
「深夜営業と風俗営業は併用できない?」
スナック・バー開業で知るべき違いと許可の選び方
ナイトビジネスを始めたい方の多くが最初に迷うのが、
「うちは風俗営業許可が必要なのか? それとも深夜営業の届出でいいのか?」という点です。
実は、この2つは法律上まったく別の制度であり、
同じ店舗で“併用”することはできません。
この記事では、石川県金沢市を中心に北陸三県での運用を踏まえながら、
風俗営業許可と深夜酒類提供飲食店届出の違い、
そしてどちらを選ぶべきかを、行政書士高見裕樹事務所が解説します。
1.「風俗営業許可」と「深夜酒類提供飲食店届出」は別制度
まず前提として、2つの制度の違いを整理します。
項目 | 風俗営業許可(第1号営業) | 深夜酒類提供飲食店届出 |
---|---|---|
根拠法 | 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(風営法)第2条1項1号 | 風営法第2条4項 |
営業内容 | 接待行為を伴う飲食 | 接待行為を伴わない深夜の飲酒提供 |
営業時間 | 原則 0時まで | 0時以降も営業可能 |
許可・届出の別 | 許可制(公安委員会の審査が必要) | 届出制(警察署へ書類提出) |
審査期間 | 約55日(石川県の場合) | 受理日から即日営業可 |
接待行為 | あり(必須) | なし(禁止) |
主な業態 | スナック、ラウンジ、キャバクラなど | バー、居酒屋、カラオケバーなど |
管轄 | 公安委員会(警察署経由) | 各警察署生活安全課 |
必要図面 | 平面図・求積図・照度分布図 | 平面図(簡易)程度 |
このように、
「接待をするか」「深夜に営業するか」で区分が決まります。
2.「接待行為」とはどんな行為?
風俗営業に該当する最大のポイントが、「接待行為」の有無です。
風営法上の“接待”とは、以下の行為を指します。
- 客のそばに座り、お酌をする
- 客と一緒にカラオケを歌う
- 会話・スキンシップ・ゲームなどで歓楽的雰囲気を盛り上げる
- 長時間にわたって客に付き添う
つまり、お客様の隣に座って接する行為はすべて接待に該当します。
たとえ軽い会話であっても、一定時間を超えると「接待行為」と判断される場合があります。
3.「深夜営業」とは?
一方、「深夜酒類提供飲食店」とは、
接待を伴わずに深夜(午前0時〜午前6時)にお酒を提供するお店です。
たとえば、
- バー
- ショットバー
- 居酒屋
- 深夜カラオケバー
などが該当します。
ただし、深夜営業では接待が一切禁止されています。
お客様の隣に座ったり、会話を長く続けると「無許可接待」とされ、
摘発対象になるおそれがあります。
4.併用はなぜできないのか
多くの開業希望者から質問されるのが、
「接待もしたいけど、深夜も営業したい。両方申請すればいいのでは?」という疑問。
結論から言うと、
風俗営業許可と深夜営業届出は法律上、併用できません。
理由は明確で、両者の営業時間が矛盾するからです。
- 風俗営業は 午前0時までしか営業できない
- 深夜営業は 午前0時以降に営業することを前提とした制度
つまり、「接待を伴う営業」と「深夜営業」は、同じ時間帯では両立しないのです。
5.併用して摘発される事例
実際に、北陸でも以下のような摘発事例があります。
- 名目上は「バー」として届出していたが、接待行為を行っていた
- スナックとして風俗営業許可を取っていたが、0時を過ぎても営業していた
このような場合、
風営法違反(無許可営業または営業時間違反)として、
営業停止や罰金処分が科されます。
石川県警では、年に数回、夜間立入検査を実施しています。
「うちは小さい店だから大丈夫」と思っていても、
摘発されれば営業停止リスクは同じです。
6.あなたの店はどちらを選ぶべき?
