
✅【簡易宿所 × リノベ活用】
「空き家 × 簡易宿所|リノベーションで旅館業許可を取得するには」
■ はじめに|「空き家を宿にしたい」というニーズの高まり
日本全国で空き家が増加する中、それを「宿泊施設」として再活用する動きが注目されています。
特に観光地・歴史的景観が残るエリアでは、古民家や空き家をリノベーションし、簡易宿所として活用したいという相談が急増しています。
石川県・金沢市においても例外ではなく、「実家を宿泊施設にしたい」「市街地にある空き家を簡易宿所として使いたい」といった希望が多数寄せられています。
しかし、実際に宿泊施設として開業するには、建築基準法・消防法・旅館業法という3つのハードルをクリアしなければなりません。
特に築年数の経った古民家や空き家では、図面がない・構造が不明・設備が不足しているといった課題も多く、単に「リフォームすれば開業できる」というほど簡単ではありません。
そこで本記事では、「空き家を簡易宿所として活用したい」方に向けて、実務と法令の両面から解説していきます。
■ 第1章|簡易宿所とは何か?民泊との違いを整理しよう
まず「簡易宿所」と「民泊」は全く異なる制度です。混同される方も多いため、最初に整理しておきましょう。
▪️簡易宿所営業(旅館業法)
旅館業法に基づく「旅館業」の一形態。主に1泊以上の宿泊に対応し、構造・設備・衛生管理が整っている必要がある。
- 年間営業日数に制限なし
- フロント設置義務(または代替措置)
- 消防設備の設置義務あり
- 定期的な施設点検・帳簿管理義務
▪️民泊(住宅宿泊事業法)
「空き部屋を年間180日まで貸せる制度」。宿泊業としてではなく、「住宅活用の一環」として捉えられている。
- 年間180日までしか営業できない
- 管理業者との契約が必要
- 消防設備・施設要件は緩やか
- 規模が小さく収益化に課題
✅ 結論:しっかりと宿泊業として収益を上げたいなら、「簡易宿所」一択
石川県でも、簡易宿所の方が許可件数・稼働日数・収益性の点で有利です。
■ 第2章|空き家を宿にするには?旅館業法の要件とリノベで注意すべきポイント
空き家を活用して簡易宿所を開業する際に重要なのが、「旅館業法」の構造・設備基準です。
✅ 客室要件
- 1室7㎡以上(2名以上宿泊時は3.3㎡×人数)
- 採光・換気が十分であること
- 畳敷・フローリングなどは問わないが、衛生的であること
✅ 共用設備
- 洗面、便所、浴室:利用者が支障なく使える数が必要
- 共有スペースの清潔保持・消毒・通風が必要
- 客室間に明確な仕切りがあること(カーテン仕切りは不可)
✅ フロント要件(代替措置可)
- 対面受付、または遠隔カメラでのチェックイン体制
- 鍵の管理方法・緊急時連絡先が明記されている必要あり
✅ 宿泊者名簿の記録と保存
- チェックイン時の身分証確認義務(外国人はパスポート写し)
- 宿泊台帳の保管(一定期間)
✅ 衛生管理
- リネン交換頻度、室内の清掃記録、消毒管理のルールが必要
- ゴミ出しルールの掲示と実施状況の記録
■ 第3章|消防法・建築基準法の壁|リノベで特に重要なポイント
🔹消防法の主な要件
- 自動火災報知器(感知器)を全室に設置
- 避難経路表示(壁面・ドア)を明示
- 誘導灯、消火器の設置
- 防火対象物使用開始届の提出
✅ 注意:消防設備の設置には施工業者+消防署協議が必須。
また、感知器の設置場所(天井の梁が多い古民家では位置が難しい)や配線の隠し方など、デザインと安全性の両立も求められます。
🔹建築基準法・用途変更
- 空き家が「住宅」用途の場合 → 宿泊業への転用は「用途変更」が必要になることも
