“前テナントがスナック”でも油断禁物|居抜き活用の再申請ポイント【2025年対応版】
はじめに
「以前スナックだった物件だから、風俗営業許可はすぐ取れるはず」
──そう思って契約した結果、再申請で“まさかの不許可”となるケースが後を絶ちません。
実は、前テナントが風俗営業許可を持っていたとしても、そのまま引き継げるわけではありません。
風営法の改正(2025年対応)により、構造・照度・用途地域などの審査が一層厳格化しています。
この記事では、石川県・富山県・福井県の現場対応経験をもとに、
「居抜き物件で風俗営業許可を再取得する際に注意すべきポイント」を詳しく解説します。
1️⃣ 「居抜き物件」とは?
居抜き物件とは、前のテナントが使用していた内装・設備をそのまま引き継ぐ物件のことです。
カウンター、照明、ソファ、厨房設備などが残っており、初期費用を抑えられる点が魅力です。
特にナイトビジネスでは、
- スナック
- ラウンジ
- キャバクラ
などの店舗が退去した後に、同業態で再利用されることが多く見られます。
しかし、「以前も風営許可があった=今回も通る」ではない点が最大の落とし穴です。
2️⃣ なぜ“再申請”が必要なのか?
風俗営業許可は、「人」と「場所」の両方に対して与えられる許可です。
つまり、営業者が変われば、新たな申請が必ず必要です。
また、風営法上の構造基準・照度基準は都道府県ごとに細かく異なり、
建築年や前回の許可時期によっても要求内容が変化します。
💡 たとえ「スナックの跡地」でも、
内装の一部変更・照明交換・仕切り追加などで構造要件を満たさなくなる場合があります。
3️⃣ 再申請でよくある“落とし穴”5選
① 看板・表示物の変更忘れ
前テナントの店名看板を残したままにしておくと、許可前営業と誤認されるリスクがあります。
外観・看板・照明は、申請図面と一致している必要があります。
行政によっては「営業準備中の状態」でも、誤解を招く表示は指導対象となります。
② 用途地域の変更
前回の営業当時と現在の都市計画が変わっていることがあります。
風俗営業が可能なのは、以下の用途地域に限られます。
| 用途地域 | 営業可能性 |
|---|---|
| 商業地域 | ◎ ほぼ可能 |
| 近隣商業地域 | ○ 条件付き |
| 準工業地域 | △ ケースにより可 |
| 住居系地域 | × 原則不可 |
特に金沢市・富山市では、住居系地域の細分化や用途変更が進んでおり、
「前はOKだった場所が今はNG」になっていることもあります。
③ 照度(明るさ)不足
風営法では、客室の照度基準が厳密に定められています。
石川県の場合、客室の平均照度は5ルクス以上が必要です。
古いスナックの居抜きでは、
- ダウンライトが暗すぎる
- 間接照明中心で照度不足
といったケースが多く、再測定で不合格になることがあります。
照度測定は、行政書士が警察立会い前に予備測定しておくのが確実です。
④ 図面の整合性
風俗営業許可申請には、**実測図面(平面図・求積図・配置図など)**が必須です。
しかし、前テナントの古い図面を流用すると、以下のような不一致が頻発します。
- カウンター位置がずれている
- 間仕切りや個室構成が変更されている
- 客室・従業員室の区分が曖昧
2025年の運用から、石川県警では**「CADによる正確な寸法図面」提出を原則化**する方向にあり、
測量のやり直しが必要になるケースが増えています。
⑤ 防火・避難経路の不備
風営法だけでなく、消防法上の基準もクリアする必要があります。
古いスナックでは、避難経路が1方向しかなく、
→ 消防が通らず、結果的に風営許可も出ないケースが非常に多いです。
✅ 特に「2階以上の店舗」「地下店舗」は要注意。
避難経路の確保・誘導灯・非常口マークの設置が義務付けられています。
4️⃣ 実際にあった事例(石川県内)
【事例①】金沢市片町・スナック跡地
- 前テナントが風営許可持ち。
- カウンター配置を変更した結果、客室面積が不足。
➡ 再測量で図面再提出 → 許可まで3週間延長。
【事例②】白山市・テナントビル2階
- 以前はバー、今回はキャバクラ用途で申請。
- 照度不足+防火区画不備で消防から是正指導。
➡ 改修工事後に再検査、許可取得まで2か月。
【事例③】富山市・ラウンジ居抜き
- 商業地域だが、近隣に学校新設(150m)。
➡ 立地基準により「新設学校から100m以内」のため不許可。
5️⃣ 再申請の手順と期間
1️⃣ 現地調査・測量・用途地域確認(1週間)
2️⃣ 図面作成(CAD測量)・照度測定・消防協議(2〜3週間)
3️⃣ 警察署・公安委員会への申請(約55日)
4️⃣ 許可証交付・営業開始
➡ 合計:約2か月〜2.5か月が目安。
6️⃣ 2025年(令和7年)法改正のポイント
令和7年の運用改正では、
- 図面提出のデジタル化(電子データ提出)
- 管理者要件の確認強化(変更届義務)
- 店舗内カメラ設置に関するガイドライン明確化
などが予定されています。
これにより、「古い店舗図面を紙で提出」「管理者変更を放置」といった運用は今後通用しなくなります。
再申請時は最新フォーマットに準拠した書類作成が必要です。
7️⃣ 行政書士に依頼するメリット
風俗営業許可の再申請では、警察・消防・建築の3部門と協議が必要です。
行政書士高見裕樹事務所では、
- 用途地域・図面調査
- 照度測定・構造要件確認
- 消防・警察対応の立会
を一括で対応します。
また、自社グループ「株式会社Kプランニング」により、
改修工事・照明工事・間仕切り修正までワンストップ対応が可能です。
書類だけでなく、「通る店舗」をつくる。
これが、行政書士高見裕樹事務所の最大の強みです。
8️⃣ 居抜き物件を選ぶ際のチェックリスト
| チェック項目 | 内容 |
|---|---|
| 用途地域 | 住居系地域でないか |
| 周辺環境 | 学校・病院・児童福祉施設から100m以上 |
| 天井高 | 2.1m以上確保できているか |
| 客室面積 | カウンターや通路を除いて計算 |
| 消防設備 | 報知器・避難誘導灯・消火器の有無 |
| 図面 | 最新状態を実測して作成済みか |
物件契約前にこれらを確認することで、
「契約後に使えない」という最悪のリスクを回避できます。
9️⃣ 実務担当者からのアドバイス
- “安い居抜き”ほど注意。 修繕費が結果的に高くつくケース多数。
- 改修前に現地測量必須。 壁位置・カウンター長さが図面と違うことが多い。
- 消防立会を軽視しない。 一度の不適合で申請が1か月延びることも。
🔟 まとめ
「前テナントがスナックだったから大丈夫」
──この油断が、最も危険です。
2025年以降の風営法運用では、
- 図面の正確性
- 照度・構造・避難経路の整合性
- 管理者体制の明確化
が求められ、居抜き再申請は“簡単”ではありません。
行政書士高見裕樹事務所では、北陸三県(石川・富山・福井)で多数の風俗営業許可実績があり、
「許可が取れる居抜き物件かどうか」を契約前から調査可能です。
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行政書士高見裕樹事務所
TEL:076-203-9314