
この場所で営業できる?|風俗営業許可と用途地域のチェックポイント
はじめに
「物件が見つかったけど、この場所でスナックを開けるのかな?」
「不動産屋さんに“飲食OK”と言われたけど、風営許可は大丈夫?」
風俗営業許可の申請では、物件選びが最大の関門です。どんなに素晴らしいコンセプトや資金があっても、物件が要件を満たさなければ許可は下りません。特に、用途地域や保護対象施設との距離制限は、営業の可否を一瞬で決定づける要素になります。
本記事では、スナック・ラウンジの開業希望者向けに、風俗営業許可と物件選びのポイントを徹底的に解説します。
風俗営業許可と立地の関係
風営法の立地規制とは?
風営法(正式名称:風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律)では、「風俗営業を営むことができる場所」を用途地域や周辺環境で制限しています。これは、青少年の健全育成や地域住環境の保全を目的としています。
つまり、どこでも自由にスナックを開けるわけではなく、地域ごとに“できる・できない”が明確に分かれているのです。
用途地域ごとの可否
日本の都市計画法では、土地は用途地域ごとに区分されています。風俗営業が可能かどうかは、この用途地域でほぼ決まります。
許可が可能な地域
- 商業地域:原則OK。繁華街・歓楽街に多く、飲食店が集まるため風営許可も通りやすい。
- 近隣商業地域:OK。ただし、保護対象施設との距離制限に注意が必要。
条件付きで可能な地域
- 準工業地域・工業地域:許可可能な場合あり。ただし周辺に保護対象施設がないことが条件。実際は立地上集客が難しいケースが多い。
原則不可の地域
- 住居専用地域(第一種・第二種):不可。静かな居住環境を守るため規制が厳しい。
- 住居地域(第一種住居地域など):飲食店は可能でも、風俗営業は不可の場合が多い。
👉 まずは「この物件が何地域にあるのか?」を確認することが出発点です。
学校・病院などからの距離制限
風俗営業を行う場合、保護対象施設から一定距離以上離れていなければなりません。
保護対象施設の例
- 学校(小学校・中学校・高校)
- 保育所・幼稚園
- 図書館
- 病院・診療所
- 児童福祉施設
石川県の例
石川県では、条例で「保護対象施設からおおむね100メートル以内は営業不可」と定められています(※市町ごとに若干の差あり)。
つまり、いくら商業地域にあっても、学校の隣では許可が下りないのです。
不動産契約前に確認すべきこと
賃貸契約書の条項
契約書に「風俗営業不可」と明記されている場合、申請はできません。
- 「飲食店可」となっていても、風営法対象の業態は除外されているケースが多い。
- 不明確な場合は必ずオーナーや管理会社に確認しましょう。
管理規約の制限
テナントビルやマンションの場合、管理規約で「風俗営業禁止」と定められていることがあります。特にマンションの一室をスナックにしようと考える場合、規約違反でトラブルになる恐れがあります。
オーナー承諾
申請時には「使用承諾書」が必要です。オーナーが風俗営業に同意していなければ許可は下りません。
看板設置の可否
金沢市の場合、開業前に1〜2か月の看板掲示義務があります。看板を設置できるスペースがない物件は、許可要件を満たせません。
用途地域の確認方法
自分で調べる場合
- 市役所の都市計画課で「都市計画図」を確認する
- インターネットで「都市計画情報提供サービス」を利用する
専門家に依頼する場合
行政書士に依頼すれば、用途地域だけでなく「条例・距離制限・契約条項」までを総合的に確認可能です。契約前に相談すれば、無駄な物件契約を防げるという大きなメリットがあります。
実務でよくある失敗例
事例①:安い家賃に飛びついたら住居専用地域
「家賃が格安!」と契約したが、住居専用地域で許可が出ず、違約金を払って解約することに。
事例②:管理規約で禁止されていた
テナントビルで契約したが、管理規約に「風俗営業禁止」とあり、住民から反対され開業断念。
事例③:学校までの距離不足
地図上では問題ないと思ったが、警察の計測方法では100m以内と判断され、不許可に。
事例④:看板設置場所がなかった
金沢市では看板掲示が義務。ビルオーナーが看板設置を認めず、申請ができなかった。
物件調査の流れ(チェックリスト)
- 都市計画図で用途地域を確認
- 保護対象施設との距離を測定
- 契約書・管理規約を確認
- オーナー承諾の有無を確認
- 看板設置の可否を確認
- 消防法・建築基準法の適合性を確認(避難経路・防火設備など)
👉 これらをクリアした物件のみが、風俗営業許可の対象になります。
行政書士に依頼するメリット
- 用途地域・条例の適合を契約前に確認
- 警察署との事前相談で可否を見極め
- 契約書・管理規約のリーガルチェック
- 申請書類作成と並行して物件調査を実施
特に石川県(金沢市)では、用途地域や看板掲示の規制が厳しく、素人判断で契約すると失敗するケースが多いです。開業資金の無駄を防ぐためにも、専門家のサポートを受けることが安心です。
まとめ
- 商業地域・近隣商業地域はOK、住居専用地域は不可
- 学校・病院・児童施設から一定距離以上必要(石川県は約100m)
- 契約書・管理規約・オーナー承諾の確認が必須
- 看板掲示スペースがあるかも要チェック
- 契約前に用途地域・距離・規約を専門家に確認するのが安全
お問い合わせ
行政書士高見裕樹事務所では、物件選定段階から「この場所で営業できるのか?」を調査・アドバイスしています。北陸三県(石川・富山・福井)対応可能です。
- 電話:076-203-9314
- お問い合わせフォーム:https://takami-gs.com/contact/
「契約前に確認してほしい」というご依頼も歓迎しています。