建設業許可で“最も危険なトラブル”は「経管不在」です。
経営業務管理責任者(経管)は、
建設業許可の5大要件の中でも
最も代替が難しく、最も不許可になりやすいポイント です。
実際に当事務所への相談で一番多いのは、
- 経管が退職した
- 経管が病気で辞任した
- 経管だった父親(代表)が急に亡くなった
- 役員の兼務ルールを誤り経管が不在になっていた
- “専技”と“経管”を同一人物で立てられないことを知らなかった
などの “経管不在” ケースです。
経管が不在になると、
以下がすぐに問題になります。
【経管不在の主なリスク】
- 許可の更新ができない
- 業種追加ができない
- 変更届の提出が止まる
- 事業承継(代表変更)ができない
- 元請から工事を止められる
- 公共工事の入札停止
- 金融機関からの取引見直し
建設業を続ける上で「経管不在」は致命的です。
この記事では、
経管がいなくなった時の“緊急対応” を、
石川県(金沢市)の審査傾向も踏まえて徹底解説します。
◆ 第1章|そもそも経営業務管理責任者とは?
経管の役割は、
「会社の建設業の経営を総合的に管理した経験がある人」
であること。
■ 経管の要件(いずれか)
① 建設業の経営者として5年以上の経験
- 法人の役員(取締役)
- 個人事業主
- 共同経営者
② 建設業の経営に関する“補佐”として6年以上の経験
補佐とは
- 営業
- 契約締結
- 見積り
- 労務管理
- 資金繰り
などの経験。
「補佐+証明書類」で経管要件を満たすことができる。
③ 上記①+②の組み合わせでも可
例:
- 経営者2年
- 補佐4年
→ 合計6年でOK(条件付き)
◆ 第2章|経管不在の典型パターン(石川県で特に多い)
① 代表が退職・死亡し、後継者が経管要件を満たしていない
家族経営の会社で最も多いケース。
代表者(父)が経管だったが、
息子が後継者になるタイミングで
経管不在となる。
② 経管が別会社へ移籍してしまった
中小企業でよくあるケース。
「経管になるつもりだった社員」が
転職してしまい空白が発生。
③ 役員が変更されて経管の在籍年数が消えた
役員変更の際に
経管だった取締役を外してしまい、
経管不在になるミス。
④ 補佐経験で経管に立てると思っていたが証拠不足
補佐要件は証拠書類が多い。
- 契約書
- 工事資料
- 社内の職務分掌
- 経管補佐の証明書
など揃わず不許可になるケースが多い。
⑤ “専技と兼務”できると勘違い
専任技術者と経管が兼務可能なのは、
一定の条件下(小規模で常勤性を満たすなど)のみ。
現場の稼働状況や事務所常駐状況により
実質的には不可と判断されることもある。
◆ 第3章|経管不在になった場合の“緊急対応ステップ”
【STEP1】今の会社で経管になれる人がいるか確認する
まず最優先は
社内に経管要件を満たす人がいるか の確認です。
確認ポイント(社内候補チェック)
- 過去に建設業者で役員をしていた
- 個人事業主として建設業を営んでいた
- 営業責任者として6年以上従事していた
- 見積り・契約・経理に携わっていた
- 工事の請負金額を管理していた
これらが当てはまる人がいれば、
証拠書類を集めて経管に立てられる可能性がある。
【STEP2】証拠書類を“最速で”集める
経管は、
“実務の経験”だけでなく
“証拠書類”が絶対必要。
主な証拠資料一覧
- 登記簿
- 工事契約書(元請・下請)
- 請求書・領収書
- 商談記録
- 資金繰り表
- 経理資料
- 営業報告書
- 職務分掌
- 経管補佐証明書
石川県の審査では、
「経管補佐証明書だけでは不十分」
というケースが多く、
必ず追加資料が必要です。
【STEP3】経管候補がいない場合は“補佐要件”を検討する
