
自治体ごとの民泊ルール|営業できるエリアと日数制限を確認しよう【完全版】
はじめに
民泊は、旅館業法や住宅宿泊事業法(民泊新法)をベースに全国で運営できます。
しかし実際には、自治体が制定する条例が大きな影響を持ちます。
条例は、国の法律よりも厳しい条件を追加することができるため、
- 営業可能なエリア(用途地域)
- 営業できる日数
- 管理者体制や近隣説明義務
などが地域によってバラバラです。
この記事では、民泊ルールの基本構造 → 全国共通の規制 → 自治体ごとの違い → 北陸三県の詳細比較の順に、時系列で整理して解説します。
1. 民泊の規制は「国の法律+自治体の条例」
1-1. 国の法律
民泊は大きく2つの制度で運営されます。
制度 | 根拠法 | 営業日数 | 手続き | 主な対象 |
---|---|---|---|---|
住宅宿泊事業(民泊新法) | 住宅宿泊事業法 | 年間180日以内 | 届出制(都道府県) | 自宅・空き家の一部活用 |
簡易宿所営業 | 旅館業法 | 制限なし | 許可制(保健所) | ゲストハウス・民宿など通年営業 |
国の制度だけ見れば、住宅宿泊事業は180日以内、簡易宿所は制限なしです。
しかし実際には自治体条例が「国のルールに上乗せ」します。
2. 自治体条例の主な規制内容
条例で追加される代表的な項目は次の通りです。
- 営業可能地域の制限(用途地域)
- 第一種低層住居専用地域での営業禁止
- 観光地区・商業地域のみ営業可
- 営業日数の短縮
- 国基準180日 → 条例でさらに短縮(例:90日、週末のみ)
- 営業時間の制限
- チェックインは22時まで
- 深夜・早朝の出入り制限
- 管理者常駐・駆け付け義務
- 常駐または30分以内の現地到着体制
- 近隣説明・同意
- 開業前に周辺住民や町内会に書面説明
- 同意書の提出を求める自治体も
- 標識掲示の強化
- 管理者連絡先や苦情窓口の常時掲示
- 多言語表記を義務化
3. 用途地域と営業可能エリア
3-1. 用途地域の基本
都市計画法に基づき、全国の市街化区域は用途地域に分かれています。
民泊の可否は、宿泊施設としての建築用途が認められるかで決まります。
営業が認められやすい地域
- 商業地域
- 近隣商業地域
- 準工業地域
営業が制限されやすい地域
- 第一種低層住居専用地域(禁止の自治体が多い)
- 田園住居地域(用途制限あり)
4. 営業日数の規制(住宅宿泊事業)
国基準:年間180日以内
→ 自治体条例でさらに短縮可能
短縮事例
- 京都市:用途地域によって最大60日まで
- 大田区:一部地域で土日祝日のみ
- 金沢市:国基準(180日)のまま運用(ただし地域制限あり)
5. 北陸三県の条例比較
県名/市名 | 制度運用 | 営業可能エリア | 営業日数 | 独自ルール |
---|---|---|---|---|
石川県(金沢市) | 両制度あり | 商業地域・観光地周辺 | 180日 | 第一種低層住居専用地域では住宅宿泊事業禁止/近隣説明義務 |
富山県(富山市) | 両制度あり | 商業地域・観光地 | 180日 | 管理者が30分以内で駆け付け可能な体制 |
福井県 | 簡易宿所中心 | 商業地域・近隣商業地域 | 制限なし(簡易宿所) | 民泊新法は事例少、旅館業法を推奨 |
6. 全国の自治体ルール例
自治体 | 営業日数制限 | 主な制限内容 |
---|---|---|
京都市 | 最大60日 | 用途地域による日数制限、近隣説明義務 |
大田区(東京) | 土日祝のみ | チェックイン時間制限 |
札幌市 | 国基準180日 | 第一種低層住居専用地域禁止 |
大阪市 | 国基準180日 | 特に大規模イベント時は規制緩和あり |
7. 自治体ルールの確認方法
- 自治体HPで「住宅宿泊事業条例」「旅館業法条例」を検索
- 都市計画課で用途地域を確認(地図で該当地域を特定)
- 保健所で旅館業法許可の基準を確認
- 観光課・生活安全課で近隣説明や管理体制要件を確認
8. 開業前に必ずやるべきチェックリスト
- 用途地域で民泊が可能か
- 営業日数制限の有無
- 管理者体制(常駐/駆け付け)
- 近隣説明の必要性
- 標識掲示・多言語対応の有無
- 条例改正予定の有無(開業前後で変わる場合あり)
9. 自治体ルールを軽視した場合のリスク
- 無許可営業による罰金や営業停止
- 近隣トラブルによる苦情・警察介入
- ネット予約サイトからの掲載停止
- 許可取消・届出抹消で再開困難
10. 専門家に相談するメリット
- 条例・用途地域の調査を代行
- 許可・届出のルート選定
- 近隣説明資料の作成
- 条例改正の最新情報提供
まとめ
民泊は「国の法律に従えばどこでもできる」わけではなく、自治体条例による制限が実質的な営業可否を左右します。
営業日数・エリア・管理体制のルールを事前に把握しないと、開業後のトラブルや撤退リスクが高まります。
特に北陸三県では、観光地区と住宅地でのルール差が大きく、制度選びと物件選びは同時並行で行うのが成功のポイントです。
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