お店は自由に始められる?
金沢市・石川県で「物件選び」を間違えると許可が取れない本当の理由
はじめに|「お店を始めるだけ」のはずが、なぜ止まるのか
「小さな飲食店をやりたい」
「バーを開業したい」
「宿泊施設を始めてみたい」
こうしたご相談は、金沢市・石川県内でも年々増えています。
しかし実務の現場では、次のようなケースが後を絶ちません。
- 物件を借りたあとで「許可が取れない」と分かった
- 内装工事まで進めたのに計画を変更せざるを得なくなった
- 「前の人がやっていたから大丈夫」と思っていたら否定された
多くの方が驚かれますが、
お店は“自由に始められるもの”ではありません。
実際には、
- ダメな場所
- ダメな建物
- ダメな始め方
があり、これを見落とすと 開業自体が止まる ことも珍しくありません。
この記事では、
金沢市・石川県でお店を始める際に必ず知っておくべき
- 用途地域
- 建物の制限
- 近隣との関係
- 契約前相談の重要性
- 居抜き物件の落とし穴
を、一般の方にも分かる言葉で整理します。
1|「ダメな場所」があるという現実|用途地域という最初の関門
用途地域とは何か
用途地域とは、簡単に言えば
「このエリアでは、何をしてよいか」を決めたルールです。
金沢市・石川県内の土地は、用途地域によって区分されており、
- 住宅中心の地域
- 商業向けの地域
- 工業向けの地域
など、それぞれに できること・できないこと が定められています。
よくある誤解①
「人が住んでいる=商売できる」
→ 実際は、
飲食店はOKでも
- 宿泊施設はNG
- 深夜営業はNG
といったケースがあります。
よくある誤解②
「前にお店があった=何でもできる」
→ 業種が変われば、
用途地域上アウトになることも珍しくありません。
よくある誤解③
「ネットで“OK”と書いてあった」
→ ネット情報は
・地域差
・最新の運用
までは反映していないことがほとんどです。
👉 場所がダメな場合、どれだけ準備しても許可は出ません。
2|建物の問題|「使えそう」と「使える」は全く違う
次に多いのが、建物そのものが使えないという問題です。
見た目では判断できない理由
- 建築基準法上の用途
- 既存不適格建築物
- 構造・階段・出入口
- 消防設備の有無
これらは、
内装を直せば解決する話ではありません。
特に注意が必要な建物
- 古い住宅・町家
- アパートの一室
- 区分マンション
- 住宅兼店舗
これらは一見使えそうに見えても、
- 宿泊用途にできない
- 不特定多数を想定できない
- 消防設備が追加できない
といった理由で、
計画そのものを見直す必要が出ることがあります。
3|近隣との関係は「許可とは無関係」ではない
「法律に書いてないから関係ない」
そう思われがちですが、実務では違います。
金沢市・石川県の特徴
- 住宅地と観光エリアが近い
- 町会活動が活発
- 近隣意識が強い地域が多い
そのため、
- 夜間の出入り
- 外国人利用者
- ゴミ出し
- 騒音
といった点が、
開業前から強く意識されます。
近隣対応を軽視すると起きること
- 苦情が直接、行政に入る
- 行政から慎重な対応を求められる
- 結果として審査が長引く
👉 許可は「書類」だけで完結するものではありません。
4|なぜ「物件を借りてからでは遅い」のか
ここまでの話を聞いて、
こう思われる方もいるかもしれません。
「ちゃんと調べればいいだけですよね?」
問題は、多くの人が“調べる前に契約してしまう”ことです。
借りたあとに判明すると…
- 解約できない
- 原状回復費が発生する
- 工事費が無駄になる
- 開業スケジュールが崩れる
実務では、
「もし契約前に相談してくれていれば…」
という案件が非常に多いのが現実です。
5|居抜き物件の落とし穴
「前の人がやっていた」は通用しない
居抜き物件は、
初期費用を抑えられるため人気があります。
しかし、ここにも大きな誤解があります。
許可は引き継げません
- 許可は「人」に対して出る
- 許可は「当時の内容」で判断される
- 法令・運用は変わる
つまり、
前の人がOKだった ≠ 今のあなたがOK
です。
居抜きで多いトラブル
- 図面と現況が違う
- 設備が基準を満たしていない
- 管理体制が前提と違う
結果として、
「一からやり直し」になるケースも珍しくありません。
6|失敗する人に共通する「順番の間違い」
多くの失敗例には、共通点があります。
失敗しやすい順番
- 物件を決める
- 契約する
- 工事を考える
- その後で許可を調べる
正しい順番
- やりたい内容を整理
- 用途地域・建物の可否確認
- 近隣・行政の実務確認
- 問題なければ契約
👉 この最初の段階での確認が、すべてを左右します。
7|行政書士が「契約前相談」で見ているポイント
行政書士は、単に申請書を作る人ではありません。
契約前相談では、
- その場所で“何ができるか”
- 建物に致命的な制限はないか
- 行政の運用上、止まりそうな点はないか
- 近隣トラブルの火種はないか
といった、
「止まる可能性」を事前に潰す視点で確認します。
まとめ|お店は「自由に」ではなく「通る形」で始めるもの
- ダメな場所がある
- ダメな建物がある
- ダメな始め方がある
- 借りてからでは遅いことがある
- 居抜きでも安心できない
これらはすべて、
特別な事業者の話ではありません。
むしろ、
「普通にお店をやりたい人」ほど直面します。
【許認可・開業前相談のご案内】
「この物件で大丈夫か分からない」
「そもそも許可がいるのか知りたい」
「まだ何も決まっていないが相談していいのか」
―― その段階こそ、最も価値があります。
行政書士高見裕樹事務所
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※ 物件未契約・計画段階でのご相談も対応しています。