トラック1台でも許可が必要?
産廃収集運搬の“車両要件と誤解されやすいポイント”を行政書士が徹底解説**
産業廃棄物収集運搬業の許可について、
解体業・便利屋・不用品回収業の方から特に多い質問が——
「軽トラ1台なんですが、許可は必要ですか?」
というものです。
結論から言うと、
**結論:トラック1台でも、軽トラでも、
“他人の産業廃棄物”を運ぶなら必ず許可が必要です。**
この「他人の」という部分が非常に重要で、
ここを誤解しているために 無許可運搬 → 行政指導 → 是正 → 営業停止
という流れになる事業者が後を絶ちません。
特に、便利屋・不用品回収業・解体業では、
「一般廃棄物と産業廃棄物の違い」
「積替え保管の違法性」
「車両の追加・変更時の届出」
など、制度を理解しないまま運営してしまう例が非常に多いのが現実です。
この記事では、産廃収集運搬の許可制度を
行政書士が “誤解しやすいポイントに絞って” 徹底的に解説します。
あなたの事業が不意に違反にならないよう、
ぜひ最後までご確認ください。
第1章|「トラック1台でも許可が必要」は本当か?|産廃運搬の基本を整理
まずは、最も多い誤解から整理します。
■ 許可が必要になるケース
産業廃棄物収集運搬業の許可が必要なのは、
**①「他人が排出した」
②「産業廃棄物を」
③「収集し」
④「運搬する」**
この4条件を満たす時です。
つまり、次のようなケースです:
- 解体工事で出た廃材を運搬
- 店舗撤去で出たゴミを引き取る
- 不用品回収で持ち帰る
- オフィス移転で廃棄物を処分場へ運ぶ
いずれも 許可必須 です。
■ 許可が不要なケース
逆に、次のような場合は不要です。
- 自社が排出した廃棄物を運ぶ場合
- **一般家庭の“家庭ゴミ”**を市の委託で収集する場合(一般廃棄物)
- 空で車両を移動するだけ
—
ただし 不用品回収業者が一般家庭のゴミを回収した瞬間、それは産廃扱い になります。
ここが最大の落とし穴です。
第2章|誤解①:「軽トラだから許可不要」は完全な間違い
便利屋・個人事業者に特に多い誤解ですが、
車両の大きさ・種類は一切関係ありません。
- 軽トラック
- ダンプ
- 2t車
- 4t車
すべて同じです。
産業廃棄物を運ぶ行為そのものが
許可の対象 です。
● SNS広告から行政指導されるケースが急増中
- 「軽トラ積み放題 ○円」
- 「家具・家電なんでも回収」
こうした広告を見た自治体が、
「許可はありますか?」と
業者にヒアリング → 指導 → 是正
となる事例が全国で増えています。
第3章|誤解②:「一般廃棄物と産業廃棄物の違い」があいまい
法律上、一般廃棄物と産業廃棄物は完全に分かれています。
● 一般廃棄物とは?
- 家庭ゴミ
- 各市町村が収集するもの
一般廃棄物収集運搬は 市町村の許可(委託) が必要で、
民間業者が自由に参入できません。
● 産業廃棄物とは?
- 事業活動に伴って排出される廃棄物
- 金属くず、廃プラ、木くず、ガラスくず…など
—
不用品回収業者が回収する物は、家庭ゴミであっても“産廃扱い”です。
これが最も多い違反ポイント。
第4章|“積替え保管”は許可が別に必要|知らずに違反するケース多数
産廃収集運搬には
「積替え保管」 という別枠の許可があります。
● 積替え保管とは?
- トラックから荷物を降ろし
- 事業所や倉庫に置き
- 別車両に積み替えて運搬する行為
これは、通常の収集運搬許可とは 別の許可 が必要です。
● 違反が多い理由
- “倉庫に1日置く” → 積替え保管
- “事務所横に並べておく” → 積替え保管
- “翌日に別車両で処理場へ持っていく” → 積替え保管
これらはすべて 許可外の行為 です。
● 罰則・リスク
- 行政指導
- 業務停止
- 許可取り消し
- 取引停止
- 信用失墜
積替え保管は必ず専門家に相談が必要です。
第5章|産廃収集運搬の「車両要件」を徹底解説
産廃収集運搬許可では、
車両は1台ごとに登録 します。
■ 許可証に必ず明記される内容
- 車種
- 積載量
- 車両番号
- 車検証の情報
- 荷台の形状
車両の追加・変更を“無届”で行うと違反
以下はすべて届出が必要:
- トラックを買い替えた
- 代車を一定期間使用する
- 車両を増やす
- トラックの名義を変更した
届出を怠ると
行政指導の対象 となります。
第6章|許可の範囲(対応できる地域・品目)にも注意
● 許可は“都道府県ごと”に必要
例:
石川県で積み → 富山県で下ろす
→ 石川県・富山県の両方の許可が必要
● 許可は“品目ごと”に決まっている
例:
- 廃プラ → OK
- 金属くず → OK
- 汚泥 → 許可外
許可証に記載のない品目を運んだ場合、
即違反扱い になります。
第7章|産廃収集運搬許可の取得フロー(実務ベース)
① 取り扱う品目の確定
② 車両・事務所の確認
③ 申請書類の作成(最も時間がかかる)
④ 県へ申請(1〜2か月)
⑤ 許可証交付 → 事業開始
必要書類の例
- 住民票/登記簿
- 事務所の図面・使用権限
- 車検証
- 定款(法人)
- 役員の誓約書
- 財務書類
第8章|行政書士に依頼するメリット
● 事業内容に合わせて「必要な許可だけ」を提案できる
余計な品目を取る必要がない場合も多い。
● 積替え保管の判断ができる
無許可でやっている事業者が非常に多い。
● 他県許可の有無を判断できる
県境をまたぐ業者は要注意。
● 車両変更・更新・品目追加などの手続きを一括管理
違反リスクを減らせる。
**まとめ|“トラック1台でも許可が必要”は真実
誤解せず、安全に収集運搬を行うために**
産廃収集運搬業は、
SNSや便利屋の参入で急速に拡大していますが、
その分、法律の誤解による 違反業者も急増 しています。
重要なのは、以下の3点です。
① 車両の種類・大きさは関係なく、運搬行為が許可対象
② 不用品回収は“ほぼ産廃”であり、許可が必要
③ 積替え保管は別許可。無届は重大違反
④ 車両変更・追加の届出は必須
⑤ 他県・品目の許可範囲にも注意
産廃業は、正しい手続きを踏めば、
小規模でも安定した収益が出せる業界です。
しかし、違反のリスクも非常に大きい。
だからこそ、最初の一歩で 正しい許可と運用体制 を構築することが重要です。
行政書士高見裕樹事務所(石川県)
産業廃棄物収集運搬業許可
新規/更新/変更/品目追加/積替え保管許可
すべてサポート可能です。
☎ 076-203-9314
https://takami-gs.com/contact/