“許可を取って終わり”ではない!|建設業許可の維持と決算変更届の重要性
― 更新できなくなる前に、毎年の報告義務を正しく理解しよう ―
1.はじめに|建設業許可は「取得して終わり」ではない
建設業許可を取得した経営者の多くが勘違いしやすいのが、
「一度取ってしまえばずっと有効だろう」という考え方です。
しかし実際には、建設業許可は“更新制”であり、毎年の報告義務があります。
特に重要なのが「決算変更届(事業年度終了報告書)」の提出です。
この届出を怠ると、
- 許可の更新ができない
- 行政指導・注意喚起を受ける
- 金融機関・取引先からの信頼を損なう
など、経営に重大な支障をきたすこともあります。
この記事では、建設業許可を正しく維持するためのポイントを、行政書士の立場から詳しく解説します。
2.建設業許可の「有効期間」と「報告義務」
まず押さえておきたいのは、建設業許可には5年の有効期限があることです。
5年ごとに「更新申請」を行わなければ、許可は自動的に失効します。
しかし、5年後の更新時には「直近5年間の決算変更届を提出済みであること」が前提条件。
つまり、毎年の決算変更届を出していなければ更新ができないのです。
| 手続き | 頻度 | 提出期限 | 提出先 |
|---|---|---|---|
| 決算変更届(事業年度終了報告書) | 毎年 | 決算日から4か月以内 | 石川県庁(土木部建設業課)または各土木総合事務所 |
| 更新申請 | 5年ごと | 有効期限満了日の30日前まで | 同上 |
たとえば、3月決算の会社であれば、7月末までに決算変更届を提出する必要があります。
3.「決算変更届」とは何を出すのか?
決算変更届は、建設業法第11条に基づき、「経営状況を毎年報告する義務」です。
提出書類は次の通りです。
🔸提出書類一覧
- 事業年度終了報告書
- 工事経歴書(前事業年度の施工実績)
- 直前3年の各事業年度における工事施工金額
- 財務諸表(貸借対照表・損益計算書など)
- 納税証明書(法人税・所得税など)
- 使用人数・定款・登記事項証明書(必要に応じて)
つまり「会社の経営状況を行政が確認する」ための報告書です。
決算申告が終わった後、税理士が作成した財務諸表をもとに行政書士が整え、工事実績とともに提出します。
4.出さないとどうなる?|放置した場合のリスク
「決算変更届を出していない」という相談は非常に多いです。
しかし、放置しておくと次のようなリスクが発生します。
| リスク | 内容 |
|---|---|
| 更新できない | 直近5年分の決算変更届が未提出だと更新不可 |
| 行政指導 | 建設業課から提出督促・注意喚起を受ける |
| 信用低下 | 元請業者や銀行に「管理不備」とみなされる |
| 審査遅延 | 更新申請時に書類が揃わず、期限切れになる |
実際、「許可が失効してから気づいた」「過去分をまとめて出すことになった」というケースも珍しくありません。
遅れて提出する場合でも、過去5年分すべてを補完しなければなりません。
5.行政書士が行う決算変更届サポートの流れ
行政書士高見裕樹事務所では、建設業者様の手間を最小限にするため、以下の流れで手続きを行います。
- ヒアリング・資料確認
決算月・許可番号・提出履歴を確認します。 - 必要書類の収集
税理士作成の決算書・工事実績・納税証明書などを確認。 - 事業年度終了報告書・工事経歴書の作成
行政様式に沿って正確に記載。 - 提出・受領確認
県庁または土木総合事務所へ提出し、受理票を交付。 - 次回スケジュール管理
翌年度の提出時期をカレンダー管理し、リマインド対応。
行政書士が関与することで、期限切れ・記載漏れ・誤記を防ぎ、許可維持の信頼性を高めます。
6.「経営業務管理責任者」や「専任技術者」の変更届も忘れずに
建設業許可を維持するうえでは、決算変更届だけでなく、
役員や技術者の変更にも注意が必要です。
| 届出内容 | 提出期限 |
|---|---|
| 経営業務管理責任者の変更 | 変更後2週間以内 |
| 専任技術者の変更 | 変更後2週間以内 |
| 役員・商号・資本金の変更 | 変更後2週間以内 |
これらを怠ると、「実体と申請内容が異なる」とみなされ、更新時に差し戻されることがあります。
特に技術者の退職や役員変更時は、建設業許可にも影響が及ぶため、早めの届出が重要です。
7.石川県での提出先と注意点
石川県では、事業所の所在地によって提出先が異なります。
| 所在地 | 提出先 |
|---|---|
| 金沢市・野々市市・白山市 | 石川県庁 建設業課 |
| 小松市・能美市など加賀地域 | 南加賀土木総合事務所 |
| 七尾市・輪島市など能登地域 | 奥能登土木総合事務所 |
窓口は混雑することが多く、担当者によってチェック内容が細かく異なるため、
行政書士による事前確認・添付資料整理が不可欠です。
8.決算変更届は「企業の信頼性」を守る書類
決算変更届は単なる義務ではなく、取引先や金融機関への信頼を示す書類でもあります。
建設業は公共工事や下請契約が多く、発注元は必ず「直近の許可状況・提出履歴」を確認します。
つまり、「きちんと届出している=経営管理が行き届いている会社」と見られます。
一方で、届出が滞っている会社は「管理体制が甘い」「許可更新も危うい」と評価され、
取引や融資で不利になることもあります。
9.更新時に慌てないための「年次管理」
建設業許可の維持で最も重要なのは、“年に一度の定期メンテナンス”を怠らないことです。
行政書士高見裕樹事務所では、毎年の届出を確実に行うために、次のような仕組みを導入しています。
- 📅 提出期限リマインドメールサービス
- 🗂 過去5年分の届出控えをデータ保存・管理
- 🧾 税理士・経理担当者との連携で書類整備を簡略化
- 💼 許可更新・業種追加も同時サポート
これにより、経営者が書類管理に追われることなく、本業に専念できます。
10.よくある質問Q&A
Q1. 決算変更届は誰が出すのですか?
→ 原則として許可業者が提出しますが、行政書士に委任することが可能です。
Q2. 税理士に頼んでいるから不要では?
→ 税理士は税務申告を行いますが、建設業法上の届出は行政書士の業務です。別手続きです。
Q3. 期限を過ぎてしまいました。どうすれば?
→ 過去分をまとめて提出可能です。行政書士が過年度分を整え、説明文を添えて提出します。
Q4. 費用はいくらくらいかかりますか?
→ 行政書士報酬:22,000円~(1年分・税別)
複数年まとめ提出の場合は割引対応可。
11.まとめ|“維持できてこそ許可”である
建設業許可は「取ること」よりも「維持すること」が難しい許可です。
毎年の決算変更届を怠ると、せっかくの許可が更新できず、最悪の場合は無許可業者扱いになることもあります。
行政書士が関与することで、届出を確実に行い、経営の信頼性を保ち続けることができます。
建設業者にとっての「決算変更届」は、未来の案件と信用を守るための最重要手続きです。
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