はじめに|居抜き物件=お得、と思っていませんか?
飲食店・宿泊事業・夜営業の開業相談で、
非常によく聞くのが次の言葉です。
居抜きなので、すぐ始められると思っています
前の店が営業していたので問題ないですよね?
結論から言うと、
この考え方は非常に危険 です。
居抜き物件は、
確かに初期費用を抑えられる反面、
許認可の視点ではリスクの塊 になることも少なくありません。
居抜き物件とは何か(おさらい)
居抜き物件とは、
- 内装
- 設備
- 什器
などが残った状態で引き渡される物件です。
一般的なメリット
- 工事費が抑えられる
- 開業までが早い
- 初期投資を減らせる
しかし、
このメリットは「許可が取れる前提」でしか成立しません。
「前の店がOKだった」は通用しない
これが、
居抜き物件最大の落とし穴です。
なぜ通用しないのか?
理由は明確です。
- 法令・運用が変わっている
- 前店舗と業態が違う
- 許可の種類が違う
- 実態で判断される
行政は、
「この物件で、あなたがこの営業をしていいか」
しか見ません。
前の店の実績は、
参考程度にしかなりません。
業種別|居抜き物件で特に危険なケース
① 飲食店(深夜営業・バー)
- 照明が暗すぎる
- 間仕切りが多い
- 見通しが悪い
→ 深夜酒類提供・風俗営業で 構造NG
② 夜の業種(スナック・ラウンジ)
- 半個室構造
- ボックス席の配置
- 従業員動線
→ 接待営業前提の構造 と判断されやすい
③ 宿泊事業(簡易宿所・民泊)
- 消防設備が不足
- 内装制限未対応
- 誘導灯未設置
→ 工事やり直し になることも多い
図面がない居抜き物件は「地雷」
居抜き物件で非常に多いのが、
図面がありません
口頭で説明を受けました
というケースです。
図面がないと何が困るか
- 建築基準法の確認ができない
- 消防設備の要否判断ができない
- 警察の構造審査ができない
結果として、
申請段階で初めてNGが判明
という事態になります。
実は多い「違法改修」問題
居抜き物件では、
- 無届の間仕切り
- 用途変更未対応
- 防火区画違反
など、
前店舗の違法改修がそのまま残っている
ケースが珍しくありません。
行政は、
誰がやったか
ではなく
現在の状態
で判断します。
つまり、
責任は新しい事業者が負う ことになります。
許認可別|居抜き物件のチェックポイント
風俗営業・深夜酒類提供
- 見通し確保
- 照度
- 間仕切り・カーテン
飲食店営業
- 手洗い
- 厨房区画
- 排水・換気
簡易宿所・民泊
- 消防設備
- 内装制限
- 建物用途
どれか一つでも欠けると、
居抜きのメリットは一瞬で消えます。
実際にあった失敗事例
事例①
契約後に風俗営業NG判明
→ 解約できず撤退
事例②
消防で自火報必須
→ 数百万円の追加工事
事例③
図面なしで申請
→ 構造説明できず差し戻し
いずれも、
契約前に確認していれば防げた
ケースです。
居抜き物件が「向いている」ケースもある
誤解のないように言うと、
居抜き物件が悪いわけではありません。
向いているケース
- 同業種での居抜き
- 図面がすべて揃っている
- 行政確認済み
- 軽微な修正で済む
この条件が揃えば、
非常に有効な選択肢 になります。
行政書士が契約前に見るポイント
当事務所では、
居抜き物件について次を必ず確認します。
- 用途地域
- 建築基準法との整合
- 消防設備の要否
- 警察基準(該当業種)
- 図面の有無と内容
これを踏まえて、
進めるべきか
やめるべきか
を明確にします。
居抜き物件は「安い」ではなく「合うか」で判断する
初期費用だけを見ると、
居抜き物件は魅力的です。
しかし、
- 許可が取れない
- 工事が増える
- 開業が遅れる
となれば、
結果的に高くつく ことになります。
まとめ
- 居抜き=必ずお得、ではない
- 前店舗OKは幻想
- 図面なしは高リスク
- 違法改修の責任は現事業者
- 契約前相談が最大の防御策
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行政書士高見裕樹事務所
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