― 保健所・消防・市役所の三者調整を制する者が開業を制す ―
1.はじめに|「旅館業許可=書類仕事」と思っていませんか?
旅館業許可(簡易宿所を含む)は、保健所に申請するだけで取れると思われがちです。
しかし実際には、**「保健所」だけではなく「消防署」「市役所」**との調整が欠かせません。
許可の判断に関わるのは、
- 保健所:施設基準(構造・面積・衛生)
- 消防署:避難経路・火災報知器・消火設備
- 市役所:用途地域・建築基準・違反建築の有無
この三者がそれぞれの立場から審査を行います。
つまり「書類を出すだけで通る」ものではなく、現場調整が9割といっても過言ではありません。
そこで重要になるのが、行政書士による“事前打ち合わせ”です。
行政と建築の橋渡し役を担うことで、開業時期を遅らせず、トラブルを未然に防ぎます。
2.なぜ“事前打ち合わせ”が重要なのか?
旅館業許可の審査は、担当課によって運用が異なります。
たとえば、同じ石川県でも金沢市と白山市では求められる資料や説明内容が異なり、担当者によって判断基準に幅があります。
このため、**「図面を見せて、現地を見てもらいながら協議する」**というプロセスが非常に重要です。
行政書士が申請前に各担当部署へ出向き、以下のポイントを事前に調整します。
| 担当機関 | 主な確認内容 |
|---|---|
| 保健所 | 部屋の広さ・トイレ・浴室・換気・採光などの構造要件 |
| 消防署 | 火災報知器・避難経路・消火器設置・誘導灯配置など |
| 市役所(建築指導課) | 建築基準法適合・用途地域・既存建物の検査済証確認 |
行政書士が間に入って打ち合わせを行うことで、担当者との共通認識が早期に形成され、
後の「差し戻し」「工事やり直し」といった手戻りを防ぐことができます。
3.三者調整の実際|行政書士が行う“現場交渉”とは
行政書士高見裕樹事務所では、旅館業許可の際に必ず「三者調整」を行います。
これは、単なる書類提出代行ではなく、**現場を歩き、担当課と直接話し合う“交渉型サポート”**です。
(1)保健所との調整
- 客室数・面積・共用スペースの取り扱い
- 換気・採光・衛生設備(洗面・便所・浴室)の配置
- 換気扇・窓の面積比率
- 台所や厨房の扱い(飲食提供の有無による区分)
保健所は「図面上の数字」だけでなく、現地での衛生環境を重視します。
事前に行政書士が現場を確認し、保健所の担当者に改善案を事前提示することで、スムーズに進行します。
(2)消防署との調整
- 避難経路・誘導灯・非常照明の設置位置
- 火災報知器・消火器・スプリンクラーの設置義務
- 延べ面積・構造に応じた消防法上の判断
- 消防設備士との協議・申請書作成補助
消防署は特に厳格な判断を行うため、「消防設備工事が終わってから相談」では遅いのが現実です。
行政書士が消防署に同行し、どの位置に設備を設けるか、どこまで義務があるかを確認しながら工事計画を立てることが成功のカギです。
(3)市役所との調整(建築指導課・都市計画課など)
- 用途地域の確認(住居専用地域では原則不可)
- 建築基準法上の制限(既存建物の検査済証・増築履歴)
- 違反建築の有無(申請できないケースあり)
- 看板設置・外観変更に関する条例対応
「古民家を宿にしたい」「アパートの1室を簡易宿所にしたい」というケースでは、
**建築用途の変更手続き(用途変更)**が必要になることもあります。
このようなケースでは、市役所との調整を怠ると、建築違反扱いで申請自体が受け付けられないことも。
行政書士はこうした建築法令との整合性も含めて、全体をマネジメントします。
4.事前協議をしないとどうなる?|よくあるトラブル例
行政との事前打ち合わせを省略した場合、次のようなトラブルが発生しやすくなります。
| トラブル内容 | 原因 | 結果 |
|---|---|---|
| 消防署から「避難経路が不適切」と指摘 | 図面段階で未確認 | 工事やり直し・追加費用発生 |
| 保健所から「換気窓が基準未満」と指摘 | 面積計算ミス | 開業延期 |
| 市役所から「用途地域が旅館業不可」と指摘 | 立地確認不足 | 申請取り下げ |
| 消防設備業者・内装業者の連携ミス | 行政との認識共有不足 | 余分なコスト発生 |
