“ただの整地じゃない!”|駐車場造成工事に必要な許可と届出
はじめに
「空き地を整地して駐車場にしたい」
「建物を解体して平面駐車場にしたい」
こうした相談は、石川県内でも非常に多いものです。
しかし、実際に造成・整地・舗装を行う際には、思わぬ許可や届出が必要になるケースが多いことをご存じでしょうか。
「ただの土をならすだけ」と思っていても、実際には建設業法・都市計画法・道路法・農地法など、複数の法令が関係してきます。
この記事では、行政書士高見裕樹事務所が実際に関わった石川県内の事例をもとに、
「駐車場造成工事に必要な許可・届出・注意点」をわかりやすく整理します。
1️⃣ まず押さえたい|造成・整地・舗装工事の違い
同じ「駐車場づくり」でも、工事内容によって分類が異なります。
| 工事内容 | 該当する建設業の区分 | 具体例 |
|---|---|---|
| 整地・掘削・盛土・地盤改良 | とび・土工工事業 | 整地・造成・根切り・盛土・仮設工事など |
| コンクリート舗装・アスファルト舗装 | 舗装工事業 | 平面駐車場・通路舗装・歩道整備など |
| ブロック・フェンス・外構設置 | 造園工事業/建具工事業など | 外周囲い・花壇・縁石・フェンス設置 |
| 建物解体 | 解体工事業 | 家屋・倉庫の解体・撤去 |
つまり、駐車場を「作る」だけでも、
- 土工事(造成)
- 舗装工事(アスファルト)
- 外構工事(フェンス・縁石)
が重なることが多く、複数業種の建設業許可が必要な場合があります。
2️⃣ 「建設業許可」はどこまで必要?
建設業法では、1件の工事請負金額が500万円(税込を除く)を超える場合には、原則として建設業許可が必要です。
造成・舗装工事の場合、機械使用や土搬出費用がかさむため、すぐに500万円を超えるケースも少なくありません。
- 整地+舗装+排水工事 = 約600万円
- 解体+造成 = 約700万円
このような金額帯になると、**許可のない業者が請け負うと「無許可営業」**として指導対象になります。
💡 無許可営業のリスク
- 工事代金の請求ができなくなる(契約が無効扱い)
- 行政処分(営業停止・罰金)の対象
- 元請・発注者への信頼失墜
石川県でも、造成工事を分割契約にして500万円未満に見せかける行為が問題視されており、指導事例が実際にあります。
3️⃣ 駐車場造成に関係する主な許可・届出
造成工事は「土地をどう使うか」に関わるため、建設業許可以外にも複数の法律が関係します。
(1)都市計画法の開発許可
- 面積1,000㎡を超える造成は「開発行為」に該当。
- 市街化区域/市街化調整区域で要件が異なる。
- 調整区域内では原則として駐車場も許可対象。
👉 石川県金沢市や白山市では、調整区域の造成には必ず事前相談が必要です。
(2)農地法の転用許可
- 農地を駐車場にする場合は「農地転用許可」が必要。
- 市街化区域なら届出で可、調整区域では原則許可制。
- 無断転用は原状回復命令や罰則対象になります。
(3)道路法・道路占用許可
- 公道に出入口を設ける場合は「道路占用許可」または「道路使用許可」が必要。
- ガードレールの撤去や縁石の切り下げも該当。
- 管轄は市町村の建設課・道路管理課。
(4)解体工事届
- 建物を撤去して駐車場にする場合は、「建設リサイクル法」に基づく届出が必要。
- 延床80㎡以上の建物は届出義務あり。
(5)雨水排水・宅地造成等規制法
- 造成によって排水経路が変わる場合、雨水排水計画の届出が必要。
- 斜面地や盛土を伴う造成は、宅地造成等規制法の許可が必要な場合も。
4️⃣ 石川県内で実際にあった“指導事例”
【事例①】造成+舗装を分割請負にしたケース(白山市)
A業者が「整地150万円+舗装380万円」と2契約に分けて受注。
