
“その場所で本当に出せる?”|用途地域と風俗営業許可の関係
はじめに
スナックやキャバクラ、ラウンジなどの開業を検討される方から、必ずご相談いただくのが 「この場所で本当に風俗営業許可が下りるのか?」 という点です。
いくら資金を用意し、内装工事を整えたとしても、立地が要件を満たしていなければ許可申請自体が受理されない、あるいは警察署の窓口で「ここは許可が出ません」と即座に指摘されてしまうケースも少なくありません。
その判断基準となるのが 「用途地域」 です。都市計画法に基づき、市街地をどのように利用できるのかを定める仕組みであり、風俗営業許可を取得するうえで最初にクリアすべきポイントといえます。
本記事では、用途地域の基本から、住宅街で許可が下りない理由、商業地域や近隣商業地域の違い、石川県(金沢市など)の実例まで詳しく解説いたします。開業予定の方や物件探しを進めている方にとって、失敗を防ぐための重要な知識になるはずです。
1. 用途地域とは?風俗営業との関係性
1-1. 用途地域の基本
「用途地域」とは、都市計画法に基づいて定められる都市計画のひとつで、土地利用をコントロールする制度です。
市街地を 住居系・商業系・工業系 などに区分けし、それぞれのエリアで建てられる建物の種類や用途を制限することで、都市の健全な発展や住環境の保護を目的としています。
用途地域は全国の市街化区域に設定されており、以下の13種類に分かれています。
- 第一種低層住居専用地域
- 第二種低層住居専用地域
- 第一種中高層住居専用地域
- 第二種中高層住居専用地域
- 第一種住居地域
- 第二種住居地域
- 準住居地域
- 近隣商業地域
- 商業地域
- 準工業地域
- 工業地域
- 工業専用地域
この中で、風俗営業が可能となるのは 限られた地域 に限られています。
1-2. 風俗営業許可と用途地域
風俗営業は、都市計画や治安維持の観点から強く規制されています。
都市計画法による用途地域の制限に加え、風営法(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律)や各自治体の条例によって細かくルールが設けられています。
つまり、 「風営法上で許されているから大丈夫」ではなく、「都市計画上の用途地域でも認められているか」 を二重に確認する必要があります。
2. 住宅街では許可が下りないケース
2-1. 低層住居専用地域の規制
第一種・第二種低層住居専用地域は、その名のとおり「住宅地の環境を守る」ことを目的としています。
小規模な店舗であっても、スナックやキャバクラといった風俗営業は一切認められていません。
仮に以前に小さなお店が存在していたとしても、法改正や条例変更により現在は営業が不可能になっている場合もあります。
2-2. 住民トラブルの火種
住宅街で風俗営業が規制される理由のひとつに、住民からの苦情リスク があります。
「夜中に人が集まって騒がしい」「治安が悪化するのではないか」といった懸念が発生しやすく、地域の生活環境と相容れないためです。
そのため、許可申請をしても認められる可能性はゼロに近いといえます。
3. 商業地域・近隣商業地域での違い
3-1. 商業地域
商業地域は、風俗営業を行ううえで最も適しているエリアです。
飲食店や娯楽施設、商業施設が集中するため、深夜営業や接待を伴う店舗も一定の条件下で認められています。
金沢市中心部の片町エリアや香林坊などは典型的な商業地域で、キャバクラやスナックが集中しているのもこのためです。
3-2. 近隣商業地域
近隣商業地域は、住宅地に隣接した小規模な商業エリアです。
スーパーや小売店、飲食店が建てられる一方で、風俗営業には一定の制限がかかります。
自治体によっては「近隣商業地域でのキャバクラは不可」と運用されるケースもあり、事前確認が必須です。
3-3. 準工業地域・工業地域
準工業地域は、比較的規制が緩やかであり、一部の風俗営業が認められるケースもあります。
ただし、周辺環境によって警察署から指導が入る場合もあり、個別判断となります。
一方で工業専用地域は工場以外の用途が制限されるため、風俗営業はできません。
4. 石川県(金沢市など)の実例紹介
4-1. 金沢市中心部のケース
金沢市の片町・香林坊周辺は商業地域に指定されており、スナックやラウンジが多く存在しています。
風俗営業許可が取得しやすい典型的なエリアであり、実際に新規参入の相談も多く寄せられます。
4-2. 郊外住宅地のケース
一方で、金沢市郊外や野々市市などの住宅地では、低層住居専用地域に該当することが多く、許可は下りません。
「前に居酒屋があったから大丈夫」と思い契約したものの、実は用途地域が住居系で、風営許可が出せず退去せざるを得なかった事例もあります。
4-3. 条例・景観規制との関係
金沢市では、景観条例や看板規制が厳しく、用途地域が商業地域であっても外観・サインの設置方法に制限がかかります。
単に用途地域だけでなく、地域独自の条例 も確認する必要があります。
5. 物件選びの段階から注意すべきポイント
- 契約前に用途地域を調べる
市役所の都市計画課やインターネットの用途地域マップで確認可能です。 - 「前テナントがやっていたから安心」は危険
以前の許可条件が今も通用するとは限りません。法律改正や条例変更の影響を受けます。 - 用途地域以外の規制もチェック
学校や病院、児童施設からの距離制限(いわゆる“保護対象施設規制”)も併せて調査が必要です。
6. 行政書士高見裕樹事務所ができるサポート
当事務所では、石川県・富山県・福井県を対象に、風俗営業許可の申請を多数サポートしてきました。
- 用途地域調査:事前に役所・現地を確認し、申請可能かどうかを判定
- 図面作成:測量・レイアウト図の作成から対応
- 申請書類の作成・提出:煩雑な書類を一括で代行
- スケジュール管理:オープン日から逆算した進行サポート
- 秘密厳守:安心してご相談いただける体制
「ここで本当に開業できるのか不安」という段階からご相談いただけます。
まとめ
風俗営業許可において 用途地域の確認は最重要ポイント です。
住宅街では原則不可、商業地域や近隣商業地域でも自治体の運用次第で認められない場合があるため、必ず事前調査が欠かせません。
石川県(金沢市)での実務経験からも、「契約前に用途地域を確認しておくこと」 が失敗しないための最大のポイントであると断言できます。
用途地域や条例の確認に不安を感じたら、ぜひ当事務所までご相談ください。
お問い合わせ
風俗営業許可に関するご相談は以下から承っております。
👉 行政書士高見裕樹事務所(石川県金沢市)
電話:076-203-9314
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