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古民家を宿に|北陸三県で旅館業許可を取るためのリノベーション実務と補助金活用

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古民家を宿に

北陸三県で旅館業許可を取るためのリノベーション実務

北陸地方には、築50年〜100年を超える古民家が数多く残っています。
金沢の町家、白山市や南砺市の古民家、越前の木造住宅など、
どれも風情があり、訪れる観光客にとって大きな魅力です。

しかし、「古民家をそのまま宿にできる」と考えるのは危険です。
旅館業法の構造基準や消防法令への適合が必要で、
リノベーションの設計段階から“許可を取るための構造計画”を組む必要があります。


1.古民家を宿にするメリット

北陸で古民家宿が注目されている理由は、単なる観光ブームだけではありません。

🔸(1)地域資源の活用

空き家問題が深刻化する中、既存住宅を再利用することで地域景観を守りつつ経済循環を生む。

🔸(2)宿泊単価を上げられる

「一棟貸し」「体験型宿泊」として高単価の宿泊料を設定できる。

🔸(3)文化・体験の提供ができる

囲炉裏・縁側・畳・梁などを活かした空間が外国人観光客に人気。

🔸(4)補助金の対象になりやすい

自治体の空き家再生・観光推進補助金を受けられる場合がある。


2.古民家リノベーションに必要な3つの視点

旅館業許可を取る際に重要なのは、
デザインではなく「法的に営業できる建物にすること」。

(1)構造安全性

老朽化・傾き・シロアリ被害などがある場合は、耐震補強が必要。

(2)衛生・設備基準

旅館業法に基づく「トイレ・洗面・換気・採光・床面積」を満たす必要。

(3)消防法令適合

火災警報器・誘導灯・消火器・避難経路の設置が義務。

設計士や行政書士が早期に連携し、「どの改装で許可を取れるか」を判断します。


3.古民家でも旅館業許可は取れるのか?

結論から言えば、十分に可能です。
ただし、以下の条件を満たす必要があります。

チェック項目要件
用途地域商業・準住居・準工業地域であること(第一種低層は不可)
構造安全性倒壊・漏水がないこと
客室面積1室あたり7㎡以上(複数人宿泊時は1人3.3㎡加算)
換気・採光外気に通じる窓または換気設備あり
トイレ・浴室共同または個室設置(清潔・排水完備)
避難経路廊下幅80cm以上、非常口・誘導灯設置

4.古民家リノベーションの基本ステップ

ステップ内容担当
① 現地調査構造・用途地域・老朽度確認行政書士+施工会社
② 図面作成・設計平面・求積・消防設備図を作成設計士・行政書士
③ 消防事前相談消防法令適合の可否確認行政書士
④ 改修工事配管・トイレ・避難口整備工務店
⑤ 旅館業許可申請保健所へ提出 → 検査 → 許可行政書士

⏱ 所要期間:2〜3か月(改修含む)


5.古民家改修で特に問題になる3つのポイント

(1)天井の高さ・通風の悪さ

古民家では天井が低く、窓が少ないため「換気・採光不足」と判断されやすい。
→ 換気扇・トップライトを追加設置して対応。

(2)トイレ・浴室の不足

当時の間取りでは水回りが1か所しかない場合が多い。
→ 宿泊人数に応じてトイレ・洗面を増設。

(3)防火区画の不備

天井裏がつながっている木造建物は、延焼防止措置が求められる。
→ 防火シート・耐火ボード・防火扉で補強。


6.北陸三県の地域差

🟩 石川県(金沢市・白山市・加賀市)

  • 町家宿の申請が多く、金沢市では看板掲示期間(1〜2か月)が必須。
  • 外観保存を重視するため、構造変更は慎重に相談が必要。

🟦 富山県(富山市・高岡市)

  • 観光地以外では用途地域による制限が強め。
  • 駐車場確保・近隣同意の確認を求められる場合あり。

🟥 福井県(福井市・あわら市)

  • 温泉地域では旅館営業が主流。
  • 木造宿泊施設は消防設備の設置義務が厳格。

7.設計段階から「旅館業法」を意識する

古民家リノベーションで失敗する典型は、
「デザイン先行で旅館業法を満たしていなかった」ケース。

✅ 改装後にトイレ数が不足
✅ 避難経路が塞がれている
✅ 消防適合が取れない

これでは再工事が必要になり、コストも2倍になります。
最初から行政書士・設計士が連携して、
**「許可を取るための設計図面」**を作ることが最重要です。


8.消防法令適合通知書の取得手順

1️⃣ 設計図面をもとに消防署で事前相談
2️⃣ 消火器・警報器・誘導灯などの設置計画を立案
3️⃣ 工事後に消防署が検査を実施
4️⃣ 「消防法令適合通知書」が発行される

この書類がないと、保健所の許可申請が受け付けられません。


9.補助金を活用できる場合も

北陸三県では、古民家宿の改修に対して補助金を設ける自治体もあります。

自治体補助金名内容
石川県金沢市町家再生活用事業補助金改修費の1/3補助(上限300万円)
富山県南砺市空き家活用観光推進補助金最大200万円支援
福井県大野市歴史的建築物活用事業補助金改修費の1/2以内(上限250万円)

※年度・予算により変動あり。最新情報は各自治体へ確認。

補助金の申請書類も行政書士がサポート可能です。


10.費用感(目安)

項目内容費用(税込)
行政書士報酬許可申請書類一式110,000〜165,000円
図面作成費平面図・求積図・消防設備図55,000円
消防設備工事感知器・誘導灯など100,000〜300,000円
改装費用トイレ・浴室・内装改修など2,000,000〜5,000,000円
合計目安一式約230万円〜550万円

11.実例紹介:金沢市の町家再生宿

項目内容
物件築85年 木造2階建
所在地金沢市東山地区
構造木造軸組工法、延床面積90㎡
許可簡易宿泊所営業許可
対応内容図面作成・消防調整・用途地域証明
結果約2か月半で許可取得、営業開始

内装デザインを最小限に抑え、「梁・障子・畳」を残す形で改修。
伝統的美観を保ちながら法基準を満たすバランス設計が評価されました。


12.古民家宿でよくある質問

Q1. 天井が低いけど大丈夫?

→ 構造上危険でなければ許可は可能。ただし、換気確保が必須。

Q2. トイレが1つしかないけど?

→ 宿泊定員が6人以上の場合は増設を推奨。

Q3. 隣接地との境界が近いけど?

→ 避難経路が確保できていれば問題なし。

Q4. 無人運営は可能?

→ 「管理者常駐」義務あり。ただし、近隣常駐またはオンライン対応で可(自治体による)。


13.行政書士によるサポートの流れ

行政書士高見裕樹事務所では、
不動産・建築・リフォームを一体的に扱える強みを活かし、
以下の手順でサポートしています。

1️⃣ 現地調査(用途地域・建物状況の確認)
2️⃣ 消防・保健所・建築指導課との事前協議
3️⃣ 改装計画・図面作成・費用試算
4️⃣ 申請書類一式の作成・提出
5️⃣ 許可後の運営アドバイス・変更届対応

「許可が取れるか不安」という段階からご相談可能です。


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行政書士高見裕樹事務所
北陸三県対応|不動産 × 許認可 × リフォーム

📍所在地:石川県金沢市
📞 電話:076-203-9314
✉️ お問い合わせフォーム:https://takami-gs.com/contact/

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そんな段階でもOK。現地調査から許可取得、リフォーム計画までワンストップで対応いたします。

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