実際には同一現場で同一発注者からの工事であり、合計530万円。
建設業法上は“一件の請負”とされ、無許可営業として指導。
【事例②】農地転用をせずに整地したケース(金沢市郊外)
B氏が農地をそのまま駐車場化。
農地法第4条違反として、県から原状回復命令。
舗装・フェンス撤去を余儀なくされ、数十万円の損失に。
【事例③】道路接続部分の無断切り下げ(能美市)
造成業者が市道への乗入口を無断で施工。
市から原状回復+占用許可取得命令。
その後の手続きに約2か月を要し、オープン時期が大幅に遅延。
5️⃣ 工事前に必ず確認すべき「5つのチェックポイント」
1️⃣ 土地の用途地域(商業/住居/調整区域など)
2️⃣ 地目(農地なら転用が必要)
3️⃣ 隣接道路の管理者(市道・県道・私道)
4️⃣ 敷地面積と高低差(盛土・切土があるか)
5️⃣ 工事金額(500万円を超えるかどうか)
これらを事前に把握していないと、着工後に「ストップ」がかかることがあります。
特に農地転用と道路占用は、許可が下りるまでに1~2か月かかる場合もあるため、スケジュールに余裕をもって計画することが重要です。
6️⃣ 許可申請はどこに出す?
| 許可・届出内容 | 申請先 |
|---|---|
| 建設業許可 | 石川県庁 建設業課 |
| 開発許可 | 各市町村の都市計画課 |
| 農地転用許可 | 各市町村の農業委員会 |
| 道路占用許可 | 各市町村の道路管理課 |
| 宅地造成等規制法 | 各市町村の建築指導課 |
| 解体届 | 各市町村の建築住宅課/県土木事務所 |
手続きは複数にまたがることが多いため、行政書士が一括で調整を行うケースが一般的です。
7️⃣ 「造成+舗装」は建設業許可の代表例
駐車場造成を請け負うには、以下の許可が主に関係します。
- とび・土工工事業(造成・整地)
- 舗装工事業(アスファルト・コンクリート舗装)
- 解体工事業(建物撤去を伴う場合)
複数の工種を扱う場合は「建築一式工事業」でまとめることも可能ですが、内容に応じた選定が重要です。
行政書士高見裕樹事務所では、現場の施工実態に合わせた業種選定・証明書作成までサポートしています。
8️⃣ 自社施工+許可申請の“理想形”
行政書士高見裕樹事務所では、グループ会社「株式会社Kプランニング」を通じて、
- 駐車場造成
- アスファルト舗装
- 外構整備
を自社で施工可能です。
つまり、
**「許可の取得」+「工事の実施」+「法的手続」**をすべてワンストップで対応できます。
たとえば、
「更地を駐車場にして収益化したい」
「テナント開業に合わせて駐車場を整備したい」
といった相談も、
物件選定から申請、施工まで一貫サポート可能です。
9️⃣ よくある質問(FAQ)
Q1:造成工事を外注しても許可は必要?
→ 元請として契約・請求を行う場合は元請側にも許可が必要です。
Q2:個人で自宅敷地を整地するだけでも必要?
→ 自己使用目的なら不要ですが、第三者に貸す場合は「事業用」と判断され、許可や届出が必要なケースがあります。
Q3:アスファルトではなく砕石敷きでも届出が必要?
→ 排水計画や農地転用の有無によっては必要です。
🔟 まとめ
駐車場造成工事は、「ただの整地」と思って始めると、後から許可の壁にぶつかります。
- 造成や舗装は建設業許可が必要
- 農地転用・開発許可・道路占用が絡む
- 無届施工は行政指導や原状回復のリスク
これらを正しく理解し、着工前の法令確認と許可申請を確実に行うことが重要です。
行政書士高見裕樹事務所では、
造成・舗装・解体を含む一連の手続きについて、
「許可申請+現場対応」をワンストップでサポートしています。
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