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「ゼロから分かる!|旅館業・簡易宿所・民泊の開業ステップを徹底解説」

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ゼロから分かる!|旅館業・簡易宿所・民泊の開業ステップ

はじめに

「民泊をやってみたい」「古民家を宿にして観光客を迎えたい」「副業で宿泊業を始めたい」──こうした声を石川県内でもよく耳にするようになりました。北陸新幹線の延伸やインバウンド需要の高まりを背景に、宿泊業への参入を検討する個人や法人が増えています。

しかし、実際に開業に向けて動き出そうとすると、多くの方が最初の段階でつまずきます。
「民泊と簡易宿所の違いは?」
「開業までどのくらいかかるの?」
「どんな書類を揃えればいいの?」

この記事では、これから旅館業・簡易宿所・民泊を開業しようと考えている方向けに、ゼロから分かる開業ステップをまとめました。石川県(金沢市)での実務を中心に、北陸での開業を検討している方に役立つ内容をお届けします。


許可と届出の違いを理解する

宿泊業を始めるにあたって、最初に押さえておくべきは「旅館業(旅館業法)」と「民泊(住宅宿泊事業法)」の違いです。

旅館業(旅館業法)

旅館業法では、宿泊業を営む形態を次のように分類しています。

  • ホテル営業
  • 旅館営業
  • 簡易宿所営業
  • 下宿営業

このうち、小規模な宿泊施設を対象にしているのが「簡易宿所」です。ゲストハウスやホステルなどはこの形態にあたります。

特徴

  • 許可制:保健所に申請し、審査・現地検査を経て許可を受ける必要がある。
  • 営業日数制限なし:365日営業可能。
  • 法令遵守が厳格:消防法・建築基準法・都市計画法など複数の法令に適合しなければならない。

民泊(住宅宿泊事業法)

いわゆる「民泊新法」に基づく営業形態で、住宅を活用して宿泊サービスを提供するものです。

特徴

  • 届出制:許可ではなく届出。比較的簡単に始められる。
  • 営業日数制限あり:年間180日以内に限定。
  • 副業向き:空き部屋や空き家を利用でき、初期投資が少ない。

違いをまとめると…

  • 「副業で気軽に始めたい」→ 民泊(届出制)
  • 「安定的に営業したい、本業化したい」→ 簡易宿所(許可制)

どちらを選ぶかは、自分の目的と収益目標によって変わります。


開業に必要な期間はどのくらい?

「いつから営業できるのか?」は最も気になる点でしょう。

民泊(届出制)の場合

  • 書類が揃えば1か月以内で開始可能。
  • ただし、消防署や近隣住民との調整が必要な場合は2〜3か月に延びることもある。

簡易宿所(旅館業法・許可制)の場合

  • 通常2〜3か月。
  • 建築確認や消防設備工事が必要なら4〜6か月かかるケースも。
  • 金沢市の場合、さらに「看板掲示義務(1〜2か月)」があるため、余裕を見て4〜6か月は必要。

逆算の重要性

「夏休みシーズンにオープンしたい」と思うなら、春には申請準備を開始しなければ間に合いません。


開業までのステップ

ここからは、具体的にどのような手順で進めるのかを整理します。

1. 事前調査

  • 物件の用途地域を確認:住居専用地域では営業できないことがある。
  • 建物の構造:木造かRCかで消防要件が異なる。
  • マンションの場合:管理規約で宿泊業が禁止されていないか確認。

2. 役所との相談

  • 保健所:客室面積(1人あたり3㎡以上)や衛生基準を確認。
  • 消防署:火災報知器、誘導灯、消火器などの設置要件を確認。
  • 建築指導課:用途変更や建築確認の必要性を判断。

3. 許可申請または届出

  • 民泊:住宅宿泊事業法に基づく届出を行う。
  • 簡易宿所:旅館業法に基づく許可申請を行う。
  • 添付書類には図面、契約書、管理体制書類などが必要。

4. 工事・設備対応

  • 消防設備の追加設置(火災報知器、避難経路表示など)。
  • 用途変更に伴う工事(建築士による設計が必要な場合あり)。

5. 検査・審査

  • 保健所:衛生基準が満たされているかを現地確認。
  • 消防署:設備が基準通り設置されているか検査。

6. 営業開始

  • 許可証または届出番号が交付され、営業スタート。

開業形態ごとの特徴

民泊(届出制)

  • 副業に向く
  • 初期費用が少ない
  • 年間180日の制限あり

簡易宿所(許可制)

  • 本業として取り組める
  • 投資コストは高め
  • 年間無制限で営業可能

金沢市特有の「看板掲示義務」

石川県の中でも、金沢市で旅館業を始める場合は特に注意が必要です。

内容

  • 許可申請前に看板を掲示し、1〜2か月間周知しなければならない。
  • 掲示内容:施設名、事業者名、問い合わせ先など。

実務への影響

  • この掲示期間のせいで計画が大幅に遅れるケースがある。
  • 掲示方法や期間が不備だと再掲示を求められることも。

観光都市・金沢市だからこそのルールであり、開業スケジュールに必ず組み込んでおく必要があります。


開業にかかる費用の目安

民泊

  • 消防設備:数万円〜
  • 届出:ほぼ無料(手数料なし)
  • 委託費(清掃や管理):月数万円〜

簡易宿所

  • 消防設備:数十万円〜
  • 建築用途変更:数十万円〜
  • 許可申請手数料:16,000円程度
  • 行政書士・建築士への報酬:数十万円〜

初期費用の差は大きく、**「小さく始めるなら民泊」「しっかり収益化したいなら簡易宿所」**という選び方になります。


よくあるトラブルと注意点

  1. 無許可営業の摘発
    Airbnbで申請前に営業してしまい、行政指導を受ける例がある。
  2. 消防検査で不合格
    設備不足や施工不良で追加工事が必要になり、費用が膨らむ。
  3. 近隣トラブル
    騒音・ゴミ問題でクレームが発生し、営業継続が困難に。
  4. スケジュール遅延
    看板掲示や用途変更の見落としで、開業が数か月遅れる。

専門家に依頼するメリット

開業準備は「自分でもできる」と思われがちですが、実務では数多くの落とし穴があります。

  • 条例や法規制を踏まえたスケジュール管理ができる
  • 消防・建築・保健所の調整を一括で代行
  • オーナー承諾書や管理規約の調整もサポート

行政書士高見裕樹事務所では、

  • ふちどり不動産による物件探し
  • Kプランニングによる改装工事
  • 当事務所による許可申請

をワンストップで対応可能です。


まとめ

  • 宿泊業を始めるには「旅館業(許可制)」と「民泊(届出制)」の2つのルートがある。
  • 民泊は始めやすいが、年間180日の制限がある。
  • 簡易宿所は投資が必要だが、無制限で営業できる。
  • 金沢市では看板掲示義務があり、開業スケジュールに注意。
  • 消防・建築・保健所との調整は専門家に任せると安心。

これから宿泊業を始めたい方は、まず「どの制度で始めるのか」を明確にし、余裕をもって準備を始めましょう。


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行政書士高見裕樹事務所では、旅館業・簡易宿所・民泊の開業支援を行っています。
物件探しから許可申請、改装工事まで一貫対応が可能です。

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