
民泊開業までのステップ|物件探しから許可取得、運営開始までの流れ
「空き家や自宅の一部を民泊にしたい」「短期賃貸で観光需要を取り込みたい」――そう考えたときに最初にぶつかるのが、どの順番で、どの窓口に、何を準備するかです。
本記事は、はじめての方でも迷わないように、物件選定 → 用途地域確認 → 事前協議(消防・保健所) → 設計・工事 → 許可/届出 → 運営スタートを時系列で整理しました。
(簡易宿所=旅館業法、住宅宿泊事業=いわゆる“新法民泊”の両ルートをカバー)
全体像:逆算スケジュール(目安)
- T–8〜6週間: 事業方針の決定(簡易宿所 or 住宅宿泊)/物件の一次選定・現地確認
- T–6〜5週間: 用途地域・建築用途・管理規約チェック/役所横断の事前相談(都市計画・建築指導、消防、保健所)
- T–5〜3週間: 設計・レイアウト確定/必要な改修工事・消防設備工事の着手
- T–3〜2週間: 申請図面・申請書作成/簡易宿所:保健所へ許可申請/住宅宿泊:届出書一式
- T–2〜1週間: 消防の設置届・検査対応/備品・ルール・清掃体制の整備
- T–1〜0週間: 表示義務(標識・避難経路・料金表など)/最終チェック → 運営開始
※物件や自治体によって前後します。改修が伴う場合は、さらに余裕を見て逆算が安全です。
ステップ1|最初に決める「営業形態」
A. **簡易宿所(旅館業法)**に向くケース
- 年間を通して営業したい/収益を安定させたい
- ゲストハウス形式・複数室での運営を想定
- 条例上、住宅宿泊事業の制限が強いエリア
B. **住宅宿泊事業(民泊新法)**に向くケース
- 年180日以内の期間限定で十分
- 改修コストを抑え、まずはスモールスタート
- 自宅や空き家のスポット活用
形態で求められる窓口・基準・書類が変わるので、ここが起点です。
ステップ2|物件選定の“見るべきポイント”
- 用途地域(都市計画)
- 宿泊用途が取れる地域か(第一種低層住居専用などは原則不可が多い)
- 近隣用途(学校、病院、神社仏閣など)との距離条件がある自治体も
- 建築用途・法適合
- 既存建物の用途(住居・寄宿舎・事務所など)と計画の適合
- 必要に応じて用途変更や確認申請が発生
- マンション等の管理規約
- 民泊禁止の規約が明記されていないか/将来の規約変更リスク
- 騒音・動線・駐車
- 夜間の出入り動線(近隣苦情の主要因)
- 駐車スペース/ごみ集積所のルール
ここで**「契約前に」**役所・管理組合・オーナーの三方向でNGがないかを確認するのが鉄則です。
ステップ3|関係機関への事前相談(超重要)
- 建築指導・都市計画課:用途地域・用途変更の要否
- 消防署(予防課):必要な消防用設備等(感知器・誘導灯・消火器・通報設備ほか)
- 保健所:
- 簡易宿所:客室面積/換気・採光/便所・洗面/寝具取扱い 等の基準
- 住宅宿泊:衛生措置・苦情対応・管理体制 等
- (必要に応じて)警察:深夜酒類提供やラウンジ併設などの将来計画がある場合
事前相談は工事着手前に。後戻り工事はコスト増+開業遅延の元です。
ステップ4|設計・レイアウト確定
- 避難経路が明確で、掲示できるか
- トイレ・洗面・浴室の配置(客用/自家用の分離)
- 清掃・リネン動線(バックヤード含む)
- カギ管理(スマートロック・キーボックス)
- 標識掲示スペース(営業者名・許可番号・料金等)
旅館業の**図面は“許可が通る設計”**で作るのがコツ。設計と申請は同時並行が効率的。
ステップ5|工事・設備の実装
- 消防設備:感知器、誘導灯、消火器等の型式・設置位置に注意
- 衛生設備:換気、給排水、寝具保管スペース
- 騒音対策:床・壁の遮音、窓の気密(特に木造や古民家)
- サイン・案内:多言語表記の検討(※当事務所は多言語対応の運営代行は行っていません)