これらは、行政書士が初期段階で介入していれば防げる問題です。
「最初に誰と打ち合わせるか」で、結果がまったく変わります。
5.行政書士が行う“旅館業許可前の事前調査”とは
行政書士高見裕樹事務所では、申請前に以下の調査・確認を行います。
- 立地調査:用途地域・都市計画・条例の確認
- 建物調査:建築図面・検査済証・既存構造の確認
- 衛生調査:トイレ・浴室・洗面・排水経路の確認
- 消防確認:火災報知器・避難経路・誘導灯設置可否
- 近隣配慮:看板掲示や説明会の要否確認
これらを踏まえ、事前に保健所・消防・市役所へ打診・調整を行うため、
本申請時には「すでに方向性が固まっている」状態にできます。
6.“旅館業許可”が通らない代表的な理由と対処法
| 不許可理由 | 対処法 |
|---|---|
| 用途地域が住居専用である | 他用途地域の物件を再検討 or 用途変更手続き |
| 客室の採光・換気が不足 | 窓拡張・換気扇追加などの改善工事 |
| 浴室・便所が共用で基準外 | 構造区分を変更して基準化 |
| 消防設備未設置 | 消防設備士・工事業者と連携して整備 |
これらは行政との事前打ち合わせで判明する項目ばかりです。
後から指摘されると、開業時期が1〜2か月遅れることもあります。
7.行政書士高見裕樹事務所の“現場調整力”
当事務所は石川県を拠点に、北陸三県(富山・福井)まで広く対応しています。
単なる書類作成代行ではなく、現場に強い行政書士事務所として次の特徴があります。
- 行政との事前協議をすべて代行
保健所・消防・市役所の3機関に対して、事前協議・説明・調整を一括で対応。 - 建築・内装の現場にも同行
自社グループ(株式会社Kプランニング)による内装工事との連携で、構造面も的確に判断。 - 住民説明会対応も可能
条例で義務づけられていない地域でも、近隣説明が求められるケースに柔軟対応。 - ワンストップ支援体制
物件紹介(ふちどり不動産)+設計・施工(Kプランニング)+許認可(行政書士高見裕樹事務所)で、開業まで全工程を一元管理。
8.スケジュール管理の重要性
旅館業許可の審査は、平均で約45〜60日を要します。
しかし、事前調整や工事計画を含めると、実際には3か月以上かかるケースも少なくありません。
行政書士は、以下のような工程表を作成し、開業までの全体スケジュールを管理します。
| 工程 | 期間目安 | 内容 |
|---|---|---|
| ① 現地調査・三者打ち合わせ | 約2週間 | 保健所・消防・市役所への事前確認 |
| ② 図面補正・工事計画立案 | 約2〜3週間 | 設計士・施工業者との調整 |
| ③ 書類作成・申請提出 | 約1週間 | 添付書類整備・提出 |
| ④ 現地検査・許可 | 約45〜60日 | 保健所検査・消防検査など |
| ⑤ 開業準備 | 約1週間 | 看板掲示・宿泊予約サイト登録など |
このように、事前打ち合わせを計画的に進めることで、開業スケジュールを確実に守ることができます。
9.よくある質問Q&A(実務編)
Q1. 建物が古くても許可は取れますか?
→ 可能です。ただし、衛生・防火基準を満たすよう一部改修が必要な場合があります。
Q2. 民泊との違いは?
→ 民泊(住宅宿泊事業法)は年間180日以内の営業制限がありますが、旅館業(簡易宿所)は通年営業が可能です。
Q3. 住民説明会は必要ですか?
→ 義務ではありませんが、金沢市などでは求められるケースが多いため、当事務所で開催支援を行います。
Q4. 行政書士に依頼した場合の費用は?
→ 行政書士報酬:150,000円~(税・実費別)
図面・測量費:55,000円前後(規模により)
申請手数料:16,000円(保健所)
10.まとめ|「書類」ではなく「調整」が旅館業許可の本質
旅館業許可の本質は、行政との対話と現場調整にあります。
保健所・消防・市役所がそれぞれ異なる基準で判断するため、
行政書士がその橋渡しを担うことで、初めてスムーズな許可取得が可能になります。
事前打ち合わせを軽視すれば、結果として開業が遅れ、余分なコストが発生します。
逆に、初期段階から行政書士を入れることで、最短ルートでの許可取得と円滑な運営が実現します。
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