5年以上の役員経験がなくても、
補佐要件(6年以上)で経管になれるケースがあります。
補佐要件のポイント
- 契約・見積り・経理などの実務が必要
- 単なる現場の職人は不可
- 書類で証明できなければ不可
補佐要件は難易度が高いですが、
当事務所は補佐ルートの立証を多数扱っています。
【STEP4】外部から経管を招聘(しょうへい)する方法を検討する
社内に経管がいない場合、
外部の経験者を役員に迎える方法もあります。
外部経管を迎えるポイント
- 取締役として常勤できるか
- 経管としての経歴が証明できるか
- 給与支払いの実態があるか
- 常勤性(事務所に出られるか)
外部の経管は、
「名義貸し」にならないよう注意が必要。
【STEP5】県庁へ“事前相談”を行う(必須)
経管は審査が非常に厳しいため、
必ず事前相談が必要です。
事前相談で確認する内容
- 経管候補者の経歴が要件に合うか
- 書類が十分か
- 過去の勤務実態の説明方法
- 経管の常勤性の確認
- 過年度の届け出との整合性
- その他追加資料の有無
石川県では、
事前相談でNGだと本申請も100%通りません。
【STEP6】変更届(経営業務管理責任者の変更)を提出
経管を立て直した後、
正式に変更届を提出します。
必要書類:
- 経管の経歴書
- 経管の証明書類
- 役員変更がある場合は登記簿
- 誓約書
など。
◆ 第4章|経管不在のまま更新時期が来た場合の“緊急救済ルート”
更新2〜3か月前に気づいて
慌てて相談に来るケースが多いです。
当事務所の救済手順は以下。
① 決算変更届の確認(未提出がないか)
→ 経管不在と同時に未提出が見つかることがほとんど。
② 経管候補の選定
→ 社内/外部を含めて最適解を探す。
③ 証拠資料の緊急収集
→ 過去の会社・元請からの資料集め。
④ 県庁へ緊急事前相談
→ 審査官の判断を確認。
⑤ 経管変更届 → 更新申請
→ 経管が整わなければ更新は不可。
◆ 第5章|経管に立てられない“6つのNGパターン”
NG① 現場作業のみの経験
経管に必要なのは「経営業務経験」です。
大工・職人・現場監督のみでは不可。
NG② 役員経験が名目だけ(実質の経営関与なし)
石川県では特に厳しく、
単なる名目上の役員は不可。
NG③ 補佐要件の証拠が薄い
「営業やってました」「見積してました」
だけでは絶対に通らない。
NG④ 他社との兼務(常勤性NG)
県外企業の役員兼務は
ほぼ通らない。
NG⑤ 実際の経歴と登記簿が一致しない
登記簿・社内資料・工事資料の整合が重要。
NG⑥ 名義貸し(最も危険)
実態のない役員・経管は、
行政処分の対象。
◆ 第6章|当事務所のサポート:経管不在も“立て直し可能”
● 当事務所の特徴
- 経管補佐要件の立証に強い
- 証拠資料が少なくても、追加資料で立証可能
- 過去の勤務先への確認文書作成
- 他社の経管経験を立証するための文書整備
- 登記変更の代行
- 県庁との事前相談を全て担当
● これまでの実績例
- 経管が退職 → 補佐要件で別社員を経管に
- 経管が死亡 → 元請の営業担当を新経管に
- 経管不在歴3年 → 書類整備+事前相談で復活
- 役員経験なし → 補佐証明で経管クリア
◆ 第7章|まとめ:経管不在は“すぐに対応すれば救済可能”
経管不在は非常に危険ですが、
早めに動けば立て直しは可能です。
- 社内候補の確認
- 補佐要件の活用
- 外部招聘
- 証拠資料の整備
- 県庁との事前相談
これらを行えば、
経管不在の状態からでも
更新や業種追加に間に合います。
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