開業予定の店舗に合わせて、以下のように考えると分かりやすいです。
店舗タイプ | 接待行為 | 営業時間 | 必要な許可・届出 |
---|---|---|---|
スナック | あり | 0時まで | 風俗営業許可 |
キャバクラ | あり | 0時まで | 風俗営業許可 |
ラウンジ | あり | 0時まで | 風俗営業許可 |
バー | なし | 0時以降 | 深夜酒類提供飲食店届出 |
居酒屋 | なし | 0時以降 | 深夜酒類提供飲食店届出 |
カラオケバー | なし(会話のみ) | 0時以降 | 深夜酒類提供飲食店届出 |
「接待するか」「深夜まで営業するか」
この2点を基準にすれば、どちらの制度が適用されるかが決まります。
7.風俗営業許可を選ぶ場合のメリット・デメリット
メリット | デメリット |
---|---|
接待行為ができる(お客様対応が自由) | 0時までしか営業できない |
スナック・ラウンジなど柔軟な接客が可能 | 許可取得に時間(約55日)と費用がかかる |
接待サービスによる売上増加が見込める | 警察署・消防署などの検査が厳格 |
8.深夜酒類提供飲食店を選ぶ場合のメリット・デメリット
メリット | デメリット |
---|---|
許可ではなく届出のため短期間で営業可 | 接待が一切できない |
0時以降も営業可能(時間制限が緩い) | 雰囲気づくりに制約がある |
保健所許可+届出で完了(費用が少ない) | 接待と誤解されやすく注意が必要 |
9.北陸三県での実務運用の違い
- 石川県(金沢市)
風俗営業:0時以降営業禁止
深夜酒類提供:届出制(接待厳禁)
警察署による事前相談が必須 - 富山県
条例で風俗営業の時間制限が特に厳しい。
深夜営業の監視も強化されている。 - 福井県
風俗営業許可でも0時営業終了が厳格運用。
バー・スナックの区分誤りでの摘発例あり。
北陸三県はいずれも、0時以降の接待行為を厳格に禁止しています。
10.許可・届出のスケジュール比較
手続き | 所要期間 | 書類枚数 | 検査有無 |
---|---|---|---|
風俗営業許可 | 約55日 | 約20〜30枚 | 現地検査あり |
深夜酒類提供届出 | 約3〜7日 | 約5枚程度 | 原則なし |
つまり、
「開業までの時間が限られている場合」は深夜届出、
「接待をメインにしたい場合」は風営許可、という選択になります。
11.費用比較(石川県の場合)
内容 | 風俗営業許可 | 深夜酒類提供届出 |
---|---|---|
行政書士報酬 | 165,000円〜 | 55,000円〜 |
図面作成費 | 55,000円 | 33,000円 |
警察手数料 | 24,000円 | 無料 |
合計目安 | 約250,000円〜300,000円 | 約80,000円前後 |
12.変更・転換はできる?
「とりあえず深夜営業で始めて、後から風営許可に切り替えたい」
という相談もよくあります。
しかし、制度上の「変更届」での転換は不可。
一度廃止届を出してから、あらためて風俗営業許可を新規申請する必要があります。
そのため、開業前に方向性を明確にすることが最も重要です。
13.行政書士がサポートできること
行政書士高見裕樹事務所では、
開業希望者様からのご相談をもとに、店舗の形態・営業時間・接客内容をヒアリングし、
どちらの制度で進めるべきかを具体的に診断しています。
また、
- 警察署事前相談の代行
- 図面作成・照度測定
- 飲食店営業許可(保健所)との同時進行
まで一括対応。
「接待あり or なし」「時間制限をどうするか」といった判断を、
開業前にクリアにできます。
14.「来るもの拒まず」──迷ったらまず相談を
風俗営業許可と深夜営業届出の違いは、
たった一言「接待の有無」ですが、結果は天と地ほど違います。
当事務所は「来るもの拒まず」の姿勢で、
開業の方向性が定まっていない方でも丁寧にサポートします。
- どちらを選べばいいか分からない
- 今の店舗で届出が通るか不安
- 夜0時以降も営業したい
そんな段階からのご相談も大歓迎です。
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行政書士高見裕樹事務所
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