建設業許可の「一番の落とし穴」は専任技術者です。
建設業許可は、
①経営業務管理責任者(経管)
②専任技術者(専技)
③財産要件
④誠実性
⑤社会保険加入状況
など複数の要件をクリアする必要があります。
この中で、もっとも不許可が多いのが 「専任技術者」 です。
「実務経験10年あるはずなのに、証明できず却下…」
「工事経歴書と実務経験証明がズレていると指摘された」
「元請なのに請負契約書を出せなかった」
といったケースは、当事務所への相談の中でも非常に多い内容です。
この記事では、
専任技術者で落ちる典型パターンと回避策 を、
石川県の審査傾向も踏まえながら詳しく解説します。
◆ 第1章|専任技術者とは?“名前だけ置く人”では絶対に通りません
専任技術者は、
建設業許可を受けた事業所に「常勤」で配置される専門家のことです。
要件は大きく分けて以下の2つ。
① 資格要件(学歴資格ルート)
例:
- 1級・2級建築施工管理技士
- 土木施工管理技士
- 建築士
- 管工事・電気工事・造園などの施工管理技士
など
資格があれば、実務経験は不要でクリアしやすい。
② 実務経験要件(10年または3年)
資格がない場合、
10年以上(業種により3年以上)の実務経験 が必要です。
ここで多くの申請者がつまずきます。
◆ 第2章|専任技術者で不許可になる代表的なパターン
石川県(金沢市)を含む多くの自治体で、不許可判断の傾向はほぼ共通しています。
その中でも特に多いのが以下の7つ。
❶ 実務経験を証明できる書類が揃わない
多くの人が「10年働いたから大丈夫」と思っていますが、
審査は“証拠書類”がすべてです。
よくある不足
- 工事請負契約書がない
- 請求書・領収書がない
- 元請との契約をしていない
- 給与明細・源泉徴収票がない(在籍証明が曖昧)
※石川県は特に「実質的証拠」を重視する傾向があります。
❷ 実務経験の期間が“途切れている”
次のようなケースも不許可になりやすい。
- 個人事業を休止していた期間
- 別業種に従事していた期間
- 申請業種と無関係の工事をしていた期間
- 雇用保険の加入実績が途切れている
※実務経験は「連続性」も重要です。
❸ 工事種類が要件に合わない
例えば…
- とび・土工で経験を出そうとしているのに、実際は解体が中心
- 土木一式で経験を出すが、実際は舗装のみ
- 管工事を申請するのに、水道設備の請負契約がない
申請業種と証明書類の内容が一致していないと通りません。
❹ 工事経歴書と実務経験証明の整合性が取れない
工事経歴書(決算変更届の書類)で
「過去の工事実績」を提出している場合、その内容と矛盾があると即アウト。
❺ 雇用関係が証明できない(自社の社員扱いになっていない)
- 業務委託契約
- 外注扱い
- 社会保険未加入
これは石川県でも厳しくチェックされます。
❻ 常勤性が認められない(他社との兼務)
例:
- 他の会社で正社員
- 一人親方として複数現場を掛け持ち
- 役員兼務だが勤務実態が薄い
- 県外会社との二重在籍
常勤とは、「その事業所に日常的に勤務している」ことを証明しなければなりません。
❼ 個人事業主の経験を法人の専技に使えないケース
法人化(法人成り)では特に注意。
- 個人事業時代の工事資料が不足
- 経験期間が分断
- 個人→法人の請負主体が変わっている
◆ 第3章|専任技術者を確実に通すための書類チェックリスト
当事務所では、専任技術者の要件確認のために、
以下の書類をすべて事前チェックしています。
① 雇用関係の証明
- 雇用保険被保険者証
- 社会保険加入状況
- 給与台帳
- 源泉徴収票
② 実務経験の証拠
(最低でも10年分)
- 請負契約書
- 見積書・注文書
- 請求書・領収書
- 工事写真
- 施工体制台帳・作業日報
- 施工管理記録
- 元請・下請双方の資料
- 工事完了報告書
③ 当時の所属会社の存在証明
- 商業登記簿
- 個人事業の開業・廃業届
- 元雇用主の証明書
④ 事業所の常勤性の証明
- タイムカード
- シフト表
- 在籍証明書
⑤ 申請業種との整合性チェック
- 請負契約書に記載された工事種類
- 施工写真
- 工事経歴書との一致
- 決算書との整合性
◆ 第4章|石川県(金沢)の審査傾向:専任技術者は本当に厳しい
石川県は、
「実質的に10年の経験があること」を重視する傾向 があります。
そのため…
- 工事写真の提出を求められる
- 請負契約書が2〜3件では不足と判断される
- 実務経験証明は“本人申告のみ”では不可
- 給与の支払い実態もチェック
- 他社との兼務を特に警戒
これらは、過去の相談事例から一貫して見られる特徴です。
◆ 第5章|専任技術者の立て方で失敗しないための「3つの鉄則」
鉄則①:とにかく“証拠を集める”が最優先
10年働いたという事実より
10年働いたことを証明できる書類の方が重要。
鉄則②:業種と書類の内容を必ず一致させる
申請業種が
- 建築一式 → 建築工事の実績
- 管工事 → 給排水・衛生設備の実績
- 電気工事 → 電気配線・機器設置の実績
であることを明確に示す必要があります。
鉄則③:事前相談(行政書士×県庁)が最も効果的
専任技術者は、事前相談するだけで
不許可リスクを7割以上減らせます。
理由:
- 審査官が求める証拠レベルが分かる
- 書類の整合性を事前に調整できる
- 業種の選び方をミスしなくなる
当事務所でも申請前に県庁と必ず調整します。
◆ 第6章|まとめ:専任技術者は“書類勝負”。準備がすべてです。
専任技術者は、建設業許可の中でもっとも難しく、
もっとも不許可になりやすいポイントです。
だからこそ、
「書類の準備量」=「審査の通過率」 がそのまま反映されます。
- 実務経験の証明が弱い
- 工事内容と申請業種が一致しない
- 在籍証明が不十分
- 常勤性が認められない
これらはすべて、事前に防げる不許可です。
◆ 行政書士高見裕樹事務所なら、専任技術者の確認を徹底サポート
当事務所は、
石川県・金沢市の建設業許可を多数取り扱っており、
専任技術者の審査傾向を把握しています。
🔻 当事務所の強み
- 実務経験の“証拠書類”の精密チェック
- 工事内容と業種区分の整理
- 経管・専技の同時確認
- 過年度の決算変更届の立て直しも可能
- 事前相談で審査官と調整してから提出
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