ステップ6|申請・届出(書類の山を攻略)
簡易宿所(旅館業法)
- 提出先:保健所
- 主な書類:
- 営業許可申請書
- 平面図・配置図・求積図
- 避難経路図
- 建築確認済証・検査済証(あれば)
- 使用承諾書/賃貸借契約書(賃貸物件の場合)
- 役員名簿・誓約書 ほか
- 流れ:申請 → 図面審査 → 現地検査 → 許可
住宅宿泊事業(民泊新法)
- 提出先:都道府県(政令市)
- 主な書類:
- 事業届出書
- 管理業務の実施方法(苦情対応・衛生管理・清掃)
- 近隣周知の記録(自治体要件による)
- 建物の権限疎明(登記/賃貸借契約)
- 流れ:届出 → 受理 → 標識掲示 → 営業開始(※日数上限あり)
**消防の「設置届」「検査」**は申請と前後して並走させるのが実務的です。
ステップ7|検査・是正
- 保健所の現地検査:掲示物、衛生設備、面積、動線の確認
- 消防検査:設備の型式・作動・表示、感知区域、避難誘導
- 指摘事項の是正:小修正は即日対応/構造変更は再検査のことも
ステップ8|運営体制の構築
- 清掃・リネン:標準手順書(SOP)、記録様式
- 鍵管理:紛失時の緊急オペ(スマートロックなら権限切替)
- 苦情・緊急対応:24時間連絡体制/30分以内の駆け付け(自治体要件に準ず)
- 料金・キャンセル規定:サイト規約とハウスルールを整合
- 宿泊者名簿:氏名・住所・職業・国籍・旅券番号(法定項目)を適正に保存
ステップ9|オープン直前チェックリスト
- 玄関・館内の標識掲示(営業者名・許可番号・料金)
- 避難経路図・非常口サイン・消火器の掲示
- ごみ分別案内・静粛時間(22:00~等)の明示
- 周辺マップ(コンビニ・バス停・緊急病院)
- 最終動作確認:感知器鳴動、非常照明点灯、外部通報
ステップ10|開業後の法定・実務運用
- 宿泊者名簿の保存
- 苦情・事故記録の保存と再発防止
- 消防設備点検(年次・半年ごと)と記録
- 清掃・リネンの衛生記録
- **180日カウント(住宅宿泊)**の実績管理
ルート別の“簡易フローチャート”
簡易宿所(通年営業を目指す)
物件一次選定 → 事前相談(用途/消防/保健所) → 設計・工事 → 保健所申請 → 消防検査 → 許可 → 開業
住宅宿泊(180日内で様子見)
物件一次選定 → 事前相談(用途/消防) → 軽微な整備 → 届出 → 標識掲示 → 開業(※日数管理)
ありがちなNGと回避策
- 契約後に“民泊禁止”の管理規約が判明
→ 契約前に管理規約原本を必ず確認/理事会承諾書の取付けを条件に - 消防設備の後工事でオープン遅延
→ 事前協議→設計段階で設備仕様を確定し、工期に余裕 - “住宅宿泊”のつもりが実態は通年営業
→ 早期に簡易宿所への移行計画を作り、二度手間を回避
必要書類ミニ一覧(まずはここから)
- 物件権限書類(登記事項証明書、賃貸借契約)
- 平面図・配置図・避難経路図
- 消防関係(設置届、検査済伝票)
- 申請/届出の様式(自治体版)
- 近隣説明の記録(必要自治体)
- 管理体制・衛生管理の計画書
期間と費用の目安(参考)
- 住宅宿泊:1〜2か月/軽微な整備中心で初期費用は低め
- 簡易宿所:2〜3か月以上/消防・衛生・内装に応じて工事費が発生
(物件・自治体・工事規模で大きく変動します)
行政書士高見裕樹事務所のサポート
- 物件選定前の用途・規約デューデリジェンス
- 事前相談(都市計画・建築・消防・保健所)の同席と調整
- 図面作成・申請書一式の作成・提出・現地立会
- 開業後運用:名簿様式、ハウスルール、苦情対応フロー整備
- 不動産(ふちどり不動産)・内装工事のワンストップ連携で工期短縮
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