“ネットでお酒を売りたい”|通信販売酒類小売業免許の申請と注意点【2025年対応版】
はじめに
「自社のホームページでワインを販売したい」
「ネットショップ(BASE・STORES・楽天市場など)でお酒を扱いたい」
──そんな相談が、ここ数年で急増しています。
しかし、お酒を販売するには酒類販売業免許が必須。
中でも「通信販売」で酒類を販売するには、通常の小売業免許とは異なる**“通信販売酒類小売業免許”**を取得する必要があります。
この記事では、石川県(金沢市・白山市・小松市など)での実務経験をもとに、
通販でお酒を販売するための要件・手続き・注意点を詳しく解説します。
1️⃣ 酒類販売免許の基本構造
まず、「酒類販売免許」と一口にいっても、実際にはいくつか種類があります。
目的と販売形態によって、必要な免許が異なります。
| 免許の種類 | 主な内容 | 販売対象 | 店舗販売 | 通信販売 |
|---|---|---|---|---|
| 一般酒類小売業免許 | 店舗でお酒を販売 | 一般消費者 | ○ | ✕ |
| 通信販売酒類小売業免許 | ネット・電話・FAX等で販売 | 一般消費者 | ✕ | ○ |
| 酒類卸売業免許 | 小売店・飲食店などへ販売 | 業者 | ✕ | ✕ |
| 特定販売免許(ワイン・地ビール等) | 特定の酒類のみ販売 | 一般消費者 | ○ | ○(条件付き) |
つまり、**ネットで一般消費者にお酒を売るなら「通信販売酒類小売業免許」**が必要です。
2️⃣ 通信販売酒類小売業免許とは?
✅ 通販販売用の免許
通信販売酒類小売業免許は、インターネットや電話注文など、「対面以外の手段」で販売するための免許です。
この免許を持つことで、
- 自社ECサイト
- 楽天市場、Amazon、BASE、STORESなどのモール型ショップ
- SNSリンク販売(Instagramショップ等)
でも合法的にお酒を販売できます。
3️⃣ 申請先と管轄
申請先は、**営業所所在地を管轄する税務署の「酒類指導官」**です。
| 地域 | 管轄税務署 |
|---|---|
| 金沢市中心部 | 金沢税務署 |
| 野々市・白山市 | 金沢南税務署 |
| 小松市・能美市 | 小松税務署 |
| 七尾市・羽咋市 | 七尾税務署 |
| 富山市 | 富山税務署 |
| 福井市 | 福井税務署 |
税務署によって審査の細部が異なるため、事前相談が非常に重要です。
4️⃣ 審査で重視される3つの要件
通信販売酒類小売業免許の審査では、以下の3点が特に重視されます。
(1)営業所の実態
「インターネット上だけでなく、実際に在庫を管理する営業所(倉庫)」が必要です。
レンタルオフィスや自宅兼用の場合は、在庫保管スペースの確保を証明しなければなりません。
📌 書面提出例
- 倉庫間取り図
- 在庫写真
- 賃貸契約書
(2)酒類の保管・販売管理体制
- 未成年者飲酒防止のための年齢確認方法(ECサイト上に明示)
- 発送管理体制(納品書・出荷記録)
- 在庫台帳の整備
国税局では、特にオンライン販売時の年齢確認方法を厳しくチェックしています。
「購入時に年齢確認チェックボックス」「受取時に年齢確認できる配送業者利用」などが求められます。
(3)過去の税務・経営状況
過去に酒税法違反・税滞納がある場合は、免許が下りません。
法人の場合は、役員全員が対象になります。
5️⃣ ホームページの要件
通信販売酒類小売業免許を申請する際、販売サイト(URL)を事前に審査される点が最大の特徴です。
✅ サイト上に必須の表示項目
- 事業者名・所在地
- 販売管理者の氏名
- 免許番号(取得後追記)
- 未成年者の飲酒防止文言
- 年齢確認の仕組み
- 商品情報・価格・送料・返品ポリシー
💡 申請時にまだサイトが完成していない場合は、「仮デザイン」「テストページ」を提出することで審査可能です。
6️⃣ 審査の流れ
1️⃣ 事前相談(税務署)
販売方法・在庫場所・商品種類をヒアリング。
事前相談なしで提出すると、差戻しになるケースが多いです。
2️⃣ 申請書提出・添付書類提出
・登記事項証明書
・定款
・賃貸契約書(倉庫・事務所)
・販売管理体制図
・ECサイトURL
3️⃣ 審査期間:約2〜3か月
内容審査 → 現地確認 → 国税局最終判断
7️⃣ 費用の目安
| 内容 | 費用 | 備考 |
|---|---|---|
| 税務署手数料 | 無料 | 国への納付不要 |
| 行政書士報酬 | 110,000円〜165,000円(税込) | 書類作成+サイト確認対応込み |
| ECサイト制作(任意) | 100,000円〜 | Shopify・BASE等使用も可 |
| 保管倉庫賃料 | 数万円〜 | 自宅兼用可(要確認) |
8️⃣ 注意すべき3つの落とし穴
(1)「一般小売免許」でネット販売してしまうケース
一般小売免許は「対面販売専用」です。
この免許だけで通販を行うと**無免許販売(酒税法違反)**に該当します。
(2)サイトをリニューアルした際のURL変更届出
免許取得後にサイトURLを変更した場合、税務署への届出が必要です。
無届のままだと、免許取消の可能性もあります。
(3)業務委託・ドロップシッピング販売の誤解
自社が在庫を保有しない「委託販売・代理販売型」は、免許の対象外となります。
商品を直接仕入れ・販売する「自社販売」でなければ許可は下りません。
9️⃣ 通信販売酒類小売業免許のメリット
- 全国への販売が可能(対面販売は県内限定)
- サブスクリプション・定期便モデルにも対応
- 海外発送も国税局の承認で可能(輸出管理あり)
地方の酒造メーカー・飲食店にとっては、販路拡大の鍵となる免許です。
🔟 行政書士に依頼するメリット
酒類販売免許の申請は、国税庁の独自審査が絡むため、一般的な許認可よりも専門性が高い分野です。
行政書士高見裕樹事務所では、
- 事前相談の同席
- 書類作成・経営管理体制図作成
- ECサイトURL表示内容のチェック
- 税務署・国税局対応まで一括サポート
さらに、自社グループ「株式会社Kプランニング」では、
**販売ページ・デザイン構築(BASE/Shopify対応)**も含めたサポートが可能です。
まとめ
| 内容 | 通信販売酒類小売業免許 | 一般酒類小売業免許 |
|---|---|---|
| 販売方法 | 通販(ネット・電話) | 店舗対面 |
| 販売先 | 全国の消費者 | 店舗来店客のみ |
| 免許申請先 | 税務署(国税庁管轄) | 同左 |
| 審査期間 | 約2〜3か月 | 約2か月 |
| 主な注意点 | ECサイト要件・URL届出 | 対面取引限定 |
通信販売による酒類販売は、法令遵守と正確な届出が欠かせません。
行政書士高見裕樹事務所では、オンライン販売に対応した最新の酒販免許サポートを提供しています。
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