【建設業許可 × 決算変更届】
“毎年必須なの?”|決算変更届を出さないと更新できない理由
■ はじめに
建設業許可を取得したあと、意外と見落とされがちな手続きが「決算変更届(事業年度終了報告書)」です。
「許可を取ってから何もしていないけど、問題ないのでは?」
「決算は税理士に任せてるから、自分は関係ないと思っていた」
実は、こうした油断が許可の更新不可・営業停止につながるケースがあります。
この記事では、石川県で建設業を営む事業者の方に向けて、決算変更届の提出がなぜ毎年必要なのか、出さないとどうなるのか、行政書士に依頼するメリットまで詳しく解説します。
■ 1. 決算変更届とは?
建設業許可を受けた事業者は、毎事業年度終了後4か月以内に、直近の決算内容を行政庁へ報告する義務があります。
この届出が「決算変更届(事業年度終了報告書)」です。
- 法的根拠:建設業法第11条第2項
- 提出先:許可を受けた行政庁(知事許可の場合は県庁、国土交通大臣許可の場合は地方整備局)
- 提出期限:事業年度終了後4か月以内(例:3月決算なら7月末まで)
つまり、毎年1回必ず出さなければならない定期報告という位置づけです。
■ 2. 提出を怠るとどうなる?
「出していない年があるけど、今のところ何も言われてない」
という方も少なくありません。
しかし、実際には以下のようなリスクがあります。
(1)更新ができない
建設業許可の有効期間は 5年間。
更新の際には過去5年間分の決算変更届が提出済みであることが条件です。
1年でも欠けていると、「書類不備」となり更新が認められません。
(2)営業停止・罰則の可能性
建設業法第50条に基づき、報告義務違反として行政処分(指示処分・営業停止)の対象になることがあります。
悪質と判断される場合には、許可取消しに至るケースも。
(3)入札・融資での信用低下
公共工事の入札や金融機関の融資審査では、「決算変更届の提出状況」が確認されます。
出していないと、「法令遵守が不十分」と判断され、入札資格停止や融資審査に不利になることもあります。
■ 3. 提出しないまま放置してしまった場合
「2〜3年分、出していなかった…」という場合でも、
あきらめる必要はありません。
遡って提出することが可能です。
ただし、各年度の**決算書(貸借対照表・損益計算書など)**をすべて添付する必要があるため、書類整理に時間がかかります。
特に法人の場合、税理士との協力が必要です。
■ 4. 提出に必要な書類
決算変更届には、次の書類を添付します(石川県知事許可の場合)。
【法人の場合】
- 決算変更届出書
- 事業年度終了報告書(様式第20号)
- 貸借対照表
- 損益計算書
- 株主資本等変動計算書
- 注記表(ある場合)
- 工事経歴書(様式第21号)
- 直前3年の各営業年度における工事施工金額(様式第22号)
- 使用人数一覧表(様式第23号)
【個人事業の場合】
- 決算変更届出書
- 事業年度終了報告書
- 損益計算書(青色申告決算書など)
- 工事経歴書
- 使用人数一覧表
税務申告に使った決算書を流用できますが、建設業法に合わせた様式で作成する必要があるため注意が必要です。
■ 5. 書き方のポイントと注意点
① 工事経歴書
- 実際に受注・完工した工事を工種別・金額別に記載
- 元請・下請を分ける必要あり
- 民間工事・公共工事も区分する
② 工事施工金額
- 「直前3年分の工事金額」を年度ごとにまとめる
- 売上ではなく「請負金額」で記載
③ 使用人数
- 常勤従業員、技術者、事務職員を区分して記載
- 社会保険の加入人数と整合性が取れているか注意
④ 提出期限
- 事業年度終了後4か月以内(例:3月決算 → 7月末まで)
- 1日でも遅れると「期限後提出」として扱われる場合があります
■ 6. 石川県での提出窓口と提出方法
石川県の建設業許可を受けている場合、提出先は以下の通りです。
- 提出先:石川県土木部 建設業課(許可審査室)
- 所在地:〒920-8580 金沢市鞍月1丁目1番地(石川県庁内)
- 提出方法:窓口提出または郵送
- 受付時間:平日 8:30〜17:15(土日祝休)
郵送での提出も可能ですが、返送用封筒・切手を同封する必要があります。
県外業者が北陸支店で施工している場合などは、提出先が異なる場合があるため、事前確認が推奨されます。
■ 7. 税理士と行政書士の違い
決算書を作成するのは税理士の仕事ですが、決算変更届を提出するのは行政書士の仕事です。
役割を整理すると次の通りです。
| 項目 | 税理士 | 行政書士 |
|---|---|---|
| 決算書の作成 | ○ | × |
| 税務申告 | ○ | × |
| 建設業法に基づく様式作成 | × | ○ |
| 決算変更届の提出 | × | ○ |
| 許可更新・業種追加 | × | ○ |
したがって、「税理士に決算を頼んでいるから大丈夫」と思っている方でも、
建設業法上の届出は別に行う必要があります。
■ 8. 行政書士に依頼するメリット
(1)提出忘れを防げる
毎年決算期を把握し、リマインドしてくれるため「うっかり失効」を防止できます。
(2)様式間違い・記載漏れを防ぐ
石川県の様式・最新フォーマットに沿って整えてもらえるため、差し戻しがありません。
(3)決算内容をチェックして次の更新準備ができる
決算変更届の内容は、5年後の更新時にすべて参照されます。
行政書士が関与することで、更新時の書類作成をスムーズに進められます。
(4)決算書を整理しながら会社の経営状態を把握できる
決算変更届を通して、売上構成・経費バランス・従業員数などを整理できるため、
今後の経営判断にも役立ちます。
■ 9. よくある質問Q&A
Q1. 提出期限を過ぎたらどうなる?
→ 期限後でも受理されますが、法定期限内に提出していないと「指導対象」となることがあります。
Q2. 売上がゼロの場合も提出が必要?
→ はい。「工事なし」でも「工事経歴書に“なし”と記載して提出」する義務があります。
Q3. 決算期を変更した場合は?
→ 「事業年度変更届」を別途提出し、以後の決算変更届に反映します。
Q4. 決算書を税理士が電子データで作っているが、紙で提出できる?
→ はい。PDFを印刷して添付すれば問題ありません。
■ 10. 提出のタイミング管理のコツ
- 決算が終わったらすぐに行政書士に依頼する
- 提出期限(決算月+4か月)をスケジュール帳に記載
- 更新年(5年目)は特に注意し、前年度分の漏れを確認
当事務所では、顧問契約や許可更新サポートの一環として、
決算変更届の期限管理も代行しています。
■ 11. まとめ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 提出義務 | 毎事業年度終了後4か月以内 |
| 未提出のリスク | 更新不可・指導・信用低下 |
| 提出書類 | 決算書+工事経歴書など |
| 提出先 | 石川県庁 建設業課 |
| 専門家の関与 | 行政書士が最適 |
■ 12. 行政書士高見裕樹事務所なら
行政書士高見裕樹事務所では、
建設業許可の新規申請・更新・業種追加・決算変更届まで、
ワンストップでサポートしています。
特に「過去数年分をまとめて出したい」「更新が近いが間に合うか不安」といったご相談にも柔軟に対応可能です。
書類チェックから県庁提出まで代行し、確実に完了させます。
📞 ご相談・お問い合わせはこちら
行政書士高見裕樹事務所
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