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北陸3県で宿を開業するなら|石川・富山・福井の旅館業許可の違いと実務ポイント

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北陸3県で宿を開業するなら|石川・富山・福井の旅館業許可の違い


はじめに:北陸で宿を開業する動きが増えている

北陸新幹線の延伸、インバウンド需要の回復、観光地としての再注目。
こうした流れの中で、**「金沢・富山・福井で宿泊事業を始めたい」**という県外からの相談が急増しています。

しかし、北陸3県はいずれも行政区分が細かく、
同じ“旅館業許可”でも審査基準や運用が異なるのが実情です。

特に、

  • 金沢市:看板掲示期間が長く、建築用途の確認が厳格
  • 富山市:消防・衛生の同時審査が進んでおりスピーディ
  • 福井市:図面・設備基準が細かく、事前協議が重要

というように、県ごとの行政の「クセ」を理解していないと、
スケジュールが何週間もずれ込むことがあります。

本記事では、行政書士高見裕樹事務所がこれまでに手がけた実務経験をもとに、
北陸3県の旅館業許可の違いと、開業前に知っておくべき実務ポイントを整理します。


第1章 旅館業許可の共通ルールと北陸ならではの特徴

まず、旅館業許可は全国共通で「旅館業法」に基づいています。
申請窓口は県または保健所設置市で、主に以下の4業種があります。

区分内容主な対象施設
旅館・ホテル営業客室を複数備えた宿泊施設ホテル・旅館
簡易宿所営業宿泊者が共同利用する構造ゲストハウス・民宿
下宿営業長期滞在向け社員寮など
住宅宿泊事業(民泊)年180日以内一般住宅・マンション

このうち、北陸で最も多いのは「簡易宿所営業」です。
古民家や空き家を再利用して宿泊施設にするケースが特に増えています。


北陸特有のポイント

北陸3県の許可運用には、以下のような特徴があります。

地域特徴注意点
石川県(金沢市中心)看板掲示期間が長い/観光エリアの条例が多い審査期間が2〜3か月かかることも
富山県(富山市中心)消防と保健所の連携が早く、進行がスムーズ事前協議をすれば1か月台で許可取得可能
福井県(福井市中心)図面・構造基準の要求が細かい建築・衛生のダブルチェックが入る

第2章 石川県(金沢市)の特徴:看板掲示期間と建築確認がカギ

1. 看板掲示制度

金沢市で最も注意すべきは、**「看板掲示期間」**です。
申請者は、申請後に建物の外に「旅館業許可申請中」と記載した看板を掲示し、
1〜2か月間そのまま掲示し続ける必要があります。

この期間中、保健所の審査は進みません。
したがって、事実上の「審査待機期間」が生じるため、
全体スケジュールは最低でも2.5か月〜3か月を見込む必要があります。


2. 建築用途の確認

金沢市では、用途地域・建築用途のチェックが非常に厳格です。
特に「第一種住居地域」や「準住居地域」での開業では、
建築指導課での用途変更申請が必要になる場合があります。

例:

元・住宅(用途:一戸建て)を宿泊施設に改装 → 用途変更申請が必要

この申請には建築士の関与が必要で、1〜2か月を要することも。
当事務所では、リフォーム工事と並行して建築調整を行うことで、
時間のロスを最小限にしています。


3. 金沢市での成功事例

金沢市内の町家を簡易宿所に改装したケースでは、
看板掲示期間を見越してスケジュールを前倒しし、
同時に消防・保健所・建築課の3者協議を進めた結果、
通常より1か月早く許可取得できました。

このように、行政間の連携を“先回り”して調整できるかどうかが、
開業のスピードを左右します。


第3章 富山県の特徴:審査のスピードと連携の良さ

1. 消防・保健所の同時調整が可能

富山県では、保健所と消防署が比較的密に連携しており、
図面の確認と現地調査を同時進行で進められるのが特徴です。

そのため、

  • 消防協議 → 保健所審査 の順ではなく、
  • 両方並行で行うことで最短1か月〜1.5か月で許可取得が可能です。

2. 図面基準が明確

富山市の保健所では、「図面チェックリスト」が整備されており、
トイレ・浴室・洗面所の配置基準が非常に明確です。

このため、申請前に行政書士が図面を整えておけば、
差し戻しのリスクが低く、進行がスムーズです。


3. 富山で人気の宿泊形態

富山では「古民家一棟貸し」「山間部の体験民宿」など、
地域型の宿泊施設が増えています。
自治体によっては補助金制度(地域観光事業支援金など)を活用できる場合もあり、
行政調整だけでなく資金面での支援も視野に入れるべきです。