- 検査済証や確認申請の記録がない場合は「既存不適格」になるケースもあり
- 建築士による図面・構造の再確認が必要
✅ 注意:構造図がないケースでは、現地実測からの図面起こしが必要です。
■ 第4章|石川県・金沢市ならではの規制と傾向
石川県・金沢市では以下のような地域特有の規制があります:
✅ 景観条例
- 特定エリア(東山・ひがし茶屋街・主計町など)は屋根材・外壁・看板などすべて届け出必要
- サッシの材質や配色も規定あり
✅ 用途地域制限
- 「第一種住居地域」や「低層住居地域」では旅館業が禁止されていることもある
→ 調査には用途地域・都市計画図・建築図面の照合が必要
✅ 保健所の審査が厳しい
- 金沢市の旅館業指導要綱では、客室の防音性や通風にも細かい基準がある
- 実績のない業者が申請すると、何度も是正指導が入るケースも
■ 第5章|許可取得までのステップ【実務編】
- 【物件確認・調査】
→ 所有権・用途地域・接道・建物構造を確認 - 【設計・建築士と現地調査】
→ 必要図面の作成・改修計画の立案 - 【消防署・保健所と事前協議】
→ 設備計画書・用途変更計画を説明 - 【リフォーム工事開始】
→ 消防設備・水回り・玄関・看板等の施工 - 【営業許可申請】
→ 申請書類作成+添付資料(図面・登記・契約書) - 【立入検査・是正指導対応】
→ 保健所・消防署が現地確認し、必要に応じて是正指示 - 【許可証交付・営業開始】
→ 営業開始後も記録・表示義務あり
■ 第6章|当事務所のサポート体制|全工程を一括管理します
行政書士高見裕樹事務所では、以下すべての業務を一体的に対応可能です。
業務内容 | 担当 |
---|---|
空き家調査・物件紹介 | ふちどり不動産(自社) |
設計・用途変更相談 | 提携建築士事務所 |
リノベーション工事・消防設備設置 | 株式会社Kプランニング |
旅館業許可申請・書類作成 | 行政書士高見裕樹事務所 |
図面作成・工程管理 | チームで一括連携 |
■ 第7章|補助金・助成金を活用できる場合も
石川県・金沢市では、不定期で以下のような補助制度があります。
- 空き家活用支援補助金(最大100万円)
- 地域まちづくり助成金(看板や外装に対する補助)
- 省エネリフォーム補助金(断熱材・設備導入支援)
- 起業支援補助(創業期に宿泊業を含む事業者への支援)
✅ 注意:申請タイミング・設備仕様の適合性が要件に大きく影響します。事前相談が必須です。
■ 第8章|成功事例と失敗事例に学ぶ
◾️成功事例:金沢市中心部の古民家を改修し、一日一組限定の高単価宿に
→ 外観規制と防火設備の両立に成功。旅館業許可+補助金も取得。
◾️失敗事例:図面なし・増築歴多数の住宅を自己判断でリノベ
→ 保健所検査で不合格。消防指導も厳しく、結果的に営業断念
■ まとめ|空き家を活かして、地域と観光を結ぶ宿づくりを
空き家を宿泊施設として再生することは、単なる収益化だけでなく、地域の再生・景観保全・観光振興にもつながります。
ただし、制度の壁と実務の複雑さがある以上、専門家の伴走支援が不可欠です。
「古民家を改修して宿を開きたい」
「相続した実家を何とか活用したい」
「空き家対策と観光ビジネスを両立させたい」
そんな想いに、私たち行政書士高見裕樹事務所は、法務・建築・不動産の観点から全力で寄り添います。
■ お問い合わせ・無料相談はこちらから
📞 電話番号:076-203-9314
📩 お問い合わせフォーム:https://takami-office.net/contact/
対応エリア:石川県全域(特に金沢市・白山市・野々市市・小松市・加賀市)、富山県・福井県も対応可能です。