
“この場所で営業できる?”|旅館業許可と用途地域の落とし穴
はじめに
「空き家を宿泊施設にしたい」
「マンションの一室で簡易宿所を始めたい」
「繁華街のテナントでゲストハウスを運営したい」
このように宿泊業の開業を考えるとき、まず確認すべきなのが “その場所で営業できるかどうか” です。
建物を借りたり工事を始めたあとに「この用途地域では旅館業はできません」と言われるケースは少なくありません。
それまでにかけた時間と費用が無駄になるばかりか、家賃や工事代が丸々損失になってしまうことも。
この記事では、旅館業許可において用途地域がなぜ重要なのか、どんな規制があるのか、そして専門家に相談することでリスクを回避できる理由を解説します。
1. 用途地域とは?
都市計画法に基づき、土地利用をコントロールする制度です。
市街地を「住宅に適した地域」「商業に適した地域」などに区分し、建築や営業の可否を定めています。
主な用途地域の種類
- 住居系地域(第一種低層住居専用地域など)
- 商業系地域(近隣商業地域、商業地域)
- 工業系地域(準工業地域、工業地域など)
旅館業や簡易宿所の営業が可能かどうかは、この用途地域に大きく左右されます。
2. 旅館業と用途地域の関係
宿泊施設が認められる地域
- 商業地域
- 近隣商業地域
- 準工業地域
制限される地域
- 第一種低層住居専用地域
- 第二種低層住居専用地域
低層住宅エリアでは、住環境保護の観点から旅館業が原則不可となります。
3. 用途地域で起こりやすいトラブル
トラブル①:住居専用地域で契約してしまった
「安かったから」と物件を借りたら、第一種低層住居専用地域。
→ 許可が下りず、そのまま解約。敷金・仲介手数料が損失に。
トラブル②:既存建物の用途変更が必要
「以前は住居として使われていたマンション」を簡易宿所にしたいケース。
→ 建築基準法上の用途変更が必要となり、工事と追加申請で半年遅れ。
トラブル③:近隣住民からの反対
用途地域上は可能でも、住宅街に近くトラブルが懸念される場合、行政から慎重な対応を求められることも。
4. 用途地域の調べ方
自分で調べる方法
- 市区町村の都市計画図を確認
- インターネットで公開されている都市計画情報システムを利用
しかし…
- 専門用語が多くわかりにくい
- 「建ぺい率・容積率」などの数値も絡む
- 「既存不適格」建物の扱いなど、素人には判断が難しい
5. 行政書士に相談するメリット
✅ 契約前にチェックできる
物件を借りる・購入する前に用途地域を確認。無駄な投資を防げます。
✅ 建築基準法との整合性も確認
用途地域だけでなく、避難経路や面積基準、建築用途変更が必要かどうかも含めて判断可能。
✅ 行政との調整を代行
都市計画課・建築指導課・保健所など、複数の部署とやり取りを行い、確実に「営業できる物件か」を確認。
6. 実際のサポート事例
事例A:金沢市のマンション一室
オーナーが「簡易宿所にできる」と考えて契約。
当事務所が用途地域を調べたところ、住居専用地域に該当。結果的に契約解除を決断し、大きな損失を免れた。
事例B:古民家リノベーション(野々市市)
依頼者が物件購入前に相談。用途地域を確認したところ営業可能地域だったため、リノベ工事を進め、無事に簡易宿所営業をスタート。
まとめ
旅館業・簡易宿所・民泊を始めるにあたり、用途地域の確認は最優先事項です。
- 営業できない地域で契約 → 敷金や工事費が無駄に
- 用途変更が必要 → 半年単位の遅延
- 近隣トラブル → 信用失墜
こうしたリスクを避けるためにも、契約前に専門家へ相談し、確実に「営業できる物件」で開業準備を進めることが重要です。
行政書士高見裕樹事務所では、石川県を中心に北陸三県で多数の旅館業許可申請をサポートしてきました。
物件探し・用途地域確認から申請代行までトータルで対応可能ですので、ぜひご相談ください。
お問い合わせ
旅館業・簡易宿所・民泊の用途地域に関するご相談は「行政書士高見裕樹事務所」まで。
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