第4章 福井県の特徴:構造基準と衛生面の審査が細かい

1. 図面・構造への指摘が多い

福井県は他県に比べて、保健所による構造設備の指摘が細かい傾向があります。
特に次のような項目で修正を求められるケースが多くあります。

  • シャワー室の床勾配(水が滞留しないか)
  • 換気扇・窓の位置(通風が十分か)
  • トイレ数と定員のバランス
  • 採光の確保(窓の面積比)

福井では、図面を“実際の寸法で詳細に記載”することが重視されるため、
測量・採寸を現地で正確に行うことが成功の鍵です。


2. 消防・建築との調整

福井県内では、市町によって建築確認の厳しさが異なります。
特に福井市中心部では「用途地域」の確認を求められることが多く、
一方で越前市や敦賀市では比較的柔軟な対応を取ることもあります。

そのため、県外業者が「福井ならすぐできるだろう」と思い込むと、
思わぬ設計変更が発生する場合があります。


第5章 比較まとめ:北陸3県の旅館業許可フロー

項目石川県(金沢市)富山県(富山市)福井県(福井市)
所管部署各市保健所(衛生課)保健所衛生課保健所衛生指導課
看板掲示期間あり(1〜2か月)なしなし
審査スピードやや遅い(約3か月)早い(1〜1.5か月)標準(2か月)
消防との連携個別対応同時調整が可能地域差あり
建築用途確認厳格(用途変更必要な場合あり)柔軟中程度
図面の厳密さ標準明確厳格
補助金活用市町単位で観光補助あり地域観光事業補助あり小規模支援金あり

第6章 県外事業者が見落としがちな「北陸特有の壁」

1. 雪国ならではの構造要件

北陸では、積雪荷重に関する構造確認が必要になる場合があります。
特に古民家や木造2階建ての建物では、屋根強度や避難経路確保が審査対象です。

2. 管理者常駐要件

宿泊施設では「管理者の常駐」が求められる場合があります。
複数棟を運営する場合は、**緊急時に対応できる体制の整備(通報システム等)**が必要です。

この点は「旅館業法」よりも各保健所の運用に左右される部分です。


3. 消防設備の地域差

富山や福井では延床300㎡未満でも自火報が不要なケースがありますが、
金沢市では「就寝用途なら規模に関係なく設置が望ましい」とされることがあります。
県外業者が見落とす代表的な落とし穴です。


第7章 県外から北陸に進出する際の流れ

  1. 物件調査
     → 用途地域・建築用途・接道・避難経路の確認
  2. 行政事前協議
     → 保健所・消防・建築課の三者確認
  3. 図面整備・測量
     → 現況調査と図面作成(当事務所で対応可能)
  4. 改装工事・設備設置
     → 建築士・施工業者との連携
  5. 申請書類作成・提出
     → 看板掲示(石川)または審査(富山・福井)
  6. 現地検査・許可交付

第8章 北陸進出を支えるワンストップサポート体制

行政書士高見裕樹事務所では、
北陸3県での旅館業・簡易宿所開業を不動産・工事・許認可の三方向からサポートしています。

✅ 不動産部門(ふちどり不動産)

物件探し・用途地域調査・賃貸契約サポート

✅ 許認可部門(行政書士高見裕樹事務所)

旅館業・簡易宿所・民泊・飲食店営業の各種申請代行

✅ 工事部門(株式会社Kプランニング)

改装・内装・消防設備の設置までワンストップ施工

北陸では、改装業者と行政調整を別々に進めると時間がかかります。
当事務所では建物調査から許可取得まで一括対応できるため、
県外の事業者様にも安心してお任せいただけます。


第9章 県外事業者の成功事例

東京都内で民泊運営を行っていた事業者が、
北陸初進出として金沢市と富山市で簡易宿所を2棟同時開業した事例では、
当事務所が現地調査・行政協議・図面整備を担当。

結果、両案件とも約3か月で許可取得。
看板掲示期間中に富山側の手続きを進めることで、
全体スケジュールを最短化することができました。


第10章 まとめ|「同じ北陸」でも運用は違う

北陸3県の旅館業許可は、
書類の形式こそ似ていても、実務上の進め方はまったく異なります。

  • 金沢市:看板掲示・建築用途の確認を重視
  • 富山市:審査がスピーディで実務的
  • 福井市:衛生面・構造基準を細かくチェック

県外事業者がスムーズに開業するためには、
地域ごとの行政特性を把握し、事前協議を的確に行うことが不可欠です。

北陸進出をご検討の方は、
ぜひ地域密着で実務経験豊富な行政書士高見裕樹事務所にご相談ください。


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**行政書士高見裕樹事務所(石川県)**へ。

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