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土地を買えば作れるわけじゃない|墓地経営許可申請の流れと注意点【石川県】

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“土地を買えば作れる”わけじゃない

墓地経営許可申請の実務と注意点
【墓地経営許可申請 × 行政書士】


はじめに

「新しく墓地や納骨堂を作りたい」
「寺院の境内に新たな区画を設けたい」
「地域の共同墓地を整備して許可を取り直したい」

──そんな相談を受けることが増えています。

しかし、墓地や霊園は土地を買えばすぐに開発できるわけではありません。
墓地の新設・移転・拡張には、**「墓地経営許可」**が必ず必要です。

そしてこの許可は、建設業許可や風俗営業許可とは比べものにならないほど、
関係法令が多く、行政調整も複雑です。

この記事では、石川県内での墓地経営許可の申請実務について、
行政書士高見裕樹事務所が現場感覚を交えてわかりやすく解説します。


1.墓地経営許可とは

墓地経営許可とは、墓地、納骨堂、火葬場などを新たに設ける際に必要な行政の許可です。
根拠法令は「墓地、埋葬等に関する法律」(昭和23年法律第48号)です。

この法律第10条では、次のように定められています。

墓地、納骨堂または火葬場を経営しようとする者は、
都道府県知事の許可を受けなければならない。

つまり、墓地を“経営”するとは、**区画を造成し、他人に使用させること(使用権を設定すること)**を指します。
宗教法人・地方自治体・公益法人などが主な対象です。


2.許可を受けなければならないケース

以下の行為はすべて、墓地経営許可が必要です。

  • 新しく墓地・納骨堂を設置する
  • 既存墓地の敷地を拡張する
  • 墓地を他の場所へ移転する
  • 一般墓地を共同墓地に変更する
  • 民営霊園を開設する

また、「墓石の販売」「墓地の清掃委託」などの単なる業務委託ではなく、
土地を区画して使用権を付与する場合は「経営」に該当します。


3.墓地経営の主体(誰が申請できるか)

墓地経営許可の申請者になれるのは、原則として以下の者に限られます。

区分主な対象備考
宗教法人寺院・教会・神社など墓地の大半がこの形態
地方公共団体市町村・組合公営墓地
公益法人財団法人・社団法人など民営霊園などに多い

個人が営利目的で墓地を経営することはできません。
ただし、宗教法人や公益法人を設立した上で経営するケースはあります。


4.墓地経営許可の手続きの流れ

墓地経営許可は、他の許認可と異なり、行政協議の段階が非常に長いのが特徴です。

【全体の流れ】

  1. 事前相談(市町村役場・保健所)
  2. 土地利用の確認(都市計画法・農地法・建築基準法)
  3. 関係機関との協議(環境・道路・上下水道・景観等)
  4. 周辺住民への説明・同意書取得
  5. 正式申請(市町村経由で県へ)
  6. 審査・現地確認
  7. 許可通知・工事着手

このうち、ステップ2〜4が最も時間を要します。


5.墓地に適さない土地・注意すべき地域

墓地の立地には、法律や条例で厳しい制限があります。

✅ 許可が下りにくいケース

  • 市街化区域(住宅地・商業地など)
  • 農地転用許可が下りない農振地域
  • 公共施設(学校・病院・保育園など)から100m以内
  • 水源保護区域
  • 急傾斜地や崩落危険区域

墓地は「衛生」「環境」「景観」「防災」の観点から、
周囲への影響が少ない場所に限定されています。

そのため、候補地を選定する段階から行政書士に相談することが重要です。


6.申請に必要な主な書類

墓地経営許可申請に必要な書類は膨大です。

  1. 墓地経営許可申請書
  2. 経営者の資格証明書(宗教法人登記簿謄本など)
  3. 土地の登記事項証明書
  4. 土地利用計画図・配置図・平面図・断面図
  5. 付近見取図・測量図
  6. 周辺施設の状況図
  7. 衛生・排水計画書
  8. 墓地造成工事計画書
  9. 住民説明記録・同意書
  10. 委任状(行政書士代理申請時)

