旅館業の最大の落とし穴は「保健所」ではない。
旅館業許可の相談を受けて必ず聞かれるのが、
「保健所に行けば許可が取れるんですよね?」
という言葉です。
これは 完全に誤解 です。
旅館業の審査は
①建築基準法(建築指導課)
②消防法(消防署)
③旅館業法(保健所)
の“3つの審査”が揃ってはじめて許可になります。
このうち最もトラブルが多く、
最も時間がかかり、
最も不許可になる原因が
【建築基準法 × 用途変更】
石川県(金沢市)の旅館業案件でも、
実際にこの部分でつまずく事業者が圧倒的に多いです。
この記事では、
旅館業許可の最大の壁である
建築基準法の要件・用途変更の判断・図面の精度
を徹底解説します。
◆ 第1章|旅館業許可は「建築基準法の適法性」が最優先
建築基準法は、建物が
安全であるか?避難できるか?用途に適しているか?
を決める法律です。
旅館業(簡易宿泊所)の場合、
建物の使用目的が「住宅」から「宿泊施設」になるため
建築基準法上の「用途」が変わります。
これが 用途変更 です。
【用途変更の基本ルール】
① 延べ床面積100㎡超 → 必ず用途変更の確認申請が必要
金沢市では
100㎡を超える場合、100%必要。
② 100㎡未満でも用途変更が必要なことが多い
“100㎡未満なら用途変更不要”は誤解。
以下の場合は 100㎡未満でも必要 です。
- 間取り変更(間仕切り壁増設)
- 主要構造部の変更
- 窓の位置変更
- 排煙設備の追加
- 客室数の増加
- 住宅以外の用途部分が一定面積を超える
金沢市は100㎡未満でも用途変更を強く指導しています。
③ 用途変更なしで旅館業許可は“絶対に”下りない
たとえ保健所がOKでも、
建築指導課の適法性が取れなければ不許可。
◆ 第2章|旅館業の建築基準法で必ずチェックされる5項目
旅館業で求められる建築要件は次の通り。
① 避難経路(2方向避難)
- 客室から避難口までの距離
- 2方向へ避難できるか
- 廊下幅
- 防火戸の設置
最も指摘が多いポイント。
② 採光・換気(窓のサイズ)
旅館業の客室は
住宅より厳しい採光面積が必要。
NG例:
- 細長い窓だけ
- 採光面積不足
- 換気量不足
③ 内装制限(防火材料)
- 階段
- 廊下
- 休憩スペース
は内装制限がかかる可能性が高い。
金沢市は特に内装制限を厳しく見る。
④ トイレ・洗面・浴室の基準
人数に応じて数が必要。
例:
- トイレは男女別
- 洗面台の数
- 浴室の換気
- 衛生設備の区画
⑤ 客室の広さ(寝室の必要面積)
“ベッド置ければOK”ではなく
寝室としての面積基準があります。
◆ 第3章|金沢市で多い「典型的なNGケース」
旅館業許可の相談で実際に多いのは次の5つ。
❌ NG1:100㎡未満だから用途変更不要と思った
→ 間取り変更を伴うと必ず用途変更が必要。
❌ NG2:採光換気が不足している
古い家屋・町家で特に多い。
❌ NG3:避難経路が1方向しかない
細長い住宅・2階建の町家で非常に多い。
❌ NG4:内装制限に違反している
既存住宅の壁紙が不燃材料でない場合。
❌ NG5:消防が通らない(避難経路が確保されていない)
旅館業許可は
建築 → 消防 → 保健所
の順で進む。
建築基準法がクリアできないと、
消防も必ず止まる。
◆ 第4章|旅館業の図面は“建築士レベル”が必要です
旅館業許可で提出する図面は非常に多い。
【必要な図面一覧】
■ 建築指導課
- 平面図(現況・計画)
- 立面図
- 断面図
- 仕上表
- 面積計算書
- 避難経路図
- 防火区画図
■ 消防署
- 消防設備配置図
- 感知器・誘導灯の位置図
- 排煙経路図
- 非常照明の配置図
■ 保健所
- 施設概要図
- 客室の面積表
- トイレ・浴室・洗面の配置
- 収納・帳場の配置
🔥 重要ポイント
図面の精度が低いと、
他の審査もすべてストップします。
◆ 第5章|旅館業許可の成功パターン(石川県向け)
当事務所で実際に成功率の高かったパターン。
成功①:初期段階で建築士+行政書士のW体制を組む
旅館業は、
「建築の問題」 → 「消防」 → 「保健所」
の順に詰まるため、
最初に専門家チームを組むのが最適解。
成功②:用途変更の可否を“最初に”建築指導課へ相談
後から用途変更が必要になると
工事内容が大幅に変わる。
成功③:消防署へ“事前協議”する
避難経路が確保できないと
旅館業は絶対に通りません。
成功④:図面は建築士に依頼する
旅館業は一般的なリフォーム図面より精度が必要。
成功⑤:行政書士が全体のスケジュールを管理する
建築 → 消防 → 保健所
の流れがスムーズにいく。
◆ 第6章|旅館業許可のスケジュール(標準モデル)
① 事前調査(2〜4週間)
- 現地調査
- メジャーリング
- 建築基準法チェック
- 用途変更の要否判定
② 基本設計・図面作成(2〜6週間)
建築士が図面を作成。
③ 消防事前相談(1〜2週間)
④ 保健所事前相談(1〜2週間)
⑤ 工事(4〜12週間)
用途変更工事・消防工事など。
⑥ 消防検査 → 保健所検査
⑦ 旅館業許可交付
◆ 第7章|当事務所の強み:旅館業×建築×地域調整のトータル対応
● 建築士+行政書士のワンストップ体制
旅館業許可で最も強力な組み合わせ。
● 石川県(金沢市)の審査傾向に精通
用途変更の判断基準・消防の要求水準を熟知。
● 住民説明会・町会調整も対応
旅館業で最も多いトラブルは“地域対応”。
● 不動産探しから許可取得まで一貫支援
ふちどり不動産 × 行政書士 × 建築士 × 工務店の連携。
◆ まとめ:旅館業許可の最難関は“建築基準法”。ここを制す者だけが許可を取れる。
旅館業許可で最も重要なのは
- 建築基準法の適法性
- 用途変更の適切な判断
- 図面の精度
- 消防との整合
- 専門家チームの早期介入
この5つです。
旅館業は“書類の数”ではなく
建物の安全性と法令適合性が問われる許可 です。
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