旅館業や民泊では、図面が非常に重要です。
しかし、実際には「工務店が作った図面だから大丈夫だろう」と考え、そのまま進めてしまうケースが少なくありません。
工務店は工事の専門家です。 建築士は設計の専門家です。
ただし、旅館業や民泊で求められる基準は、通常の住宅や店舗とは異なることがあります。
そのため、一般的な住宅リフォームの感覚で図面を作ってしまうと、後で大きな修正が必要になることがあります。
旅館業や民泊では、図面が悪いと次のような問題が起きます。
・工事後にやり直し ・消防設備の追加 ・壁の撤去 ・客室数の減少 ・帳場位置の変更 ・避難経路の見直し ・トイレや洗面所の追加
こうした問題が起きると、当然ながら追加費用が発生します。
最初から宿泊施設向けの考え方で図面を作っておけば防げたのに、後からやり直すことになるケースは少なくありません。
今回は、旅館業や民泊で止まる図面、通る図面の違いについて詳しく解説します。
客室数を優先しすぎると止まる
旅館業や民泊では、「できるだけ部屋数を増やしたい」という相談が非常に多いです。
特に投資目線で考えると、1室でも多く取りたいという気持ちは当然です。
しかし、部屋数を増やしすぎると、かえって止まることがあります。
客室が狭くなりすぎる。 通路幅が取れない。 ベッド配置が無理になる。 窓が不足する。
こうした問題が出てきます。
また、客室数が増えることで、自動火災報知設備や誘導灯など、必要な消防設備が増えることもあります。
「1室増やしたかっただけなのに、消防設備が大きく変わってしまった」というケースもあります。
そのため、最初から「何部屋作れるか」だけではなく、「何部屋なら無理なく通るか」を考えることが重要です。
避難経路は非常に重要
旅館業や民泊では、避難経路が非常に重要です。
一般住宅であれば問題にならないような間取りでも、宿泊施設になると避難経路が厳しく見られることがあります。
特に問題になりやすいのは、
・廊下幅が狭い ・階段が急すぎる ・避難方向が悪い ・行き止まりが多い ・窓が小さい ・避難器具の設置場所がない
といったケースです。
古い戸建てでは、昔ながらの急な階段や狭い廊下がそのまま残っていることがあります。
住宅として使う分には問題なくても、宿泊施設になると安全性の観点から指摘されることがあります。
また、2階以上を客室にする場合は、避難器具や誘導灯が必要になるケースがあります。
ここを後から直そうとすると、かなり大掛かりな工事になることがあります。
そのため、図面段階で避難経路を確認することが非常に重要です。
帳場の考え方で図面が変わる
旅館業では、帳場も重要です。
施設内帳場にするのか。 施設外玄関帳場にするのか。 管理人は常駐か。 遠隔対応にするのか。
こうした運用の違いによって、図面は大きく変わります。
施設内帳場にする場合は、受付スペースを確保しなければなりません。
一方、施設外玄関帳場にする場合は、施設内のスペースは減らせますが、別の場所に帳場機能を持たせる必要があります。
また、チェックイン方法によっても必要な設備が変わります。
タブレット対応なのか。 キーボックスなのか。 管理人常駐なのか。
ここを曖昧なまま図面を作ると、後で受付スペースが足りない、客室が狭くなる、消防設備の位置が変わるといった問題が起きます。
水回りを軽く考えると止まる
旅館業や民泊では、トイレ、洗面所、浴室などの水回りも重要です。
特に小規模な宿泊施設では、「とりあえず既存のままでいけるだろう」と考えがちです。
しかし、客室数に対してトイレが足りない。 洗面所が不足している。 脱衣所が狭い。
こうした理由で、図面の修正が必要になることがあります。
また、水回りを増やすと、その分だけ配管工事や給排水工事が必要になります。
古い建物では、配管の位置や勾配の関係で、思ったようにトイレや洗面所を増やせないことがあります。
そのため、水回りは後から考えるのではなく、最初から計画に入れておく必要があります。
消防設備は図面次第で変わる
旅館業や民泊では、消防設備が図面によって大きく変わります。
客室数 階数 延床面積 窓の有無 避難経路
こうした条件によって、必要になる消防設備が変わります。
例えば、部屋数が増えると、自動火災報知設備が必要になることがあります。
2階を客室にすると、避難器具や誘導灯が必要になることがあります。
窓が小さいと、非常用照明や避難設備の考え方が変わることがあります。
つまり、「とりあえず図面を作って、後で消防を考える」という進め方は危険です。
消防まで含めて図面を考える必要があります。
工事してから相談すると高くつく
旅館業や民泊で最も多い失敗の一つが、「工事してから相談する」ことです。
壁を作った。 部屋数を増やした。 受付スペースを作った。
しかし、その後に「この構造では難しい」と言われることがあります。
そうすると、せっかく作った壁を壊す。 部屋数を減らす。 避難経路を作り直す。
こうした追加工事が必要になります。
当然ながら、余計な費用もかかります。
一方で、図面段階で相談していれば、比較的簡単な修正で済むこともあります。
工事してから相談ではなく、工事する前に相談。
図面を作ってから相談ではなく、図面を作る前に相談。
これが一番安全です。
まとめ
旅館業や民泊では、図面が非常に重要です。
客室数、避難経路、帳場、水回り、消防設備。
こうしたことを最初から考えて図面を作る必要があります。
工務店が作った図面だから大丈夫。 建築士が作った図面だから問題ない。
そう思って進めると、後で大きな修正が必要になることがあります。
旅館業や民泊は、工事が始まる前が一番重要です。
図面を作ってから相談ではなく、図面を作る前に相談。
契約する前に、見せてください。
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