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アパートの1室でも宿にできる?|共同住宅での簡易宿所許可の条件と注意点

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“アパートの1室でも宿にできる?”|共同住宅での簡易宿所許可の条件


はじめに

「空いているアパートの1室を宿泊施設にしたい」
「マンションの1フロアをリノベして簡易宿所にしたい」

──そんなご相談が、近年石川県でも急増しています。

しかし実際には、共同住宅を宿泊用途に転用することは簡単ではありません
消防基準や用途地域、建物構造、近隣環境など、さまざまな制約をクリアする必要があります。

この記事では、行政書士高見裕樹事務所が手掛けた石川県内の事例をもとに、アパートやマンションを簡易宿所に転用する際の具体的な条件と注意点をわかりやすく解説します。


1️⃣ 「簡易宿所」とは?──旅館業法上の位置づけ

「簡易宿所」とは、旅館業法上の「旅館・ホテル・下宿・簡易宿所」の4区分のひとつで、
主に宿泊者を共用スペースで受け入れる小規模な宿泊施設を指します。

✅ 主な特徴

  • 個室型でも「簡易宿所」に分類されるケースあり
  • 客室面積:1人あたり3㎡以上(共用部分除く)
  • 定員制限あり(宿泊者数の上限は面積で算定)
  • 「住宅宿泊事業(民泊)」とは異なり、年間営業日数の制限なし

つまり、旅館業法上の「許可営業」として、365日いつでも宿泊者を受け入れられるのが大きなメリットです。


2️⃣ 共同住宅で簡易宿所を行うときの主なハードル

アパートやマンションで簡易宿所を開業するには、以下の課題をクリアする必要があります。

(1)建築基準法上の用途変更

共同住宅(住宅用途)を宿泊用途に変える場合、「用途変更」の確認申請が必要です。
ただし、延床面積200㎡未満で構造に影響がない場合は、建築確認申請を要しない「軽微な用途変更」として扱われることもあります。

✅ ただし、「旅館」への用途変更扱いとなる点に注意。
建築基準法第87条では、用途変更を伴う場合、建物全体の避難安全性が問われます。


(2)用途地域の制限

建築物が建っている地域が、「簡易宿所(旅館業)」として認められる用途地域かどうかを確認する必要があります。

用途地域簡易宿所の可否補足
商業地域○ 可問題なし
近隣商業地域○ 可多くの宿が該当
準住居地域○ 可一部条件付き
第一・第二種住居地域△ 条件付き共同住宅の場合は要確認
第一・第二種中高層住居専用地域✕ 原則不可旅館業は認められない

金沢市では、「第一種住居地域」でも特例で許可された例がありますが、周辺用途や住民同意などの条件が付されることがあります。
開業前に市の建築指導課または保健所に必ず相談するのが鉄則です。


(3)消防法上の基準

最も厳しいのが消防基準です。
共同住宅の一室を宿泊施設にする場合、住宅用設備のままでは不十分なケースが大半です。

主な設置義務

  • 自動火災報知設備(連動型)
  • 誘導灯(非常口標識)
  • 消火器の設置(階ごとに1台以上)
  • 避難経路図・非常口表示
  • 消防用標識・避難経路確保

金沢市・白山市などでは、消防署との事前協議が必須であり、配線経路や報知設備の設置位置まで具体的に指導を受けます。

💡 共同住宅の一部を転用する場合、建物全体の消防設備が不足していると、他の入居者にも影響する可能性があります。


3️⃣ 実際にあった事例:共同住宅を簡易宿所に転用したケース

事例①:金沢市中心部・築20年の賃貸マンション

  • 構造:鉄骨造3階建、延床面積180㎡
  • 2階の1室(約30㎡)を宿泊用に転用
  • 消防設備を個別に設置(報知器・誘導灯)
  • 用途地域:商業地域
    ➡ 事前協議を経て簡易宿所許可取得

事例②:白山市郊外・木造2階建アパート

  • 構造:木造2階建6室
  • 1階の2室を宿泊用として改装
  • 用途地域:第二種住居地域
  • 消防設備・避難経路の確保が困難で不許可

事例③:富山市中心街・マンション1フロア貸切

  • 構造:RC造5階建
  • 用途地域:商業地域
  • 消防設備を全フロア更新、避難経路表示設置
    ➡ 建物全体の安全性が確保され、無事許可取得

4️⃣ 建築・消防以外にもある3つの注意点

① 騒音・生活トラブル対策

共同住宅では、他の入居者とのトラブル回避が最重要。
チェックイン時間・ゴミ出し・深夜の会話など、宿泊者へのルール明示が求められます。
「ハウスルール」や「利用規約」を英語対応で掲示するのが効果的です。


② 管理体制・常駐要件

簡易宿所では、原則として**「管理者の常駐または迅速な対応体制」**が必要です。
管理者が不在の場合は、

  • 緊急連絡先の掲示
  • 30分以内で現地対応できる体制
    を証明する必要があります。

行政書士高見裕樹事務所では、外部委託型の管理体制構築にも対応しています。


③ 消防設備設置費・改装費の負担

個室型簡易宿所への転用では、消防設備だけで数十万円~100万円超かかる場合もあります。
さらに、間仕切りや床仕上げを宿泊用途に変更するための改装工事費も発生します。
そのため、事前に費用見積を取ってから許可申請を進めることが重要です。


5️⃣ 簡易宿所許可の取得までの流れ(石川県内)

1️⃣ 物件調査・用途地域確認(1週間)
 建築指導課・保健所での事前相談。

2️⃣ 図面作成・消防協議(2〜3週間)
 配置図・平面図・避難経路図・消防設備図などを作成。

3️⃣ 保健所への申請・現地検査(2〜4週間)
 旅館業法に基づく申請 → 現地検査で消防・衛生確認。

4️⃣ 許可証交付(営業開始)

👉 全体のスケジュール目安:約1.5〜2か月


6️⃣ 共同住宅を宿にする際の“現実的な落とし穴”

  • 消防設備の追加工事が建物全体に波及
  • 他の居住者の理解が得られず反対運動
  • 管理規約(分譲マンション)で「旅館業禁止」条項がある
  • 賃貸契約上、用途変更禁止となっている

これらを見落とすと、せっかくの申請準備が水の泡になることも。
行政書士高見裕樹事務所では、事前調査の段階から法令・契約・構造の三方向でリスクを確認し、実現可能性を診断します。


7️⃣ 自社施工でワンストップ対応(改装+許可+不動産)

行政書士高見裕樹事務所では、不動産会社「ふちどり不動産」およびリフォーム会社「株式会社Kプランニング」と連携し、

  • 物件選定(共同住宅・マンション探し)
  • 改装工事(間仕切り・消防設備対応)
  • 許可申請(旅館業・消防・用途変更)
    までをワンストップで対応しています。

「使っていない部屋を宿泊事業に活用したい」
「マンションの空室を収益化したい」

そんなオーナー様の課題を、不動産+許認可+リフォームの三本柱で解決します。


8️⃣ まとめ:共同住宅でも「条件を満たせば」宿にできる

アパートやマンションの一室でも、
✅ 用途地域
✅ 消防基準
✅ 建築構造
✅ 管理体制
の条件をすべて満たせば、合法的に宿泊施設として運営が可能です。

しかし、1つでも欠けると「不許可」となるのが現実です。
まずは、現地調査・用途確認・消防相談をセットで行うことが第一歩です。


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