図面の精度が低いと審査で差し戻されることも多く、
建築・土木図面の経験が豊富な行政書士が対応することが望ましいです。


7.審査のポイントと期間

石川県内では、申請から許可まで6か月〜1年かかるのが一般的です。

審査で特に重視されるのは次の3点です。

  1. 衛生上の安全性(地下水・排水・距離基準)
  2. 土地利用の適法性(都市計画・農地転用・開発行為)
  3. 地域との調和(周辺環境・住民理解)

このうち「地域との調和(住民説明)」が最もハードルが高く、
住民説明会を開催して同意書を取付ける必要があります。

当事務所では、説明文書の作成・配布・回収支援まで対応しています。


8.石川県での申請の流れ

石川県の場合、墓地経営許可の申請窓口は**保健福祉センター(保健所)**です。
金沢市の場合は金沢市保健所が独自に審査します。

【例:金沢市内での申請ルート】

  1. 事前相談(金沢市保健所)
  2. 都市計画・景観・道路管理課と協議
  3. 宗教法人の確認(石川県総務課)
  4. 現地確認
  5. 住民説明・同意
  6. 県知事(市長)許可

※他の地域(白山市・小松市など)でも同様の流れになります。


9.墓地経営許可と関連する他の法令

墓地経営許可を取得するには、以下の法律との整合が不可欠です。

法令内容
都市計画法市街化区域では原則不可。開発許可が必要な場合あり。
建築基準法墓地内の建物(納骨堂など)は建築確認が必要。
農地法農地を転用する場合、事前に農地転用許可が必要。
環境衛生条例墓地の面積・距離基準・排水計画の基準を定める。
公益法人認定法民営霊園の場合、公益法人格が必要。

行政書士は、これらの法令を整理し、
申請順序と必要書類を計画的に整える役割を担います。


10.費用の目安

区分行政書士報酬(目安)実費(証明書・図面等)
墓地経営許可申請220,000円〜20,000〜50,000円程度
墓地移転・拡張許可165,000円〜同上
住民説明資料作成33,000円〜印刷費等別途

※敷地面積・関係機関数により変動します。


11.実際の相談事例

事例①:金沢市寺院の境内拡張
→ 既存墓地を一部拡張し、新区画を設ける計画。
 都市計画法・農地法の協議を同時進行。許可まで約8か月。

事例②:白山市民営霊園の新設
→ 宗教法人格を有する団体が公益目的で申請。
 造成図面と衛生計画を行政書士が作成し、スムーズに許可取得。

事例③:能美市・共同墓地整備
→ 地元自治会が管理する既存墓地を再整備。
 法的根拠の明確化と土地登記整理をサポート。


12.許可後の義務

墓地経営許可を受けたあとは、次のような運用上の義務があります。

  • 墓地使用者名簿の作成・保管
  • 区画ごとの使用権管理
  • 墓地内の衛生・安全維持
  • 管理規約の整備
  • 使用料・管理料の収支報告(公益法人の場合)

行政書士は、これらの管理体制を文書化し、
運営の透明性を保つための内部規程づくりも支援可能です。


13.行政書士に依頼するメリット

墓地経営許可は、単なる申請手続きではなく、
**「行政調整・法令整理・地域調和」**を要するプロジェクトです。

行政書士に依頼することで、次のようなメリットがあります。

  1. 各法令(都市計画・農地・環境)を総合的に整理できる
  2. 住民説明資料・同意書・案内文の作成を代行できる
  3. 行政との折衝・補正対応を一括で任せられる
  4. 許可後の管理規程・届出書類までサポート可能

14.まとめ

墓地の経営や霊園の新設は、地域との信頼関係を築きながら進める長期プロジェクトです。
「土地があるから作れる」という単純な話ではなく、
複数の法令調整と行政協議を要する非常に専門的な手続きです。

行政書士高見裕樹事務所では、
石川県・富山県・福井県を中心に、
墓地経営許可・納骨堂設置・共同墓地整備などの相談に対応しています。

宗教法人・自治会・公益法人など、経営主体に応じた書類作成・行政協議をトータルで支援いたします。


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