、必ず止まる。
❻ 社会保険加入が整っていない
近年は絶対に通らない要素のひとつ。
❼ “実態のない業種追加”は不許可
- 工事実績がないのに業種追加
- 実務経験が別業種
- 名義貸し的な申請
こうした申請はすぐに見破られます。
◆ 第4章|専任技術者(専技)に関する“業種別の判断基準”
業種追加で最も重要なのは 専技の要件 です。
代表的な業種を例に説明します。
● 管工事(給排水・衛生設備)
必要な経験:
水道・下水道配管、給湯器、ボイラー、衛生設備、配管更新など。
NG例:
土木工事の配管 → とび・土工
設備撤去のみ → 実務経験として弱い
● 電気工事
必要な経験:
屋内配線、配電盤、照明設備、受変電設備など。
NG例:
エアコン取り付けのみ → 電気ではない可能性
弱電工事だけ → 内容による
● 大工工事
必要な経験:
木工事、造作、大工一式、建物部分の施工。
NG例:
建て方だけ
内装のみ
軽作業のみ
● とび・土工工事
必要な経験:
基礎工事、造成、外構、足場、掘削、型枠など。
NG例:
ブロック塀のみ
カーポートだけ
土間打ちだけ
(単体の作業だと業種区分が難しい)
● 解体工事
必要な経験:
内部解体、家屋解体、構造物解体。
NG例:
雑工
スケルトンのみ
残置物撤去のみ
◆ 第5章|業種追加の審査で見られる“5つのポイント”
① 工事の実態があるか(最重要)
書類だけ立派でも、
実際の施工が伴っていなければ通らない。
② 経管・専技の常勤性
兼務関係、他社勤務状況もしっかり見られる。
③ 決算変更届との整合性
工事経歴書に
“新業種の仕事” が一度も出てこない場合、
説明が必要。
④ 既存許可の管理状況
- 過去の書類が整っているか
- 更新届が適切か
- 変更届が漏れていないか
⑤ 偽装申請がないか
石川県は特に厳しい。
名義貸し対策が強化されています。
◆ 第6章|業種追加のための“成功パターン”
成功パターン①:実務経験が十分にある職人を専技にする
→ 工事資料が豊富
→ 写真・契約書が揃っている
最も成功率が高い方法。
成功パターン②:資格者(施工管理技士)を採用する
資格があれば、
実務経験証明が不要でスムーズ。
成功パターン③:経管補佐要件との組み合わせで立てる
新業種の経験が経管に不足していても、
補佐要件でカバーできることがある。
成功パターン④:事前に工事写真を整理しておく
審査官が見たい情報を揃えておくと通りやすい。
成功パターン⑤:まずは下請として実績を積む
“無理のない追加” が最も自然に通ります。
◆ 第7章|当事務所のサポート:業種追加に強い理由
当事務所は、
石川県・金沢市の業種追加を
多数取り扱っており、次の点に強みがあります。
● 専技の実務経験を“立証する”経験が豊富
工事資料が少なくても、
追加資料で立証するテクニックがあります。
● 業種区分の判断に強い
とび・土工か?
大工か?
管工事か?
電気か?
などの線引きは難しいですが
当事務所は区分判断が得意です。
● 県庁との事前相談を徹底
業種追加は事前相談の有無で成功率が大きく変わります。
● 工事写真・書類の整理を代行
工事資料がバラバラでも問題ありません。
◆ まとめ:業種追加は“専技の実務経験”で決まる。
業種追加が通るかどうかは
専任技術者=実務経験+証拠書類
の組み合わせでほぼ決まります。
- 実務経験が別業種
- 証拠資料が弱い
- 決算変更届の未提出
- 既存許可の管理が不十分
これらがあると通りません。
逆に、
実務経験が明確で、書類も揃い、
既存許可がしっかり管理されていれば
業種追加は十分可能です。
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行政書士高見裕樹事務所
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